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カテゴリ: ゲノム研究
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The genome landscape of the African green monkey kidney-derived Vero cell line.

Osada N, Kohara A, Yamaji T, Hirayama N, Kasai F, Sekizuka T, Kuroda M, and Hanada K.

DNA Research, 21, 673-683, 2014

アフリカミドリザルの摘出腎臓から約半世紀前に日本国内で樹立された培養細胞株であるVero細胞は、多様なウイルスの増殖性がよく、さまざまな細菌毒素の感受性にも優れていることから、世界中で微生物学の研究だけでなく、病院での病原体検査や医薬品メーカによるウイルスワクチン生産にも汎用されてきました。

 

感染研の細胞化学部と病原体ゲノム解析研究センターは、(独)医薬基盤研究所及び国立遺伝学研究所との共同研究により、日本で保存されていた比較的初期のVero細胞を用いてその全ゲノム配列を解読し、核型解析やRNA-seq解析の結果も合わせてゲノム構造を統合的に明らかにしました。その結果、Vero細胞の約30億塩基対のゲノムには、25,877の遺伝子が見出され、さらに、さまざまな興味深いゲノム構造異常も発見できました。例えば、12番染色体には約9 百万塩基対の欠失が見つかり、この欠失のためにウイルス増殖を抑制する役割を持つI型インターフェロン遺伝子のクラスターや細胞増殖の制御しているサイクリン依存性キナーゼインヒビター遺伝子CDKN2A/2Bが失われていることが明らかとなりました。さらに、Vero細胞がメスの個体に由来していることもこの度初めてわかりました。また、Vero細胞のゲノムに内在するサル・D型レトロウイルスの配列多様性も明らかとなりました。これらの情報は、ゲノム編集技術によって新しいVero細胞株を作製することや、細胞の品質管理をゲノムレベルで行う新手法の開発に役立つと考えられます。

 

 

biochem-2015-01

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