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MRSA血流感染症の臨床・治療について

(IASR Vol. 45 p38-39: 2024年3月号)
 
臨床像

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus: MRSA)は, 院内感染を起こす代表的な耐性菌である。厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業(JANIS)検査部門2020年年報のデータでは, 依然としてMRSAは院内で分離される耐性菌として最も分離頻度が高い1)

 

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小児におけるMRSA感染症について

(IASR Vol. 45 p39-40: 2024年3月号)
 

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus: MRSA)は小児においても重要な耐性菌であり, 一般診療での遭遇頻度も高い。健常成人のMRSA保菌率は2-10%で, 小児の保菌率はそれより高いとされているが, 地域や人種によっても異なる。新生児期から小児期にかけての, 黄色ブドウ球菌の保菌率を調べた縦断研究によると, 生後8週までに40-50%の児が母親由来の黄色ブドウ球菌を保菌するが, 生後6か月時点では保菌率は21%まで下がるとされている1)。低下の理由として, 黄色ブドウ球菌への免疫反応の発達と, 上咽頭での他の微生物と競合が起こること, の2つが影響しており, また, 肺炎球菌の保菌率と黄色ブドウ球菌の保菌率が逆相関する, との報告もある2)

 

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MRSA薬剤耐性プロファイルの経年変化の特徴と全ゲノムシーケンス解析結果との関連について

(IASR Vol. 45 p40-42: 2024年3月号)
 

黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の中でもメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant S. aureus: MRSA)は治療上有効な抗菌薬が限られるため, 2016年の世界保健機関(WHO)報告でも最重要薬剤耐性菌の1つとされている。以前は医療関連型MRSAが大部分であったが年々減少し, 1990年代より出現した市中獲得型MRSAが増加している。MRSAの動向を監視するうえで, 筆者は, 何種類かの抗菌薬に対する薬剤感受性結果を組み合わせた薬剤耐性プロファイル(多剤耐性表現型)に着目した。

 

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国内外の家畜関連MRSA(LA-MRSA)の状況について

(IASR Vol. 45 p42-43: 2024年3月号)
 
海外における家畜関連MRSA(LA-MRSA)の状況

海外では, 2003年にオランダの養豚従業者の家族である4歳の少女から, ヒトの医療において問題となっている医療関連型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(healthcare-associated methicillin-resistant Staphylococcus aureus: HA-MRSA), 市中獲得型MRSA(community-acquired MRSA: CA-MRSA)とは, 遺伝子的性状などが異なるMRSAが分離され, 家畜関連MRSA(livestock-associated MRSA: LA-MRSA)として注目された。その後LA-MRSAは, オランダ(2021年;76%: MARAN20211)), デンマーク(2019年;95%: DANMAP20192))の豚農場から高率に検出された。また, 2013年の欧州の調査では, LA-MRSAは欧州では, ヒトのMRSA分離株の3.9%を占めており, 5カ国(ベルギー, デンマーク, スペイン, オランダ, スロベニア)では10%を超えていた3)。LA-MRSAが検出された当初, その遺伝子的性状はMLST型が主にST398または近縁のCC398であり, spa型はt011またはt034, SCCmecはⅣ型またはⅤ型であり, 従来のヒト由来MRSAと明確に区別されていた。その後, 世界各地よりLA-MRSAが分離され, その遺伝子型は多様であることが報告されている(4)。またLA-MRSAは, テトラサイクリンを含む多くの抗菌薬と, 亜鉛に対する耐性遺伝子を高率に保有していることが報告されている。

 

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伴侶動物由来MRSAに関する最新動向

(IASR Vol. 45 p43-44: 2024年3月号)
 
はじめに

近年, 感染症対策においてはヒトだけでなく動物も含めた『One Health』での取り組みが推進されており, 一角を担うのが伴侶動物※である1,2)。伴侶動物はヒトとのかかわりが密接であり, そのほとんどが犬猫などの哺乳類であるため, 共通感染症も多い1)。ヒトが伴侶動物と触れ合う際の感染リスクを考えるうえで, 皮膚表面に存在するブドウ球菌属は重要な指標である3)。伴侶動物に病原性を示す主要なブドウ球菌属の中で最も多い菌種はStaphylococcus pseudintermediusであるが, ヒトへの感染は稀である3,4)。一方, Staphylococcus aureusは伴侶動物における次点の優勢種であるが, ヒトと伴侶動物の両方に感染性を持つため, 飼育や触れ合いによる感染伝播が推測される3-5)

 

更新  2024.3.26 第11週(3/11~3/17)データを掲載しました。

※次回の第12週の更新は4月2日(火)です。

※2015年からはCSVデータのみの更新となります。

2015年からのIDWRの変更についてはこちら から。


*データは報告数集計の速報値として公開するものであり、後日感染症発生動向調査 週報 、さらには確定データとしての年報において修正される場合があります。また発生動向に関するコメント、その他詳細についても週報をご参照ください。

 

■全数把握疾患、報告数、累積報告数、都道府県別

一~五類感染症の全数把握疾患についての各週の報告数、および当年第1週からの累積報告数です。
※累積報告数は再集計されています。

DL-csv

第11週

■定点把握疾患(週報告)、報告数、定点当たり報告数、都道府県別
五類感染症のうち週単位で報告される定点把握疾患の報告数、および定点当たり報告数です。
DL-csv

第11週

■定点把握疾患(週報告)、累積報告数、定点当たり累積報告数、都道府県別
五類感染症のうち週単位で報告される定点把握疾患の、当年第1週からの累積報告数、および定点当たり報告数です。
※累積報告数は再集計されています。
DL-csv

第11週

■疾病毎定点当たり報告数 ~過去10年間との比較~
五類感染症のうち週単位で報告される定点把握疾患の過去10年間の定点当たり報告数です。
DL-csv

第11週

■定点把握疾患(週報告)、(1週から当該週まで)報告数・定点当り報告数
五類感染症のうち週単位で報告される定点把握疾患の、当年1週から当該週までの各週の報告数、および定点当たり報告数です。
※報告数・累積報告数は再集計されています。
DL-csv

第11週

■動物疾患、報告数、累積報告数、都道府県別
獣医師が届出を行う感染症と対象動物についての各週の報告数、および当年第1週からの累積報告数です。
※累積報告数は再集計されています。
DL-csv

第11週

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan