国立感染症研究所

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国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター第一室

 

全国地方衛生研究所

流行株抗原性解析
国立感染症研究所(感染研)では、国内で流行するインフルエンザウイルスの性状を把握し、インフルエンザ対策およびワクチン株選定に役立てるため、全国地方衛生研究所(地研)で分離・同定されたウイルス株総数の約10%を無作為に抽出し、解析を行っている。
流行株とワクチン株の抗原性を比較する目的で、フェレット感染血清を用いた赤血球凝集阻止(HI)試験または中和試験による抗原性解析を実施した。

現行の季節性インフルエンザワクチンは、ワクチン原株として選ばれたウイルスを鶏卵で継代して製造している。そのため、継代の間に、ウイルスが鶏卵に馴化することでアミノ酸置換が起こり、抗原性が変化(抗原変異)することがある。その結果、流行株とワクチン製造株の抗原性が一致しなくなる場合があり、世界的に問題となっている。

 抗原性解析試験:結果の見方
2015/2016シーズン(データ更新日:2016年12月15日)
表1. 抗原性解析結果:A(H1N1)pdm09
表2. 抗原性解析結果:A(H3N2)
表3. 抗原性解析結果:B(ビクトリア系統)
表4. 抗原性解析結果:B(山形系統)

 

遺伝子系統樹
国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター第一室が解析した季節性インフルエンザウイルスの遺伝子配列を用いて、HA遺伝子系統樹を作成した。国内外で流行しているウイルスと比較するため、各地方衛生研究所にて分離された株の遺伝子配列だけではなく、海外で分離された株の遺伝子配列も解析に加えている。なお、海外の研究機関で解析された遺伝子配列はインフルエンザウイルス遺伝子データベースGISAID(Global Initiative on Sharing All Influenza Data:http://platform.gisaid.org/epi3/frontend)から入手している。 
2016/2017シーズン(データ更新日:2016年12月26日)NEW

A(H3N2) : 2015/16シーズンにクレード3C.2a内に出現したサブクレード3C.2a1 株(N171K, I406V, G484E)は増加傾向にあり、2016/17シーズン(2016年9月〜11月採取株)のA(H3N2)解析実施株の78.6%を占めている。残り21.4%の株はクレード3C.2aに属しており、クレード3C.3aに属する株は検出されていない(H3系統樹)。

 

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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