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Cutting Edge: Brucella abortus exploits a cellular prion protein on intestinal M cells as an invasive receptor.

Nakato,G., Hase,K., Suzuki,M., Kimura,M., Ato,M., Hanazato,M., Tobiume,M., Horiuchi,M., Atarashi,R., Nishida,N., Watarai,M., Imaoka,K. and Ohno,H.

Journal of Immunology, 189:1540-1544, 2012

Brucella abortusは主に乳・乳製品を介し経口感染するが、生体内での感染経路は不明である。これまでB. aborutsはHsp60と正常型プリオン蛋白質(PrPC)の相互作用を利用しマクロファージに侵入するとの報告がある。我々はPrPCが腸管のM細胞の管腔側に強く発現することを見出し、このPrPCがB. abortusの抗原受容体として機能することによりM細胞が感染経路となっている可能性を考えた。

 

 

Brucella abortusは主に乳・乳製品を介し経口感染するが、生体内での感染経路は不明である。これまでB. aborutsはHsp60と正常型プリオン蛋白質(PrPC)の相互作用を利用しマクロファージに侵入するとの報告がある。我々はPrPCが腸管のM細胞の管腔側に強く発現することを見出し、このPrPCがB. abortusの抗原受容体として機能することによりM細胞が感染経路となっている可能性を考えた。実際に、パイエル板を含むマウス腸管結紮法によりB. abortusがM細胞からのみ侵入すること、経口感染ではPrPC欠損マウス(Prnp-/-)でB. abortusのパイエル板への取込みが低下することを見出した。さらに、組換えPrPCによるin vitro実験や腸管結紮法において、B. abortusを抗Hsp60抗体で前処理すると、それぞれ結合や感染が低下した。以上より、B. abortusはHsp60を用いてM細胞表面のPrPCを利用し宿主に感染・侵入することが示唆された。理化学研究所(RCAI免疫系構築研究チーム)、感染研(獣医科学部、感染病理部、免疫部)等との共同研究である。

 

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