国立感染症研究所

2016422

被災地・避難所でボランティアを計画されている皆様の感染症予防について

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現在、被災地においては、食料、水の不足、寒さに加え、衛生環境の悪化、避難所での密集した生活、疲労による免疫力の低下など様々な要因で感染症が流行しやすい状況となっています。ボランティアで被災地・避難所へ向かわれる方には、主に感染症予防(特に持ち込みおよび自身の罹患の予防)という観点から、是非以下の点についてご留意ください。

 

 

・ご自身の体調が悪い場合は、ボランティアの延期を検討し、体調が完全に回復してから現地に向かうようにしてください。

・ワクチンで予防できる疾患に関しては(以下を参照)、母子健康手帳などでご自身のワクチン接種歴を確認し、望ましいと考えられるワクチンについては、可能な限り出発前に接種してから現地に向かうことを推奨します。

(優先順位:高◎、中○、低△)

 ‐◎インフルエンザワクチン(2015-16年シーズンのワクチンを接種していない場合)

 ‐◎麻疹・風疹混合ワクチン(これまでに罹ったことがなく、2回の接種が終了していない場合)

   ‐○破傷風トキソイドワクチン
※創傷を負う可能性がある作業に従事する場合には接種を強く推奨

※特に45歳以上では免疫を持っている人が少ないので接種を推奨(参考資料「感染症流行予測調査」:http://www.niid.go.jp/niid/ja/y-graphs/4513-tetanus-yosoku-serum2013.html

45歳未満で、小児期にDPT,DTワクチンの接種を受けている方は、過去10年以内に接種を受けていなければ、1回の追加接種を推奨

 ‐○ A型肝炎ワクチン(特に60歳未満では免疫保有者が少なく、接種を推奨)

  ‐△水痘・おたふくかぜワクチン(これまでに罹ったことがなくワクチンを受けていない場合には、接種を検討) 

  現地での健康管理には、ご自身で十分注意してください。現地は夜間、気温が低下し、10℃に満たない地域があります。室内でも低体温症が危惧されております。防寒対策についても十分ご注意ください。

  被災地で体調の悪い時は、ボランティアセンターあるいはそのチームのリーダー、健康管理者などに告げて、第一線を離れて下さい。ご本人のためのみでなく、被災された方々に感染を拡大させないために重要です。

  間もなくダニの活動が活発になってくる時期です。森林や草地等に入られる場合、ダニ媒介性疾患(日本紅斑熱、ツツガムシ病、SFTS等)の感染の可能性があるため、森林や草地等に入られる場合は長袖、長ズボン及び足を完全に覆う服装をして肌の露出を少なくすることが重要です(「マダニ対策、今できること」参照)。

  咳エチケット(マスクの着用、咳き込むときに口を覆うことなど)、飲食前、トイレ後の手指衛生など(速乾性のアルコール製剤、アルコール綿の小パッケージなどの持参を推奨)、可能な限りの感染症予防策を心掛けてください。

 

※ 被災地・避難所ではマスクが不足している場合があります。ご自身で使用されるマスクは、十分な枚数ご持参ください。

感染症を被災地に持ち込まない、およびご自身が罹患しないために、最大限の努力をよろしくお願いします。

(文責)国立感染症研究所感染症疫学センター

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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