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埼玉県衛生研究所でのCOVID-19疑い例における病原体検出状況

(IASR Vol. 43 p168-170: 2022年7月号)

 

 臨床的に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が疑われた症例について, real-time RT-PCR検査で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を含め, 病原体検索を行ったので結果を報告する。

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SARS-CoV-2オミクロン株BA.2系統に特徴的なS371F変異を検出するための工夫―秋田県

(IASR Vol. 43 p170-171: 2022年7月号)

 

 目下のところ, 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)オミクロン株を検出する方法として, BA.1系統とBA.2系統の両方にみられるG339D変異と, BA.1系統のみにみられるT547K変異を検出する2波長TaqMan assayを基本原理としたPCR検査プロトコール1)が報告されている。一方, 3月以降にゲノム解析によりBA.1系統よりも感染力が高いとされるBA.2系統の検出例が増えてきたことから, 両者を効率的に鑑別できるスクリーニング手法があればモニタリングに寄与するものと考えられた。我々は先にN501Y変異検出PCRプロトコールに最小限度の改変を加えることで, R.1系統にみられるE484K変異の検出能を付加する工夫を行った2)。今回, その手法を応用してG339D変異検出PCRプロトコールにBA.2系統特異的な変異の検出能を付加することができたので報告する。

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2021年5~6月にかけて関東地方で発生した新型コロナウイルスB.1.617.2(デルタ株)症例に関する実地疫学調査で得られた2つの製造業事業所の対策に関する考察

(IASR Vol. 43 p145-146: 2022年6月号)

 

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のB.1.617.2系統変異株(デルタ株)は, 2021年3月下旬に検疫で初めて検出され, 4月以降国内で急速に拡大した。この頃, 関東地方の自治体Aでは, 非正規の労働者を多く含む従業員数1,000名を超す製造業事業所2カ所でデルタ株の集団感染事例が確認された。これら2事例では工場内外でのデルタ株の広がり方が異なっていたため, 工場内で行われていた対策とともに報告する。

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群馬県において検出されたSARS-CoV-2デルタ株関連症例からみえた課題(2021年5月13日~10月12日)

(IASR Vol. 43 p147-149: 2022年6月号)

 

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は, 2022年3月7日時点で, 全世界において4.4億人以上に感染し, 590万人以上を死に至らしめている1)。2019年12月に中国の武漢でみつかったSARS-CoV-2はその後, 様々な変異株が世界各地で確認されパンデミックを長引かせている。2020年末にインドで出現したとされるB.1.617.2系統の変異株であるデルタ株は, 2021年4月に日本でも検出され, 8月を中心に大きな流行を引き起こした2)。群馬県においてもデルタ株は, 2021年5月13日採取の検体で最初に確認され, 8月を中心に大きな流行を起こした。群馬県衛生環境研究所では, 国立感染症研究所病原体ゲノム解析研究センターと共同で, SARS-CoV-2のゲノム解析を行い, ハプロタイプ・ネットワーク図を作成し, 疫学情報とあわせて解析を行っている。その結果から, 群馬県におけるデルタ株の感染状況に関する知見を得たので報告する。

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寝屋川市保健所管内における高齢者通所施設における新型コロナウイルスオミクロン株感染事例

(IASR Vol. 43 p149-151: 2022年6月号)

 
背 景

 2019年12月に中国湖北省武漢市で不明肺炎として初めて報告された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は, 2020年3月11日には世界的大流行(パンデミック)が世界保健機関(WHO)によって宣言された新興感染症である。数次の変異ウイルスの流行を経て, 2021年11月26日, WHOは南アフリカ共和国から報告された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異ウイルスであるB.1.1.529系統(オミクロン株)を, 懸念される変異株(Variant of Concern: VOC)と分類した1)。2021年12月中旬以降, 日本国内においてオミクロン株によるCOVID-19の市中感染の報告が散見されるようになり, 2022年に入り大きな流行となった。2021年12月に大阪府寝屋川市内の社会福祉施設(高齢者向けリハビリデイケア)において, 本邦初と考えられるSARS-CoV-2オミクロン株症例の集団発生(クラスター)が認められた。施設において認められたオミクロン株症例の臨床像および推定感染経路についての分析結果を報告する。

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飲食店の利用促進キャンペーンと新型コロナウイルス感染症発生との関係

(IASR Vol. 43 p121-122: 2022年5月号)

 

 2021年秋には国内で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)B.1.617.2変異株(デルタ株)の流行が落ち着きつつあったが, 旭川市では新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患率が高い状況が続いていた。同時期, 旭川市にある繁華街, 通称「さんろく街」では, 2021年10月6日から観光社交飲食協会が加盟店対象に, 複数店舗の利用で特典が得られるキャンペーンを開催しており, 101店舗(うち接待を伴う飲食店24店舗)が参加していた。そのような状況の中で, 10~11月にかけて, さんろく街の飲食店従業員と客を中心としたクラスターが複数確認された。そこで, 繁華街におけるキャンペーンが感染拡大に与えた影響および自治体によるCOVID-19対策優良飲食店の認証制度の感染拡大予防効果について検討した。なお, 2021年10月時点で旭川市には飲食店が3,358店舗存在していた。

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主に保護者の感染から疑われた新型コロナウイルス感染症(デルタ株)の複数地域の保育所における集団感染事例, 2021年10~11月

(IASR Vol. 43 p122-123: 2022年5月号)

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が全国的に低調であった2021年10~11月に, 国内の複数の保育所でCOVID-19症例の集積を認めた。このうち地理的に離れた2つの市の事例について, 探知と対応に関する知見を紹介するため, 調査の結果を報告する。なお, この時期の両市の平均報告数は4-5例/日であった。

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単科精神科病院の療養病棟で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)集団感染事例の血清疫学調査(第三報:臨床的背景)

(IASR Vol. 43 p74-76: 2022年3月号)

 
はじめに

 我々はこれまでに2020年9月に県内の単科精神科病院において発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の集団感染事例とその対応, および血清疫学調査の結果を報告した1,2)。本稿では本調査の対象となった患者の精神科診断や治療の状況, COVID-19の重症化因子や重症度等の臨床情報をまとめた。併せてワクチン接種後にみられた発熱の状況について報告する。

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新型コロナウイルスオミクロン株のスクリーニングPCR法の検出感度の違いについて

(IASR Vol. 43 p76-77: 2022年3月号)

 
はじめに

 現在, 国内では新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)オミクロン株スクリーニングの目的で, デルタ株に認められるL452R変異がオミクロン株では陰性となることを利用したPCR検査が実施されている1)。しかしながら, 当所におけるL452R変異検出PCR検査では, L452R変異判定不能となる検体の割合が多かった。一方, 2022年1月に, オミクロン株を検出できるPrimer/Probe G339D(SARS-CoV-2)が市販され, G339D変異検出PCR法を用いてオミクロン株のスクリーニングが可能になった。このため, 我々はSARS-CoV-2陽性検体を用いて, L452R変異PCR法とG339D変異PCR法によるオミクロン株のスクリーニングPCR法の検出感度を比較検討した。

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新型コロナウイルス感染症の変異株別, 濃厚接触者基本属性別, 接触場所別二次感染率

(IASR Vol. 43 p42-43: 2022年2月号)

 
はじめに

 本解析の目的は, これまで収集された積極的疫学調査情報を集約し, 濃厚接触者の基本情報と接触場所から変異株の感染性や感染者の特徴を明らかにすることである。これまでに積極的疫学調査情報を基にした二次感染率を報告1, 2)してきたが, 今回は, 特に感染伝播性が高いL452R変異を有するデルタ株と呼ばれる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)変異株(L452R変異株)の二次感染率を従来株やN501Y変異株と比較検討した。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan