国立感染症研究所

米疾病対策予防センター(CDC)は35日、米国で抗菌薬の切り札とされるカルバペネム系抗生物質に耐性を持つ腸内細菌科の細菌(Carbapenem-Resistant EnterobacteriaceaeCRE)による感染症が増えており、早急な対応が必要であると発表しました。

http://www.cdc.gov/media/releases/2013/p0305_deadly_bacteria.html

http://www.cdc.gov/vitalsigns/HAI/CRE/

http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm6209a3.htm?s_cid=mm6209a3_w

 発表によると、過去10年間でカルバペネム耐性の腸内細菌科の細菌が1.2%から4.2%に、特にKlebsiella pneumoniaeに限ると1.6%から10.4%へ増加しました。また2012年上半期で 全米の病院の4%、長期急性期病院の18%でカルバペネム耐性腸内細菌科の細菌による感染症が発生しました。

 

 日本国内においては、厚生労働省院内感染対策サーベイランス事業がカルバペネムやその他の耐性菌の動向を把握し、以下のサイトで情報を公開しています。

http://www.nih-janis.jp

 2011年は、大腸菌のイミペネム耐性は0.1%K. pneumoniaeでは0.2%でした。

 米国では、カルバペネム耐性菌はKPC型カルバペネマーゼを産生する菌が中心ですが、日本においてはIMP型カルバペネマーゼを産生する菌が多く、KPC型は現在のところ稀です。

http://www.niid.go.jp/niid/ja/drug-resistance-bacteria-m/drug-resistance-bacteria-iasrd/3096-kj3952.html

 日本においてカルバペネム耐性の腸内細菌科の菌は少なくとも米国ほど拡散していませんが、このような耐性菌は治療に困難を来すことから、医療機関においては引き続き注意が必要です。腸内細菌科に属する菌種でカルバペネム耐性を示す菌が分離された場合は、近隣の連携病院、大学附属病院、自治体などにご相談いただくか、国立感染症研究所細菌第二部(このメールアドレスはスパムボットから保護されています。閲覧するにはJavaScriptを有効にする必要があります。)に解析を依頼することが出来ます。

 

<参考>米国CDCが警告を発したカルバペネム耐性腸内細菌(CRE)に関するQ&A

 

文責: 柴山恵吾 (国立感染症研究所 細菌第二部)  

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