国立感染症研究所

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エクリズマブ使用患者においては髄膜炎菌ワクチン接種を受けていても侵襲性髄膜炎菌感染症に対してハイリスクである

(IASR Vol. 38 p.208: 2017年10月号)

米国では, エクリズマブ〔Eculizumab:商品名ソリリス(アレクシオンファーマ):ヒト化モノクローナル抗体, 終末補体(C5開裂)阻害薬〕は, 発作性夜間血色素尿症(ヘモグロビン尿症)と, 非典型溶血性尿毒症症候群の治療薬として認可されている。これらは稀で重篤な疾患である。エクリズマブの使用は, 髄膜炎菌感染症の発生率を1,000~2,000倍増加させることが知られており, 予防接種の実施に関する諮問委員会(The Advisory Committee on Immunization Practices: ACIP)は, 患者がエクリズマブを使用する治療の前に4価の髄膜炎菌ワクチン(MenACWY)と血清群B(MenB)ワクチンの両方の接種を推奨している。なお, ワクチン接種をしていても, エクリズマブ使用患者は髄膜炎菌感染症に対してリスクが高いことから, 米国の医療機関では他の国と同様に, エクリズマブ使用期間(多くの患者でほぼ一生涯)での抗菌薬の予防投与を推奨している。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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