(掲載日 2015/11/5) (IASR Vol. 36 p. 247-248: 2015年12月号)
エンテロウイルスD68型(EV-D68)は、1962年に米国で呼吸器感染症の小児から初めて検出された1)。日本では、2010年に呼吸器感染症患者からEV-D68の急激な検出増加が認められ、検出ウイルス株の分子疫学解析が報告された(大阪市、山形県)2,3)。一方、喘息発作を誘発する可能性が山口県から、麻痺症例からの検出が広島県から報告されている4,5)。2015年9月には、国内でのEV-D68の再流行の兆しが報告された6,7)。
(掲載日 2015/10/15、2015年10月29日更新) (IASR Vol. 36 p. 226-227: 2015年11月号)
エンテロウイルスD68型(EV-D68)は、2014年秋に米国で呼吸器疾患1,153例(2014年8月中旬~2015年1月15日)のアウトブレイクへの関与で注目されているウイルスである1)。米国では同時期に急性弛緩性脊髄炎が120例(2014年8月~2015年7月)と多発し、その一部の呼吸器検体からEV-D68が検出され、関連が疑われている2)。2014年秋は欧州でも呼吸器検体からEV-D68を検出した急性弛緩性脊髄炎3例が報告された3)。
(掲載日 2015/10/1) (IASR Vol. 36 p. 193-195: 2015年10月号)
エンテロウイルスD68型(EV-D68)は1962年に発見された呼吸器感染症を呈するウイルスである。日本では2010年と2013年に100例以上の報告があり、2014年に広島県でEV-D68による弛緩性麻痺の報告があった1)。海外では、2014年8月に米国ミズーリ州とイリノイ州でEV-D68による呼吸器疾患のアウトブレイクが発生し、2015年1月までに全米から1,153名の検査陽性患者が報告され、因果関係は確定していないが、14名の死亡例から同ウイルスが検出されている。また、米国コロラド州ではEV-D68による呼吸器疾患のアウトブレイクに関連した12名の弛緩性麻痺あるいは脳神経機能異常を呈した小児患者が報告されている2,3)。 2015年9月、東京都立小児総合医療センターへ気管支喘息様症状による呼吸障害で入院する患者が著しく増加した。これらの喘息様症状を呈した患者で通常の呼吸器ウイルスがPCRで検出されなかったため、EV-D68アウトブレイクを疑い検体を採取した5名のうち4名からEV-D68が検出された。その詳細を報告する。
(IASR Vol. 35 p. 295- 296: 2014年12月号)
エンテロウイルス68型(EV-D68)は、1962年に米国カリフォルニア州において初めて、気管支炎や肺炎の小児患者4名から分離されたウイルスであり、検出頻度が少ないことから、極めて稀な呼吸器感染症の原因ウイルスの1つであると考えられてきた1)。わが国では、2005~2010年までは毎年数例のみであったが、2010年と2013年は100例を超えて報告されている(https://kansen-levelmap.mhlw.go.jp/Byogentai/Pdf/data60j.pdfおよびhttps://idsc.niid.go.jp/iasr/virus/graph/ev2-0110.pdf)。広島県では、近年、4名の小児および乳幼児患者からEV-D68を検出しているので、それら症例の概要を報告する。