国立感染症研究所

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Allosteric regulation of phosphatidylinositol 4-kinase III beta by an antipicornavirus compound MDL-860.

Minetaro Arita, Georgi Dobrikov, Gerhard Pürstinger, and Angel S. Galabov

ACS Infectious Diseases, 3: 585-594, 2017

 

virology 2017 4国立感染症研究所ウイルス第二部、ブルガリア科学アカデミー、オーストリアインスブルック大学との共同研究で、作用機序が未知であった抗ピコルナウイルス化合物MDL-860が宿主タンパクであるホスファチジルイノシトール-4-キナーゼβ(PI4KB)のアロステリック制御を介して抗ウイルス活性を示すことを見出しました。


 抗ピコルナウイルス薬は、ライノウイルス感染による喘息の増悪や手足口病の重症化の治療、またポリオウイルス流行の抑制等を目的として開発が期待されている薬です。MDL-860は、生体でのウイルス感染抑制効果が確認されている有望な抗ピコルナウイルス薬候補化合物の一つです。1982年にその抗ウイルス活性が報告されましたが、標的および作用機序は不明のままでした。今回の研究で、MDL-860がPI4KBの646番目のシステイン残基に共有結合してPI4KBの活性を低下させることで抗ウイルス活性を示すことが示されました。本研究の結果は、MDL-860を含む新しいグループの抗ピコルナウイルス化合物の作用機序を明らかにすると共に、宿主タンパクPI4KBのこれまでに知られていなかったアロステリック制御に関して新しい知見を与えるものです。今後さらに研究を進めることで、将来的にはPI4KB活性を厳密に制御出来る新しいタイプの抗ウイルス薬の開発につながることが期待されます。

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