国立感染症研究所

国立感染症研究所 感染症疫学センター
2020年1月現在
(掲載日:2020年6月2日)

Chlamydia trachomatisは男性の尿道炎や女性の子宮頚管炎をおこす主な病原体の一つである。感染症発生動向調査では、地方自治体が定めた国内約1000の性感染症定点医療機関が報告しており、定点医療機関数は2000年以降微増している(2000年887、2018年984)。地方自治体が定めた性感染症定点医療機関が「症状や所見から性器クラミジア感染症が疑われ、定められた検査方法により診断した」場合に、同医療機関から性器クラミジア感染症として毎月報告される。定められた検査方法には、尿道や性器から採取した検体からのC. trachomatisの検出又はC. trachomatisの抗原か遺伝子の検出、又は血清からの抗体検出が含まれる。

感染症発生動向調査における性器クラミジア感染症の定点当たり報告数は、男女ともに2002年をピークに減少傾向にあったが、2016年から増加していた(図1)。

5歳毎の年齢階級別定点当たり報告数は、男性では2018年は20代後半が多かった(図2)。また、2009年以降、各年齢階級で概ね横ばいであったが、2016年から20代前半の、2018年から20代後半の若年者で増加してきていた。一方、10代後半では2014年から減少していた。

女性の年齢階級別定点当たり報告数は、20代前半が最も多い状況が続いていた(図3)。2009年以降、各年齢階級で概ね横ばいであったが、2016年から20代で、2017年から30代前半で増加してきていた。一方、10代後半では2014年から減少していた。

国内では若年人口が減少してきていることから、若年者における性器クラミジア感染症の罹患率は、より高齢の人達に比べ、更に増加してきている可能性がある。若年者で性器クラミジア感染症が増加してきている可能性を深刻に捉え、コンドームの適切な使用を含む若年者への性教育の推進、医療機関での性器クラミジア感染症増加の周知とパートナー健診の推進等の対策を進める事が重要である。

図1. 感染症発生動向調査における性器クラミジア感染症定点当たり報告数、2000-2018年
図2. 男性の年齢階級別性器クラミジア感染症定点当たり報告数、15-54歳、2009-2018年
図3. 女性の年齢階級別性器クラミジア感染症定点当たり報告数、15-54歳、2009-2018年

 


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