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Monoclonal Antibodies against Extracellular Domains of Claudin-1 Block Hepatitis C Virus Infection in A Mouse Model.

Masayoshi Fukasawa, Shotaro Nagase, Yoshitaka Shirasago, Manami Iida, Mayo Yamashita, Kohki Endo, Kiyohito Yagi, Tetsuro Suzuki, Takaji Wakita, Kentaro Hanada, Hiroki Kuniyasu, Masuo Kondoh

Journal of Virology, 89, 4866-4879, 2015

クローディン-1(Claudin-1)は、細胞間接着に働くタイトジャンクション(TJ)を構成する膜タンパク質であり、C型肝炎ウイルス(HCV)の侵入過程にも関与しています。我々は、ヒト肝由来Huh7.5.1細胞から分離したClaudin-1欠損変異細胞株を用いた解析により、培地からのHCV感染だけでなく、細胞-細胞間HCV感染においてもClaudin-1分子が必須であることを示しました。そして、Claudin-1が有望な抗HCV創薬標的の一つであると考え、Claudin-1の細胞外ドメインを特異的に認識するモノクローナル抗体の作製を試みました。

 

 

 クローディンの細胞外ドメインを認識する抗体の作製は非常に難しいことが知られているので、免疫は自己免疫疾患マウスに対してDNA免疫法で行い、モノクローナル抗体のスクリーニングはClaudin-1欠損細胞株およびHuh7.5.1細胞(親株)への抗体結合能の違いを利用する工夫をしました。その結果、インタクトのClaudin-1細胞外ドメインを認識する4種のマウスモノクローナル抗体の樹立に成功し、これら抗体はHCV感染阻止能を示すことが、培養細胞実験系及びキヒト肝キメラマウスを用いた動物実験系の双方で確認されました。一方、培養肝細胞において、本抗体長期処理によりClaudin-1のTJへの分布に影響は見られず、TJのintegrityにも変化が見られませんでした。また、キメラマウスでも毒性は観察されませんでした。以上の結果から、本研究で作製したClaudin-1抗体は、抗HCV侵入阻害剤開発に向けて有用なツールになることが期待されます。本研究は、国立感染症研究所細胞化学部・ウイルス第二部、大阪大学大学院薬学研究科、和光純薬工業、浜松医大、奈良医大との共同研究の成果です。

 

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan