国立感染症研究所

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マスギャザリングイベント(東京2020大会)と感染症対策

(IASR Vol. 43 p153-154: 2022年7月号)

 
マスギャザリングと公衆衛生対策

 世界保健機関(WHO)は「マスギャザリング」を「特定の場所に特定の目的を持ってある一定期間, 人々が集積することで特徴づけられるイベントで, その国やコミュニティの計画や対応リソースに負担をかける可能性があるもの」と定義する。意図せず, 偶発的に人が集まるイベントとは異なり, 計画的に行われるマスギャザリングでは, イベントへの参加者の安全確保はもちろんのこと, 開催により地域へ負の影響を与えることがないように, 計画的に準備し, 十分なリソースを確保することが求められる。

掲載日:2022年7月28日

第92回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年7月27日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第92回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版(準備中)

感染状況について

全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約978人となり、今週先週比は1.89と急速な増加が継続している(今週先週比は3連休の影響にも注意が必要)。全国的にこれまでで最も高い感染レベルを更新し続けるとともに、全ての年代で増加している。

新規感染者数の増加に伴い、療養者数も増加が継続し、病床使用率は、地域差が見られるものの総じて上昇傾向が続き、医療提供体制に大きな負荷が生じている地域もある。
また、重症者数や死亡者数も増加傾向が続き、今後の動向に注意が必要。

実効再生産数:
全国的には、直近(7/10)で1.24と1を上回る水準となっており、首都圏、関西圏ともに1.26となっている。

掲載日:2022年7月25日

第91回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年7月21日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第91回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版(準備中)

感染状況について

全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約565人となり、今週先週比は1.72と急速な増加が継続している。 また、全国的にこれまでで最も高い感染レベルとなるなど、全ての都道府県や年代で増加している。

新規感染者数の増加に伴い、療養者数は増加し、病床使用率は、地域差が見られるものの総じて上昇傾向にある。
大都市部を始め多くの地域において3割を超え、一部で5割を超える地域も見られる。
また、重症者数や死亡者数は、低水準にあるものの増加傾向にある。

実効再生産数:
全国的には、直近(7/3)で1.23と1を上回る水準となっており、首都圏、関西圏ともに1.25となっている。

掲載日:2022年7月14日

第90回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年7月13日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第90回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版(準備中)

感染状況について

全国の新規感染者数(報告日別)は、直近の1週間では10万人あたり約290人となり、今週先週比は2.14と急速に増加している。また、全ての都道府県や年代で増加している。

新規感染者数の増加に伴い、療養者数は増加し、病床使用率は総じて低水準にあるものの上昇傾向にある。

現時点では、重症者数や死亡者数は低水準で推移している。

実効再生産数:
全国的には、直近(6/26)で1.14と1を上回る水準となっており、首都圏では1.19、関西圏では1.16となっている。

複数国で報告されているサル痘について
(第2報)

2022年7月12日時点

国立感染症研究所

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概要

  • 2022年5月以降、欧米を中心に、これまでサル痘の流行が報告されてきたアフリカ大陸の国々(以下、常在国)への渡航歴のないサル痘症例が6,000例以上報告されており、常在国外では前例のない流行となっている。世界的にサル痘に対するサーベイランス体制が十分整っていないことから、水面下で感染が広がっている可能性があり、今後も感染者の報告が続く可能性がある。
  • 今回の流行で報告されている症例の多くは男性であり、男性間で性交渉を行う者(MSM; Men who have sex with men) が多く含まれていることが各国から報告されている。
  • サル痘はヒトからヒトに容易に伝播するものではない。感染者の皮膚病変や近接した対面での呼吸器飛沫への一定時間以上の曝露(prolonged face-to-face contact in close proximity)、感染者が使用した寝具等の媒介物(fomite)により伝播する。現時点の一連の報告では、感染者にみられた病変の部位などから性的接触に伴う伝播があった可能性が指摘されている。
  • サル痘は多くは自然軽快するが、小児や妊婦、免疫不全者で重症となる場合がある。2022年5月以降では、従来の常在国であるナイジェリアと中央アフリカ共和国で死亡例が3例報告されたが、常在国外での死亡例は報告されていない。
  • 7月12日現在、日本国内においてサル痘の報告はない。ただし、今後国内でも感染者が出る可能性はあり、検査・診断を含めた対応について整備が進められている。
  • サル痘に類似する発疹等の症状がある場合は速やかに医療機関に相談することが望ましい。特に次のような者では、皮疹の出現を含む体調に注意を払うことが望ましい。
     ➢サル等の患者または疑い例の者との接触のあった者
     ➢複数または不特定多数との性的接触があった者
    なお、常在国外で報告されている症例については、これまでに知られているサル痘の症状の特徴とは異なる所見があることが報告されており、注意が必要である。
  • 諸外国では症例の探索、感染経路の調査が行われている。我が国では諸外国での知見を注視していくとともに、国内サーベイランスの強化させていく。患者発生時には積極的疫学調査により実態を速やかに明らかにする必要がある。また、適切に対応すれば感染拡大の封じ込めが可能な疾患であるので、注意喚起、早期の患者発見と対応が重要である。
  • 特定の集団や感染者、感染の疑いのある者等に対する差別や偏見は、人権の侵害につながるため、客観的な情報に基づき、先入観を排した判断と行動がなされるべきである。

 

 

ブタの日本脳炎抗体保有状況 -2022年度速報-

(2022年7月10日現在)

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 日本脳炎は、日本を含め東南アジアを中心に広く常在した疾患で、日本脳炎ウイルス(Japanese encephalitis virus: JEV)に感染した者のうち100~1,000人に一人程度が発症すると推定される重篤な急性脳炎である [1]。ヒトへの感染は、イエカ属の蚊(日本では主にコガタアカイエカ)がJEVに感染したブタ等を刺咬・吸血し、その後ヒトを吸血することにより感染する。

  1960年代までは毎年夏から秋にかけて多数の日本脳炎患者が発生しており [2,3]、ブタの感染状況からJEVが蔓延している地域に多くの患者発生がみられた。1960年代の日本脳炎の患者が多数発生していた環境では、日本脳炎患者が検出される時期に先行してブタのJEVに対するHI抗体の上昇が確認されている [4]。現在では、日本脳炎ワクチンの接種の普及や生活環境の変化等により、日本脳炎患者報告数が毎年10例前後に減少しており、ブタの感染状況と患者発生数は必ずしも一致していない。しかし、ブタの抗体保有状況はウイルス陽性蚊の存在している地域を間接的に示唆すると推測され、このような地域ではヒト感染のリスクが高くなっていると考えられる。2015年には10か月齢の小児にも感染が確認されている[5]。

 感染症流行予測調査事業では、全国各地のブタ血清中のJEVに対する抗体保有状況を赤血球凝集抑制法(Hemagglutination inhibition test: HI法)により測定し、JEVの蔓延状況およびウイルスの活動状況を調査している。前年の秋以降に生まれたブタがJEVに対する抗体を保有し、さらに2-メルカプトエタノール(2-ME)感受性抗体(IgM抗体)を保有している場合、そのブタは最近JEVに感染したと考えられる。下表は本年度の調査期間中におけるブタの抗体保有状況について都道府県別に示しており、JEVに最近感染したブタが認められた地域を青色、それに加えて調査したブタの50%以上に抗体保有が認められた地域を黄色、80%以上に抗体保有が認められた地域を赤色で示している。

 本速報はJEVの感染に対する注意を喚起するものである。それぞれの居住地域における日本脳炎に関する情報にも注意し、JEVが活動していると推測される地域においては、日本脳炎の予防接種を受けていない者、とくに乳幼児や高齢者は蚊に刺されないようにするなどの注意が必要である。

 なお、日本脳炎定期予防接種は、第1期(接種回数は初回2回、追加1回)については生後6か月から90か月に至るまでの間にある者、第2期(1回)については9歳以上13歳未満の者が接種の対象であるが、平成7年4月2日(1995年4月2日)から平成19年4月1日(2007年4月1日)までに生まれた者で積極的勧奨の差し控えなどにより接種機会を逃した者は、20歳になるまでの間、定期接種として合計4回の日本脳炎ワクチンの接種が可能である(詳細は厚生労働省ページを参照)。また、平成19年4月2日(2007年4月2日)~平成21年10月1日(2009年10月1日)までに生まれた者に対しても、生後6か月から90か月未満のみならず9歳以上13歳未満の間にも、第1期(3回)の不足分を定期接種として接種可能である。ただし、生後90か月(7歳半)以上9歳未満は定期接種として接種することができないので、注意が必要である。市区町村からの案内に沿って接種を受けていただくようお願いしたい。また、令和3年度は、日本脳炎ワクチンの供給量が減少していたため、1期の優先接種が行われてきたが、令和3年12月より供給が再開され、令和4年度からは全接種対象者の接種が可能となっている。詳細は市区町村からの案内あるいは厚生労働省のホームページ[6,7]を参照されたい。

抗体保有状況
(月別推移)


抗体保有状況
(地図情報)

JE 2021 11
1. 日本脳炎とは
2. 松永泰子,矢部貞雄,谷口清州,中山幹男,倉根一郎. 日本における近年の日本脳炎患者発生状況-厚生省伝染病流行予測調査および日本脳炎確認患者個人票(1982~1996)に基づく解析-. 感染症学雑誌. 1999. 73: 97-103.
3. Arai, S., Matsunaga, Y., Takasaki, T., Tanaka-Taya, K., Taniguchi, K., Okabe, N., Kurane, I., Vaccine Preventable Diseases Surveillance Program of Japan. Japanese encephalitis: surveillance and elimination effort in Japan from 1982 to 2004. Japanese Journal of Infectious Diseases. 2008. 61: 333-338. Pubmed
4. Konno, J., Endo, K., Agatsuma, H., Ishida, N., Cyclic outbreaks of Japanese encephalitis among pigs and humans. American Journal of epidemiology. 1966. 84: 292-300.Pubmed
5. 2015年夏に千葉県で発生した日本脳炎の乳児例. IASR Vol. 38 p.153-154: 2017年8月号. 
6. 厚生労働省. 日本脳炎. (2022年7月12日アクセス)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou20/japanese_encephalitis.html
7. 厚生労働省. ワクチンの供給について. (2022年7月12日アクセス)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou03/index_00002.html

国立感染症研究所 感染症疫学センター/ウイルス第一部

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