ブドウ球菌食中毒とは

 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus )は、歴史的にはKoch(1878年)が膿汁中に発見し、Pasteur(1880年)が培養に成功したとされている。ブドウ球菌は、「Bergey's Manual of Determinative Bacteriology 」の7版(1957年)では、S. aureus (黄色ブドウ球菌)とS. epidermidis (表皮ブドウ球菌)の2菌種に過ぎなかったが、その後新しい菌種が次々と追加され、1997年現在、28菌種、10亜種に及んでいる。この中で特に黄色ブ ドウ球菌は、化膿巣形成から敗血症まで多彩な臨床症状を引き起こし、種々の市中感染症、新生児室感染症、院内感染症、および毒素性ショック症候群等の起因 菌となる。特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は、院内感染や術後MRSA腸炎の原因となり、重要な問題となっている。さらに、黄色ブドウ球菌 は食品中で増殖すると、エンテロトキシンと呼称される毒素を産生し、ブドウ球菌食中毒の原因となる。  このように、黄色ブドウ球菌は多彩な疾患の原因となるが、今回は、毒素型食中毒の代表であるブドウ球菌食中毒について記述する。

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疫学情報

感染症発生動向調査(IDWR)

病原微生物検出情報(IASR)

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