印刷

掲載日:2022年2月25日

第73回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年2月24日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第73回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版(準備中)

感染状況について

全国の新規感染者数(報告日別)は、今週先週比が0.93となり、直近の1週間では10万人あたり約426人と減少の動きが見られるものの、減少速度は鈍化している。年代別の新規感染者数については、おおむね全ての年代で減少傾向となっているが、10歳未満と80代以上では横ばいで推移している。

まん延防止等重点措置が適用されている31都道府県のうち27都道府県で今週先週比が1以下となり、新規感染者数は減少傾向が継続している。しかし、一部の地域では80代以上の増加が続いていることに注意が必要。

重点措置区域の適用が解除された5県のうち、山形県及び沖縄県では今週先週比が1を上回っている。

全国の新規感染者数減少の動きに伴い療養者数も減少しているが、重症者数は高止まりし、死亡者数の増加は継続している。

実効再生産数:
全国的には、直近(2/6)で0.96と1を下回る水準となっており、首都圏では0.96、関西圏では0.95となっている。

地域の動向

 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。

<重点措置区域>
北海道

新規感染者数は今週先週比が0.84と1を下回り、約340(札幌市約483)。30代以下が中心。病床使用率は4割弱。

東北

青森の新規感染者数は今週先週比が1.14と増加に転じ、約248。30代以下が中心。病床使用率は5割弱。福島では今週先週比が0.81と1を下回り、新規感染者数は約118。病床使用率は約5割。

北関東

群馬の新規感染者数は今週先週比が0.94と1を下回り、約253。30代以下が中心。病床使用率は約6割、重症病床使用率は3割強。栃木でも今週先週比が0.95と1を下回り、新規感染者数は約270。茨城では今週先週比が1.02と増加に転じ、新規感染者数は約326。病床使用率について、茨城では4割強、栃木では約4割。重症病床率について、茨城、栃木では約2割。

首都圏(1都3県)

東京の新規感染者数は今週先週比が0.90と1を下回り、約678。30代以下が中心。病床使用率は6割弱、重症病床使用率は5割弱。埼玉、千葉、神奈川でも今週先週比がそれぞれ0.99、0.91、0.95と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ約491、476、542。病床使用率について、埼玉では6割強、千葉では7割弱、神奈川では約7割。重症病床使用率について、埼玉、千葉では2割強、神奈川では3割強。

中部・北陸

石川の新規感染者数は今週先週比が1.06と増加に転じ、約250。30代以下が中心。病床使用率は4割強。新潟、長野では今週先週比がそれぞれ0.97、0.85と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ約149、147。病床使用率について、新潟では2割強、長野では約4割。

中京・東海

愛知の新規感染者数は今週先週比が0.92と1を下回り、約500。30代以下が中心。病床使用率は約7割、重症病床使用率は約3割。岐阜、静岡、三重でも今週先週比がそれぞれ0.91、0.99、0.96と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ約293、281、256。病床使用率について、岐阜、静岡では6割弱、三重では5割強。

関西圏

大阪の新規感染者数は今週先週比が0.91と1を下回っているが、約830と全国で最も高い。30代以下が中心。病床使用率は約8割、重症病床使用率は5割強。京都、兵庫、和歌山では今週先週比がそれぞれ約0.92、0.91、0.83と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ約530、554、277。病床使用率について、京都、兵庫では7割強、和歌山では5割強。重症病床使用率について、京都では5割弱、兵庫では約3割、和歌山では4割強。

中国・四国

広島の新規感染者数は今週先週比が0.84と1を下回り、約185。30代以下が中心。病床使用率は5割強、重症病床使用率は2割強。岡山、高知でも今週先週比がそれぞれ0.81、0.78と1を下回り、新規感染者数は約240、197と減少。香川では今週先週比が1.25と増加に転じ、新規感染者数は約305。病床使用率について、岡山では5割強、香川では5割弱、高知では4割強。重症病床使用率について、高知では4割強。

九州

福岡の新規感染者数は今週先週比が0.84と1を下回り、約461。30代以下が中心。病床使用率は8割強。佐賀、長崎、熊本、宮崎、鹿児島でも今週先週比がそれぞれ0.86、0.81、0.83、0.95、0.89と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ316、185、255、145、205。病床使用率について、佐賀では4割強、長崎では約3割、熊本では5割強、宮崎では3割強、鹿児島では6割弱。重症病床使用率について、熊本では2割強。

<上記の重点措置区域以外>
沖縄

新規感染者数は今週先週比が1.11と増加に転じ、約293。新規感染者は30代以下が中心であり、特に10代で増加。病床使用率、重症病床使用率はいずれも4割強。

<上記以外>

岩手、宮城、秋田、山形、富山、福井、山梨、滋賀、奈良、鳥取、徳島、愛媛では、それぞれ約147、224、148、135、296、262、246、485、576、179、253、117。いずれも今週先週比が1を上回る水準で増加。島根、山口、大分では今週先週比がそれぞれ0.96、0.98、0.81と1を下回り、新規感染者数はそれぞれ78、142、188。病床使用率について、岩手、山形、山口では4割強、宮城では5割弱、秋田、富山、徳島、愛媛では3割強、福井、鳥取、島根では2割強、山梨では5割強、滋賀、奈良では約7割、大分では4割弱。重症病床使用率について、奈良では7割強。

 ※病床使用率、重症病床使用率については、内閣官房ホームページより。

今後の見通しと必要な対策

  • 全国の新規感染者数は、実効再生産数及び今週先週比が1以下と減少を続けている。感染は家庭、学校、保育所、職場、病院、介護福祉施設などの場で継続している。特に、都市部を中心に介護福祉施設におけるクラスターの増加が見られる。重点措置区域を含む多くの地域で減少傾向にあるものの、減少速度は鈍化しており、横ばいや増加に転じる地域も見られる。特に、先般、重点措置区域の適用が解除された5県のうち山形県及び沖縄県では今週先週比が再び1を上回っており、その他の県も含めて新規感染者数の再増加が懸念される。
  • 現在の状況は、ワクチン接種の加速に伴い継続的な減少傾向が見られた昨夏の感染拡大状況とは異なり、新規感染者数の減少は緩慢であり、全国的に再び増加傾向に転じる可能性もある。夜間滞留人口については、重点措置区域では都市部を中心に増加していることに加え、重点措置区域の適用が解除された地域でも増加傾向にあり、特に、沖縄では解除前から急速に増加している。今のところその兆候は見られないが、今後BA.2系統に置き換わることで再度増加に転じる可能性に注意が必要である。また、オミクロン株へほぼ置き換わり、より重症化しやすいデルタ株による感染者は減少しているが、未だに検出されている。
  • 報告の遅れにより、陽性者数の公表データが実態と乖離している可能性が指摘されており、他の指標も注視する必要がある。例えば、東京都のモニタリング項目では、発熱等相談件数、検査人数と検査陽性者数が継続的に減少している。救急医療の「東京ルール」適用件数は横ばいからやや減少の兆しがみられるが、入院患者数と重症患者数は微増から横ばいの動き。流行状況の判断にあたっては、これらの指標も継続的にモニタリングしていくことが重要。なお、検査陽性率については分母となる検査数の報告の遅れが顕著であり、参考程度とすべきである。
  • 全国の感染者数の減少傾向が続いても、当面は多くの地域で軽症・中等症の医療提供体制等のひっ迫と、高齢の重症者数の増加による重症病床使用率の増加傾向も続く可能性がある。今回の感染拡大における死亡者は、高齢者が中心である可能性が示された。その中には、侵襲性の高い治療を希望されない場合や基礎疾患の悪化などの影響で重症の定義を満たさずに死亡する方も含まれるとの指摘もある。また、基礎疾患を有する陽性者でコロナ感染による肺炎が見られなくても、感染により基礎疾患が増悪することや高齢の感染者が誤嚥性も含む肺炎を発症することで、入院を要する感染者が増加することにも注意が必要。
  • 救急搬送困難事案について、非コロナ疑い事案が増加しており、通常医療、特に救急医療に対して大きな負荷がかかっている。

オミクロン株の特徴に関する知見

【感染性・伝播性】

オミクロン株はデルタ株に比べ、世代時間が約2日(デルタ株は約5日)に短縮、倍加時間と潜伏期間も短縮し、感染後の再感染リスクや二次感染リスクが高く、感染拡大の速度も非常に速いことが確認されている。なお、報告されているデータによれば、これまでの株と同様に発症前の伝播は一定程度起きていると考えられる。

【感染の場・感染経路】

国内では、多くの感染がこれまでと同様の機会(換気が不十分な屋内や飲食の機会等)で起きており、感染経路もこれまでと同様に飛沫やエアロゾルの吸入、接触感染等を介していると考えられている。

【重症度】

オミクロン株による感染はデルタ株に比べて相対的に入院のリスク、重症化のリスクが低い可能性が示されているが、オミクロン株感染による入院例が既に増加している。

【ウイルスの排出期間】

オミクロン株感染症例におけるウイルスの排出については、ワクチン接種の有無にかかわらず時間の経過とともに減少し、有症状者では、発症日から10日目以降において、また、無症状者では、診断日から8日目以降において排出する可能性が低いことが示された。

【ワクチン効果】

初回免疫によるオミクロン株感染に対する発症予防効果は著しく低下するが、入院予防効果は一定程度保たれている。また、ブースター接種によりオミクロン株感染に対する発症予防効果や入院予防効果が回復することに加え、最近、感染予防効果の回復についても海外から報告されている。国内でも新型コロナワクチンの2回及び3回接種によるオミクロン株への有効性に関する症例対照研究の暫定報告があり、オミクロン株に対するワクチンの有効性に関する知見も増えてきている。

【BA.2系統】

海外の一部地域ではBA.2系統による感染が拡大している。現状、国内におけるオミクロン株の主流はBA.1系統であるが、BA.2系統も検疫や国内で検出されており、その割合は増加する可能性がある。この場合、感染者数の増加(減少)速度に影響を与える可能性がある。なお、BA.2系統はBA.1系統との比較において、実効再生産数及び家庭内二次感染リスク等の分析から、感染性がより高いことが示されている。 BA.1系統とBA.2系統との重症度の比較については、動物実験でBA.2系統の方が病原性が高い可能性を示唆するデータもあるが、実際の入院リスク及び重症化リスクに関する差は見られないとも報告されている。また、英国の報告では、ワクチンの予防効果にも差がないことが示されている。

オミクロン株による感染拡大を踏まえた取組

【感染急拡大地域におけるサーベイランス等】

発生動向把握のため、実効性ある適切なサーベイランスの検討が必要。また、変異株監視体制について、オミクロン株への置き換わった地域においては、ゲノムサーベイランスで動向の監視を継続することが必要。また、重症例やクラスター事例等では、変異株PCR検査や全ゲノム解析による確認が求められる。

【自治体における取組】

自治体では、地域の感染状況及び今後の感染者数や重症者数の予測に基づき、必要病床数と医療従事者の確保や地域に必要な保健所機能の維持と体制強化のための応援確保、自宅療養者に対する訪問診療やオンライン診療体制の構築について機動的に取り組むことが必要。その際、高齢者や基礎疾患のある者など、重症化リスクのある患者を対象とする経口治療薬や中和抗体薬を迅速に投与できる体制を確保することが求められる。

冬の時期は、通常医療でも救急搬送が必要な急性疾患が多くなるため、コロナ医療と通常医療とのバランスに留意すべき。感染が急拡大した場合には、重症化リスクの高い方について、迅速かつ確実に受診・健康観察に繋げることが必要。また、コロナに罹患していても、基礎疾患の治療が継続できるような体制を整えることが必要。

健康観察等の重点化や患者発生届の処理の効率化など先般発出された事務連絡に基づき、効率的な保健所業務の実施が求められる。あわせて、流行株の特性を踏まえた対策の最適化について検討することが必要。

【ワクチン未接種者、追加接種者への情報提供の再強化】

現在の感染状況を確実な減少傾向に向かわせるためにも、高齢者を中心とする重症者・死亡者を最小限にするためにも追加接種をさらに加速することが求められている。オミクロン株感染に対してもワクチン接種の有効性は確認されている。また、ワクチン接種はコロナ後遺症に対しても効果があると報告されている。自治体では、ワクチン接種に関する情報提供を進めることが重要。未接種者へのワクチン接種とともに、初回接種から6か月以降の追加接種によりワクチンの有効性が回復することから、追加接種を着実に実施していくことも必要。高齢者の感染者増加が今後も継続する可能性がある。このため、高齢者等への接種を更に加速化するとともに、高齢者等以外の一般の方々についても、順次、できるだけ多く前倒しを実施することが求められる。また、5歳から11歳までの子どもへのワクチン接種について、特例臨時接種として実施すること、その際、努力義務の規定はこれらの小児について適用しないことを踏まえ、今後接種を進めていくことが必要。また、小児への感染予防を期待して、保護者や周囲の大人がワクチンを接種することも重要。

【水際対策】

海外及び国内のオミクロン株など変異株の流行状況なども踏まえて検証する必要がある。また、入国時検査での陽性者は、海外における流行株監視のため、全ゲノム解析を継続させることが必要。

オミクロン株の特徴を踏まえた感染防止策の強化・徹底

感染が広がっている場面・場所において、オミクロン株の特徴を踏まえた感染防止策の強化・徹底が求められる。

  • 学校・幼稚園・保育所等においては、新型コロナウイルス感染陽性者や濃厚接触者が多くの地域で増加している。自治体による教職員や保育士などに対する積極的なワクチンの接種促進が必要。また、分散登校やリモート授業などの組み合わせによる教育機会の確保や社会機能維持にも配慮する必要がある。あわせて、家庭内における感染対策を徹底することも求められる。
  • 高齢者の感染を抑制するため、介護福祉施設における対策を徹底していくことが重要。このため、入所者及び従事者に対するワクチンの追加接種を進めるとともに、従業者等へは積極的な検査を実施することも必要。また、施設等における感染管理や医療に関して外部からの支援が重要。
  • 職場においては、社会機能維持のため、業務継続計画を早急に点検することに加え、企業におけるテレワークの活用や休暇取得の促進等により、出勤者数の削減に取り組むとともに、接触機会を低減することが求められる。また、従業員の体調管理を徹底することが必要であることに加え、職域におけるワクチンの追加接種を積極的に進めるべきである。
現在の感染状況を市民や事業者の皆様と広く共有して、感染拡大防止に協力していただくことが不可欠
  • 行政・事業者・市民の皆様には、オミクロン株においても基本的な感染防止策は有効であることから、不織布マスクの正しい着用、手指衛生、換気などの徹底を継続していただくことが必要。また、三つの密(密集、密閉、密接)が重なるところは最も感染リスクが高いが、オミクロン株は伝播性が高いため、一つの密であってもできるだけ避けることが必要。さらに、個人の重症化予防・発症予防だけではなく、周囲の人々への感染を防ぐ効果を期待して、ワクチンの追加接種を受けていただくことが重要。
  • 外出の際は、混雑した場所や換気が悪く大人数・大声を出すような感染リスクの高い場面・場所を避けることが必要。行動はいつも会う人と少人数で。飲食は、できるだけ少人数で黙食を基本とし、飲食時以外はマスクの着用を徹底することが必要。
  • ご自身やご家族の命を守るため、同時にオミクロン株による感染拡大防止のためにも、軽度の発熱、倦怠感など少しでも体調が悪ければ外出を控えるとともに、自治体等の方針に従って受診や検査をすることが必要。
  • これからの年度末に向けて、卒業式や春休み等の機会に多くの人が集まる行事等が行われる。これまでこのような機会をきっかけに感染が拡大したことから、感染防止策の徹底が必要。

 

感染状況分析・評価グラフ等 

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan