昆虫医科学部

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東日本大震災被災地における衛生害虫の発生状況調査と対策に関する記録

発行に当たって

(前略)東北地方の被災県の衛生研究所、保健所、医科大学等に、衛生昆虫の専門家がほとんどおらず、衛生昆虫類の調査が行われていない。 そこで、急遽、一部自治体の環境衛生課と保健所職員に、蚊の生態、分類、防除対策に関して短時間講習と実地研修を関係者の協力を得て行った。

今回の東日本大震災において、衛生昆虫対策全般に関した種々の問題点が明らかとなった。これら衛生昆虫学や公衆衛生学に関連した問題を含めて、2011 年の大震災発生によって、どのような環境変化が起き、衛生昆虫類の発生に影響を与えたか、感染症発生リスクの評価と対策立案に何が必要であったかなどの問題点を提起すべく、調査記録を後世に残すために、日本衛生動物学会の雑誌であるMedical Entomology & Zoology 第63巻の特集「東日本大震災被災地における衛生動物の発生状況」の論文を自治体関係者、防疫殺虫剤関連企業、日本ペストコントロール協会等に広く開示し、今後の参考資料とすべく本小冊子の発行を計画した。

また、後半部には被災地で多数発生した衛生害虫類の簡単な説明、避難所や仮設住宅等における害虫対策に関するリーフレット、行政関連の通知文書などを参考資料として添付した。今回のような大規模自然災害が今後、いつ、どこで発生するか予測がつかないことから、将来の大規模自然災害発生時の衛生害虫対策の一助になれば幸甚である。

 (本記録の発行は厚生労働省科学研究費補助金(新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究事業)「H21 新興-一般-005」によるものです。)(2012年4月06日)
 

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