国立感染症研究所
実地疫学専門家養成コース
第25期 研修員募集要項
Field Epidemiology Training Program Japan (FETP-J)
1.目 的
「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(平成10年法律第114号)」において、自治体における感染症対策に関する責務は明記され、その重要性はますます高まっている。特に令和2年に新型コロナウイルス感染症が世界的に重大な公衆衛生上の問題となって以降の、自治体における感染症の発生動向調査(サーベイランス)をより充実させること、突発的な健康被害が発生した場合に自治体で迅速かつ効果的に積極的疫学調査を行うこと、さらにはそれらの健康危機事象に対応できる人材を養成すること、の必要性が急激に、より増大してきたことはその背景として大きい。
平成11年より、国立感染症研究所においては実地疫学専門家養成コース(FETP)が設置されている。その目標は、感染症の流行・集団発生時には迅速かつ的確にその実態把握及び原因究明に当たり、平常時から質の高い感染症サーベイランス体制の維持・改善に貢献できる実地疫学専門家を養成することであり、新型コロナウイルス感染症の出現により、FETPの必要性はさらに高まった。本稿は、FETP研修員に応募するにあたっての情報を提供することを目的としている。
2.対 象
国、自治体等において感染症対策等の公衆衛生業務に従事している者、あるいは従事しようとしている者、又は感染症対策等地域保健業務に従事しようとしている者、もしくは大学等において感染症対策の専門家の養成に携わっている者
※詳細は「8.応募資格」参照のこと
3.期 間
2023年4月~2025年3月
※採用の場合は2023年4月1日~2025年3月31日
なお、基本的な2年の研修を終えた後に更に1年の研修期間の希望があれば、所内で審査を行い3年目の上級者むけ研修をうけることができる。この期間には、FETPの指導者としてのトレーニングを中心に、研究に軸を置いた活動など、個々のキャリアパスに応じた内容の研修を行う。
4.内 容
国立感染症研究所で実施される初期導入コース、及び実地疫学研究センターを中心とした所のスタッフ並びにWHO・米国CDC 等の海外専門機関や国内機関から随時招聘される専門家による指導により、次の事項を習得させる。
(1) 国内外の感染症危機事象(単独から広域までのアウトブレイク事例)の情報収集、リスク評価、実地疫学調査及び対応
(2) 感染症サーベイランスデータの分析・評価方法
(3) 国内外の感染症危機事象に関する情報の還元・発信
(4) 疫学的・統計学的研究手法
(5) 感染症危機事象の調査・対応に関する教育経験
(6) 公衆衛生の現場で必要とされる疫学・統計学及び関連法規に関する基礎知識
(7) 感染症疫学研究の国内または海外における論文や学会での発表
5.研修場所
国立感染症研究所実地疫学研究センター
(研修の2年目については、事前相談を必須として、派遣元自治体等における研修も組み込むことができる。)
なお、研修の2年目を派遣元自治体等で受けるように組み込んだ場合は(実地疫学研究センターでは1+1研修と呼称)、原則として 研修を優先させること。自身の業務等の調整は所属元の担当者と相談すること。 1+1研修員が3年目の上級者むけ研修を希望することは出来るが、3年目はFETPの指導者としてのトレーニングを中心に行うことから、原則は国立感染症研究所実地疫学研究センターでの研修を行うこととする。
6.研修修了
所定の修了要件を満たした者については、国立感染症研究所が発行する実地疫学専門家認定書を授与する。
7.募集人数
予算等の状況に応じて適正な人数を選考する。
8.応募資格
(1)~(3)のいずれか、及び(4)から(7)まですべての要件を満たす者
ただし、国家公務員(職員)として採用される場合は、研修期間中に定年 年齢へ達しないこと。
(1) 国、自治体、地方独立行政法人等(試験研究機関に限る)において感染症対策等の公衆衛生業務に従事している者、あるいは従事しようとしている者
(2) 感染症対策等地域保健業務に従事しようとしている者
(3) 大学等において感染症対策の専門家の養成に携わっている者
(4) 医師、歯科医師、獣医師、薬剤師、保健師、看護師、臨床検査技師等の専門資格を持つ者(任用資格である食品衛生監視員、環境衛生監視員等を要件として認める場合がある)
(5) 感染症危機事象の調査・対応に熱意を持ち、研修修了後に、感染症対策等の公衆衛生業務やFETPネットワークの強化に 貢献する意欲のある者
(6) 研修中は国内外の情報収集等を行うため、英語を用いたコミュニケーションに意欲のある者(なお、運用能力については、最低限大学レベルの読解能力を持ち、口頭または文面でのコミュニケーション能力があることが望ましい)
(7) 原則として、2年以上の臨床研修あるいは2年以上の公衆衛生活動(例:行政等における疫学調査や関連する業務等)に従事した経験を有する者
9.研修員の身分等
任期付研究員の研修員は 、研修期間中、国家公務員(職員)として採用される。採用された研修員は、国家公務員(職員)として所属元自治体等で研修を受けることは出来ない。
なお、国、自治体等から派遣の場合には、国立感染症研究所の協力研究員として受入れも可能である。 ただし、この場合、国立感染症研究所から給与・諸手当等は支給されない。
任期
採用予定日(令和5年4月1日)より2年
※基本的な2年の研修を終えた後に更に1年の研修期間の希望があれば、所内で審査を行い3年目の上級者むけ研修をうけることができる(「3.期間」、を参照のこと)。3年目終了時点で、任期満了後に任期の定めのない官職の公募に応募することは差し支えない。
処遇
(1) 給与は、「一般職の任期付研究員の採用、給与及び勤務時間の特例に関する法律(平成9年6月4日法律第65号)」等に基づき、第6条第2項のとおり支給する。
(2) 1週間当たりの勤務時間は、38時間45分(週休2日制)となる。
(3) 事例対応時には時間外の勤務や土日祝日の出張の可能性もある。
(4) 年20日の年次休暇(採用の年は、採用の時期により20日より少ない日数となる。)のほか、特別休暇(夏季・結婚・忌引・ボランティア等)、病気休暇の制度が整備されている。
10.経 費
研修期間中は感染症危機事象発生時の実地疫学調査に係る経費及び疫学的研究の経費は、国立感染症研究所が負担する。ただし、研修期間中の宿泊施設については、各自で用意すること。
また、研修の2年目を派遣元自治体等に組み込んだ場合は、原則、研修のため往来する費用は派遣元が負担すること。
11.採用スケジュール(案)
応募期間:2023年1月4日(水)~2023年1月25日(水)※必着
書類選考:書類選考の結果については、2月1日に当方からメールで連絡します。
面接試験:Webで実施します。なお、事前に参考として適性に関する検査を受けていただく場合があります。
1回目 (主に自治体職員以外の応募者)2023年2月 9日(木)
2回目 (主に自治体職員の応募者) 2023年2月10日(金)
合格発表 :2023年2月22日(水)
採用予定日:2023年4月 1日(土) ※なお、登庁日等については、後日連絡します。
12.出願書類
(1) 派遣機関の公文書(自治体等からの応募者に限る)自治体等からの応募については、派遣中の身分及び2年目の研修場所を明示すること。(新様式別紙参照)
(2) 出願書(様式第1号)
(3) 履歴書(様式第2号)
(4) 志望調書(様式第3号) ※参考情報として、これまでに発表した論文リストがあれば添付
(5) 推薦状 1通
自身の経歴、研究内容、人柄等を知る第三者(所属長、職場の上司、過去に指導的立場にあった者、自身の研究内容について関連のある者等)から、FETP受験に際し、受験者の目的への適合性、これまでの職務・研究等の評価、人柄等について推薦が出来る者に作成を依頼すること。
(様式自由:1通につきA4用紙1枚程度 ※文末に推薦者自署の署名もしくは押印が必要)
推薦状作成者には後日、推薦状の内容について事務局から連絡をするので日中、連絡が可能な連絡先(メールアドレス、電話番号)を明記すること。
(6) 医師、獣医師等専門資格免許証の写し
(7) 語学力資格の写し(必須ではない。資格を所持している場合に限る)
※(2)~(4)は必ず添付の様式(Wordファイル)を使用すること。
13.提出先
国立感染症研究所 実地疫学研究センター長 砂川 富正
〒162-8640 東京都新宿区戸山1-23-1
Tel 03(5285)1111 内線 2583
※出願書類の提出に当たっては、封筒に「FETP出願書類在中」と朱書きすること。
14.出願締切:2023年1月25日(水)※必着
15.照会先
<FETPの研修内容、研修期間等の事前相談、その他コース全般に関すること>
国立感染症研究所 実地疫学研究センター
第一室(飯田橋オフィス)
TEL:03-6261-5930(担当:郡)
Email:q-fetp[at]nih.go.jp
※Emailは[at]をアットマークに変えご利用ください。
16.備 考
本コースは国際的な実地疫学専門家(Field Epidemiologist) の養成コースに準拠した、厚生労働省の認定する研修である。
※FETPの基本方針や研修内容等について詳細をお知りになりたい場合は、事前のご相談や訪問をお薦めします。これらに関するご質問は、上記の実地疫学研究センター第一室宛てにご連絡下さい。
以上。