国立感染症研究所

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ザンビアにおける新規回帰熱ボレリアの発見とヒト感染例の報告

(IASR Vol. 40 p161-162:2019年9月号)

人獣共通感染症の多くは, 自然界で野生生物と共生関係を築いて静かに存続している微生物を病原とするので, その根絶は不可能である。人獣共通感染症対策としては, その発生を予測し流行を防止する「先回り戦略」が重要である。先回り戦略には, 病原微生物の起源と自然界における存続のメカニズム, 伝播経路および発症と流行に関与する諸要因を明らかにする必要がある。北海道大学 人獣共通感染症リサーチセンターは, 2007年にアフリカ ザンビア共和国のザンビア大学獣医学部内に高度封じ込め施設 (biosafety level- 3) の実験室を有する海外研究拠点(ザンビア拠点)を設置し, 先回り対策を執るための感染症研究に取り組んでいる。本拠点を活用して, 人獣共通感染症の一つである回帰熱の病原ボレリアのヒト感染例を確認し, その病原ボレリアを単離し, 新種であることを確認し, さらに動物の疫学調査により, その感染環を明らかにする成績を得たので報告する。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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