国立感染症研究所

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新型コロナウイルスN501Y変異株による接触場所別SARS-CoV-2 PCR検査陽性率の変化

(IASR Vol. 42 p236-237: 2021年10月号)

 
はじめに

 全国自治体が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者発生に際して実施する積極的疫学調査では, 患者および濃厚接触者に対して詳細な聞き取り調査が行われる。本解析の目的は, これまで収集された積極的疫学調査情報を集約し, 感染者と濃厚接触者の基本情報と接触場所から感染リスクの高い属性や感染場所の特徴を明らかにするとともに, 感染伝播性が高いといわれるN501Y変異を有する新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)変異株(N501Y変異株)の二次感染率を従来株と比較検討することである。

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新型コロナウイルス感染症における積極的疫学調査の結果について(最終報告)

(IASR Vol. 42 p197-199: 2021年9月号)

 

 本報告は, 感染症法第15条第1項の規定に基づいた積極的疫学調査1,2)で集約された, 各自治体・医療機関から寄せられた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の退院患者の情報に関する最終報告3,4)である。ただし, 本情報は統一的に収集されたものではなく, 各医療機関の退院サマリーの様式によるため解釈には注意が必要である。

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消防学校における新型コロナウイルス感染症症例集積事例

(IASR Vol. 42 p199-201: 2021年9月号)

 
端 緒

 2021年4月13日(Day1, 発症日の最も早い症例の発症日をDay0としている), 消防学校にて初任教育学生2名がPCR検査で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性と判明し, 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と診断されたことから, 学校は保健所からの指導を受け, 4月14日(Day2)からの校内留置措置を実施した。消防学校の初任教育学生は203名, 職員が35名であった。学生は4つの小隊(50名程度)に分かれ, 基本的には小隊ごとに授業が実施されていた。それぞれの小隊はさらに8つの班(6名程度)に分かれていた。男子学生の場合, 同班の学生は寮で同室であった。室内は完全個室ではなく各個人のスペースが仕切られ, 天井部が空いていた。寮は3つのフロアに分かれて学生が居住していた。

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福岡県新型コロナウイルス感染対策調査:介護・福祉施設等における課題

(IASR Vol. 42 p201-203: 2021年9月号)

 
はじめに

 介護・福祉施設等では, 共同生活ならびに認知・身体機能の維持を目指した活動を行うため, 3密を完全に避けることは困難である。さらに, マスク着用を遵守できない利用者も一定数いるため, 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の伝播が起こりやすい環境である。実際に福岡県内の介護・福祉施設等では, 第3波と称される2020年12月~2021年3月までに64件(計1,144人)のクラスターが発生しており, 迅速かつ抜本的な対策が求められている。今回, 福岡県医師会が主体となり, 福岡県保健医療介護部とともに県内の医療機関ならびに介護・福祉施設等における感染対策の実情を評価し, 講じるべき対策を検討するためにアンケート調査を行った。

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群馬県におけるSARS-CoV-2アルファ株関連症例の特徴について(2021年2月10日~6月2日)

(IASR Vol. 42 p203-204: 2021年9月号)

 

 2020年11月, 英国で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株であるVOC-202012/01(アルファ株)が報告され, 世界各地で感染拡大がみられている1,2)。アルファ株は, 従来株と比較して感染力および重篤度が高いウイルスと推定されており, 英国での感染者数の増加を引き起こした要因と考えられている。国内でも, 2020年12月25日に, 英国からの帰国者でアルファ株が初めて検出された2)。2021年2月, 群馬県においてもアルファ株が検出され, その後, 県内の主流行株へと代わってきた。群馬県衛生環境研究所では, 国立感染症研究所(感染研)病原体ゲノム解析研究センターと共同で, SARS-CoV-2のゲノム解析を行っている。その情報を基に, ハプロタイプ・ネットワーク図を作成し, 疫学調査と統合して解析することで, 群馬県におけるアルファ株の感染状況に関する知見を得たので報告する。

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高い累積罹患率を認めた札幌市内コールセンターでの新型コロナウイルス感染症アウトブレイク(2021年5月)―健康管理, 感染管理, 換気を確認する重要性について

(IASR Vol. 42 p206-207: 2021年9月号)

 

 2021年4月から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第4波を迎えていた札幌市で, 市内コールセンターAでCOVID-19アウトブレイクが確認された。コールセンターは, 比較的密な環境で時に大声を出して勤務していることから, 海外でもアウトブレイクが報告されており1), 安全な勤務体制の構築が課題である。今回, 調査で判明した課題を整理し, 改善点を検討した。

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疫学的なつながりが全ゲノム解析で補足できたSARS-CoV-2デルタ株感染事例(2021年7月)―札幌市

(IASR Vol. 42 p205-206: 2021年9月号)

 

 2021年7月上旬, 札幌市内で2例しか確認されていなかったL452R変異を持つ新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に, 札幌市職員3名を含む6名が同時期に罹患した。札幌市職員は業務上のつながりが乏しい2部署から確認されており, 発症2週間前に2部署は同じ空間で業務を行うことはなかったが, 感染した3人は同じ日に, 集団Aに対応していた。札幌市では初のL452R変異株感染が集団で確認された事例であり, 疫学調査とゲノム解析で感染経路が推測されたため, 事例を紹介する。

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精神科病院における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)クラスター事例と対応

(IASR Vol. 42 p207-209: 2021年9月号)

 
はじめに

 精神疾患を有する患者の場合, マスク着用や手指衛生, 身体的距離の確保といった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染予防対策を十分に行うことが困難であり, COVID-19患者が発生した場合の感染拡大リスクは高いと考えられる。このため, 精神科病院においては, こうした患者の特性をふまえたうえで, あらかじめCOVID-19患者発生に備えた体制を整備し, 対策を実施することが求められる。

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単科精神科病院の療養病棟で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)集団感染事例の血清疫学調査(第1報)

(IASR Vol. 42 p210-211: 2021年9月号)

 
はじめに

 2020年9月, 県内の単科精神科病院(以下, 病院)の1閉鎖療養病棟(病床数60)において新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の集団感染事例が発生した(本号31ページ参照)。事例探知時の入院者数は58名であった。同年4月より面会は制限されていたが, 認知機能障害など基礎疾患の特性から棟内の標準感染予防策の実施は難しかった。積極的疫学調査の結果, 感染源は特定されなかったが, 地域の流行状況や流行曲線などからウイルスが1つの侵入経路で持ち込まれたものと考えられた。最終的に, PCR検査で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)陽性と判定されたCOVID-19の確定症例は70例(患者55例, 職員15例)となった。

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神奈川県における新型コロナウイルス感染症で出現する症状の疫学的解析

(IASR Vol. 42 p172-174: 2021年8月号)

 
はじめに

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者は, 2020年1月16日に国内で初めて感染患者が確認されて以来増加し続け, 感染拡大を防止するため, 政府は3月25日に外出自粛を要請した。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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