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掲載日:2021年12月17日

第63回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年12月16日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第63回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

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感染状況について

全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約0.7と、昨年の夏以降で最も低い水準が続いているが、直近の今週先週比は1.17と増加傾向が続いている。また、療養者数、重症者数や死亡者数も低い水準が続いている。

実効再生産数:
全国的には、直近(11/28時点)で0.96と1を下回る水準が続き、首都圏では1.01、関西圏では0.90となっている。

今後の見通しと必要な対策

  • オミクロン株は、11月24日に南アフリカからWHOへ最初に報告されて以降、多くの国で感染例が報告され、複数の国ではいわゆる市中感染も確認されている。12月15日までに、海外から入国する際の検疫などの水際でコロナ陽性が判明した方のうち32名については、ゲノム解析でオミクロン株の感染が確認された。オミクロン株については、ウイルスの性状に関する実験的な評価や疫学的な情報は限られているが、感染性・伝播性の高さ、再感染のリスク、ワクチンや治療薬の効果への影響などが懸念されている。また、重症度についても十分な知見が得られていない。水際措置におけるオミクロン株対策への重点化に加え、国内のサーベイランス体制の強化のため、全ての陽性者に対する変異株PCRスクリーニングの実施や、全ゲノム解析の強化、特に渡航歴のある陽性者に対する全ゲノム解析など実施が必要。引き続き、WHOや諸外国の動向や、臨床、疫学及びウイルス学的な情報を収集・分析するとともに、国立感染症研究所におけるオミクロン株の感染性、重症度、ワクチン効果に与える影響などの評価も踏まえ、適切に対応していくことが必要。また、国内でオミクロン株による感染が発生した場合、オミクロン株感染例と同一空間を共有した者については、マスクの着用の有無や接触時間に関わらず、幅広な検査の対象としての対応を行うことが推奨される。
  • 全国の新規感染者数は非常に低い水準となっており、新規感染者が確認されない日が継続している地域もある。一方、感染伝播が未だに継続している地域があることに加え、一部の地域では、事業所や社会福祉施設、小学校等でのクラスターや感染経路不明事案の発生による一時的な増加も見られる。また、都市部のみならず幅広い地域で夜間滞留人口が増加している。特に東京の夜間滞留人口は、昨年10月末に記録した最高水準まで増加している。年末に向けて気温が低下し、屋内での活動が増えるとともに、忘年会、クリスマスやお正月休み等の恒例行事により、普段会わない人々との交流が増え、さらに社会経済活動の活発化が想定されるため、今後の感染者数の動向に注視が必要。
  • ワクチンの2回接種完了者は全国民の約78%となり、12~19歳でも約73%が2回接種済となった。接種率をさらに高めるため、未接種者へのワクチン接種を進めることも必要であり、自治体においては、ワクチン接種に至っていない方への情報提供を進めることが求められる。あわせて、12月から開始している追加接種を対象者のうち希望する者に対して着実に実施していくことも必要。
  • 感染伝播は継続しており、今後の感染拡大にも注意が必要。従って、ワクチン接種者も含め、マスクの正しい着用、手指衛生、ゼロ密や換気といった基本的な感染対策の徹底を継続することが必要であり、これは、オミクロン株でも推奨されている。飲食の際は、第三者認証適用店を選び、飲食時以外はマスクを着用すること、また、外出の際は、混雑した場所や感染リスクの高い場所を避けることが必要。特に、帰省や旅行等は日常では生じない接触が生じる機会となること等を踏まえ、発熱等の症状がある場合は県をまたぐ移動は控えることが必要。また、軽度の発熱、倦怠感などの症状でも積極的に受診し、検査につなげることも重要。

 

感染状況分析・評価グラフ等 

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan