国立感染症研究所 実地疫学専門家養成コース・感染症疫学センター
2019月7月10日現在
(掲載日:2019年10月16日)

麻疹をコントロールできる唯一の方法は予防接種であるが、日本では乳児期早期は移行抗体による影響を考慮し、麻疹含有ワクチンの定期接種は1歳以降となっている。生後6か月以降は移行抗体の減衰により、感染力の強い麻疹ウイルスに曝露すると感染し、発症する症例が認められる。また、麻疹の合併症として知られている亜急性硬化性全脳炎は幼少期、特に2歳未満で麻疹に罹患すると発症のリスクが高くなることが知られている。2015年3月、日本はWHOより麻疹排除状態と認定されたが、2018年後半から現在に至るまで麻疹報告例が増加している。本稿は2010年1月1日~2019年6月30日に、感染症発生動向調査(NESID)に届出された麻疹検査診断例のうち、1歳未満の乳児症例に関して発生数・全届け出数に対する割合・1歳未満人口における麻疹発生率の推移についてまとめた。

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