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風疹含有ワクチン定期接種率調査(2008~2013年度の推移)

(IASR Vol. 36 p. 132-133: 2015年7月号)

2006年度から始まった1歳児(第1期)と5歳以上7歳未満で就学前1年間の幼児(6歳になる年度:第2期)の2回接種に加えて、10代への免疫強化を目的に、2008年4月から、中学1年生(第3期)と高校3年生相当年齢の者(第4期)に対して、2回目の予防接種が定期接種に導入された。使用するワクチンは原則、麻疹風疹混合ワクチン(以下、MRワクチン)となった。この制度は、麻疹のみならず風疹対策にも大きな成果を発揮した。

2007年12月28日に告示された「麻しんに関する特定感染症予防指針(以下、麻疹の予防指針)」は2012年12月14日に改訂告示され、第3期と第4期の定期接種は2012年度をもって終了することになった。2013年度以降は第1期と第2期の2回接種となっている。

接種率を迅速に公表し、積極的な勧奨に繋げていくことが重要として、厚生労働省(厚労省)健康局結核感染症課では、2008年度から毎年2~3回、全国の都道府県・市区町村の協力により接種率調査を実施している。調査結果は、国立感染症研究所(感染研)感染症疫学センターで集計後、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会ならびに同基本方針部会で審議された後、厚労省と感染研のホームページに都道府県別、市区町村別に公表されている。 
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou21/hashika.html
http://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ma/measles/221-infectious-diseases/disease-based/ma/measles/550-measles-vac.html

1)第1期(1歳児):2013年度の接種率は95.5%であり、2010年度から4年連続して、95%以上を達成した。しかし、2013年度は2012年度より2ポイント接種率が低下し、接種率95%以上を達成した都道府県の数は27都府県となり、2012年度の43都道府県から大幅に減少した。第1期の接種率は極めて重要であることから、一層の接種勧奨が必要である。

2)第2期(5歳以上7歳未満:小学校入学前1年間):2013年度の接種率は93.0%であり、2012年度の93.7%より0.7ポイント低下した。95%以上の接種率を達成していたのは熊本県、秋田県、新潟県、青森県、香川県、群馬県、石川県、山形県の8県であり、東京都・鹿児島県・沖縄県の3都県では80%台と低かった。保健所・医療機関に加えて、保育所・幼稚園・小学校でも積極的な勧奨が必要である。

3)第3期(中学1年生):5年間の時限措置は2012年度で終了した。目標の95%以上は達成できなかったが、接種率は年々上昇した。富山県と茨城県は5年間連続して95%以上の接種率を達成した。

4)第4期(高校3年生相当年齢の者、2011年度のみ高校2年生相当年齢を含む):5年間の時限措置は2012年度で終了した。目標の95%以上は達成できなかったが、第3期と同様に、接種率は年々上昇した。山形県と福井県は5年間連続して90%以上の接種率を達成した。神奈川県は5年間連続して75%未満の接種率で、2013年度は68.4%と低かった。

風疹の排除目標年は2020年度である。風疹排除を達成するには、2回の定期接種率をそれぞれ95%以上に維持し、受けそびれた者に対する注意喚起と接種の推奨が重要である。

 

国立感染症研究所感染症疫学センター
   多屋馨子 佐藤 弘 大石和徳
厚生労働省健康局結核感染症課

 

 

 

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