国立感染症研究所

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<速報> 大阪府におけるA群ロタウイルスの検出状況、2012年4~6月

(掲載日 2012/6/18)

 

感染性胃腸炎患者数は通例5、6月には減少するが、本年は前年同時期よりも高い報告数が持続している。そこで4月~6月7日現在の感染症発生動向調査に基づく感染性胃腸炎患者検体および集団発生からのウイルス検出状況をまとめた。


2011年および2012年の4~6月(7日まで)における検体数はそれぞれ99検体、104検体と大きな変動はなかったが、ウイルス検出数はそれぞれ56(57%)と69(66%)であった。月別のウイルス検出状況によると()、A群ロタウイルスの検出ピークが2011年は4月、2012年は5月であることがわかる。さらに、サポウイルス、アストロウイルスの検出数も昨年に比べ増加している。


 本年同期間中に検出した31件のA群ロタウイルスのG genotypeはG1が16件(52%)、次いでG9が8件(26%)であった()。昨年同期間にはG1、G2およびG3が同頻度に検出されていたことから、G遺伝子型の主要な流行株の変化が認められた。


次に感染性胃腸炎による集団発生(人ー人感染)事例は昨年同期間に大阪府管内(大阪市、堺市、東大阪市、高槻市除く)で13事例の報告があり、ロタウイルスが4事例、ノロウイルス8事例、サポウイルス1事例であった。本年同期間には28事例報告があり、春以降、集団胃腸炎が継続的に発生している。その内訳はA群ロタウイルス17事例、ノロウイルス8事例、サポウイルス2事例、アストロウイルス1事例であり、A群ロタウイルスが流行していたことが推察された。


本年のA群ロタウイルス集団発生5事例についてG genotypeを決定したが、G1が3事例、G1とG12の混合事例が1件、G9が1事例であった。


以上の検出状況と患者の発生動向をまとめると、本年5~6月の患者数の増加は、A群ロタウイルスの流行期の5月へのずれ込みと、サポウイルス、アストロウイルスが同時に流行していたことが原因と考えられた。A群ロタウイルスは昨年の流行タイプと異なるG1およびG9が主流のようである。

 

大阪府立公衆衛生研究所感染症部
左近直美 上林大起 中田恵子 加瀬哲男 高橋和郎

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