(IASR Vol. 36 p. 33-35: 2015年3月号)
デングウイルスは、フラビウイルス科に分類され、1~4型の4つの血清型がある。デングウイルスは、ネッタイシマカ(Aedes aegypti)やヒトスジシマカ(Aedes albopictus)の刺咬により人→蚊→人→蚊の感染環において自然界に存在する。ネッタイシカは都市部に多く生息し、ヒトスジシマカは都市部と郊外の両方に生息する。日本では、ヒトスジシマカは国内の広範な地域生息している。人は感染蚊の刺咬後、通常3~7日程度の潜伏期を経て発熱、発疹、疼痛(関節痛)を3主徴とするデング熱を発症する(本号3、6&9ページ; IASR 35: 241-242, 2014)。デング熱は熱帯・亜熱帯地域で流している(本号14ページ)。特異的な治療法や実用化されたワクチンはなく(本号12ページ)、輸液や解熱鎮痛薬などで対処する。稀に一部のデング熱患者が、出血、ショック症状を呈し、死に至る危険性もある。適切な治療により致命率を減少させることができる。
感染症発生動向調査:感染症法に基づく感染症発生動向調査では、デング熱は全数把握の4類感染症として診断後直ちに届け出ることが医師に義務付けられている(デング熱・デング出血熱の届出基準はhttp://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-04-19.html参照)。