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Tracking and clarifying differential traits of classical- and atypical L-type bovine spongiform encephalopathy prions after transmission from cattle to cynomolgus monkeys.

Hagiwara K, Sato Y, Yamakawa Y, Hara H, Tobiume M, Okemoto-Nakamura Y, Sata T, Horiuchi M, Shibata H, and Ono F.

PLoS One, 14(5): e0216807, 2019

virology 2017 4

ウシ海綿状脳症(BSE)病原体のプリオンには、classical型(C型)と非定型タイプ(L型、H型)があります。C型プリオンが混入した餌が原因となって英国では多くの牛がBSEにかかり、さらに感染牛の神経などに蓄積したC型プリオンを食べた人の中に変異型クロイツフェルト・ヤコブ病が発生しました。一方、L型やH型プリオンが人へ感染したという報告はこれまでありませんが、L型プリオンはヒト・モデルとしてのカニクイザルに感染します。

 ところで、牛由来のL型プリオンを羊などへ感染させると、C型に似たタイプへ変化(変異)して増える場合があることが知られています。そこで、もしL型プリオンが人に感染した場合、そのような変異が起こるでしょうか? この疑問に答えるために、C型とL型のプリオンをそれぞれ牛からカニクイザルへ感染させて、サルの脳で増えたプリオンの性状を比較しました。その結果、サルの脳に蓄積した2種のプリオンは互いによく似た生化学的特徴を持っていましたが、マウスに対する病原性は全く異なることがわかり、このヒト・モデルにおいてL型からC型が生じることはないと結論されました。

virology 2019 7

 

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