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Mechanism of Poliovirus Resistance to Host Phosphatidylinositol-4 Kinase III beta Inhibitor

Arita M.

ACS Infectious Diseases, 2: 140-148, 2016

ホスファチジルイノシトール-4-キナーゼβ(PI4KB)は、抗ウイルス薬および抗マラリア薬候補化合物の主要な標的であることが近年明らかにされてきた。PI4KB阻害剤に対するマラリアの耐性は、マラリア原虫自身のPI4KB遺伝子のコピー増幅もしくは点変異で生じることが示されているが、宿主のPI4KB活性に依存するウイルスの耐性獲得メカニズムは不明であった。

  今回、PI4KB阻害剤に耐性を示すポリオウイルス変異株の解析を行った結果、耐性変異の導入により、前駆体タンパク3ABから3Aを切り出す効率が上昇することを見出した。過剰に産生された3Aタンパクは、宿主のPI4KB経路の活性化を引き起こすことなしに、PI4KB阻害剤存在下でのウイルス複製を促進した。本研究の結果は、ウイルスが、ウイルスタンパク質の組成バランスを調節することにより複製の場の性質を変化させ、必須宿主因子の活性が低下した環境に適応しうることを示唆する。

 

 virology 2016 1

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