印刷

掲載日:2021年12月2日

第61回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年12月1日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第61回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版

感染状況について

全国の新規感染者数(報告日別)は、今週先週比が0.75と減少が継続し、直近の1週間では10万人あたり約0.5と、昨年の夏以降で最も低い水準が続いている。また、新規感染者数の減少に伴い、療養者数、重症者数や死亡者数も減少が続いている。

実効再生産数:
全国的には、直近(11/14時点)で0.78と1を下回る水準が続き、首都圏では0.80、関西圏では0.72となっている。

今後の見通しと必要な対策

  • 南アフリカからWHOに初めて報告された新たな変異株(オミクロン株)は、すでに欧州各国などでも検出されており、感染の拡大が懸念されている。我が国でもVOC(懸念すべき変異株)に位置付けられた。また、先般、ナミビアから飛行機で入国した際に検疫でコロナ陽性が判明した方について、オミクロン株であったことが確認された。水際対策や国内のサーベイランス体制の強化を図るとともに、引き続きWHOや諸外国の動向等の情報を収集・分析することで、その動向を監視し、適切に対応していくことが必要。
  • 全国の新規感染者数は減少が継続し、非常に低い水準となっているが、感染伝播はいまだに継続している。一部の地域では、飲食店や施設等でのクラスターや感染経路不明事案の発生が報告されている。また、都市部を中心に夜間滞留人口が増加している地域もある。年末に向けて気温が低下し、屋内での活動が増えるとともに、忘年会、クリスマスやお正月休み等の恒例行事により、さらに社会経済活動の活発化が想定されるため、今後の感染者数の動向に注視が必要。
  • ワクチンの2回接種完了者は全国民の約77%となり、12~19歳でも約71%が2回接種済となった。接種率をさらに高めるため、未接種者へのワクチン接種を進めることも必要であり、自治体においては、ワクチン接種に至っていない方への情報提供を進めることが求められる。あわせて、12月から開始する追加接種を対象者のうち希望する者に対して着実に実施していくことも必要。
  • 低い水準であるが感染伝播が継続し、今後の感染拡大にも注意が必要な状況を踏まえ、ワクチン接種者も含め、マスクの正しい着用、手指衛生、ゼロ密や換気といった基本的な感染対策の徹底を継続することが必要。その上で、飲食の際は、第三者認証適用店を選び、飲食時以外はマスクを着用すること、また、外出の際は、混雑した場所や感染リスクの高い場所を避けることが必要。特に、昨年は年末から年始にかけて感染が急拡大したこと、帰省や旅行等は日常では生じない接触が生じる機会となること等を踏まえ、発熱等の症状がある場合は帰省や旅行など県をまたぐ移動は控えることが必要。また、軽度の発熱、倦怠感などの症状でも積極的に受診し、検査につなげることも重要。
  • 感染拡大防止につなげるため、感染経路不明事案に対する積極的疫学調査の徹底が必要。また、施設や医療機関における感染伝播においては、幅広の検査による積極的な対応が求められる。
  • 先般決定した「取組の全体像」に基づき、感染リスクを引き下げながら経済社会活動の継続を可能とする新たな日常の実現を図ることが求められる。第三者認証制度やワクチン・検査パッケージ等の活用により、将来の緊急事態措置等の下でも、飲食やイベント、人の移動等の各分野における行動制限が緩和されるが、ワクチン接種済者でも感染する可能性があることや、ワクチン接種済者からワクチン未接種者への感染等の可能性が完全に排除されていないことにも留意することが必要。
  • さらに、今般、専門家により新たに作成されたコロナ罹患後症状(いわゆるコロナ後遺症)に関する診療の手引きについて、医療従事者への十分な情報提供により、長く続く症状に悩む患者が適切に医療を受けられるよう環境を整備することが重要。

 

感染状況分析・評価グラフ等 

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan