国立感染症研究所

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喘息症状を呈する患者からのエンテロウイルス68型(EV-D68)の検出―広島市

(掲載日 2015/10/29) (IASR Vol. 36 p. 249-250: 2015年12月号

2015年9月以降、広島市内の病原体定点医療機関から気管支喘息、喘息発作、喘息性気管支炎等の診断名で、喘息症状(喘息様症状を含む)を呈する患者の検体についての検査依頼が極端に増加した(図1)。同時に、医療機関から今シーズンは重症の喘息症状患者が多く発生しているとの情報提供もあった。

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エンテロウイルスD68型が検出された、急性弛緩性脊髄炎を含む8症例―さいたま市

(掲載日 2015/10/15、2015年10月29日更新)  (IASR Vol. 36 p. 226-227: 2015年11月号

エンテロウイルスD68型(EV-D68)は、2014年秋に米国で呼吸器疾患1,153例(2014年8月中旬~2015年1月15日)のアウトブレイクへの関与で注目されているウイルスである1)。米国では同時期に急性弛緩性脊髄炎が120例(2014年8月~2015年7月)と多発し、その一部の呼吸器検体からEV-D68が検出され、関連が疑われている2)。2014年秋は欧州でも呼吸器検体からEV-D68を検出した急性弛緩性脊髄炎3例が報告された3)

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エンテロウイルスD68型が検出された小児4症例―東京都

(掲載日 2015/10/1)  (IASR Vol. 36 p. 193-195: 2015年10月号)

エンテロウイルスD68型(EV-D68)は1962年に発見された呼吸器感染症を呈するウイルスである。日本では2010年と2013年に100例以上の報告があり、2014年に広島県でEV-D68による弛緩性麻痺の報告があった1)。海外では、2014年8月に米国ミズーリ州とイリノイ州でEV-D68による呼吸器疾患のアウトブレイクが発生し、2015年1月までに全米から1,153名の検査陽性患者が報告され、因果関係は確定していないが、14名の死亡例から同ウイルスが検出されている。また、米国コロラド州ではEV-D68による呼吸器疾患のアウトブレイクに関連した12名の弛緩性麻痺あるいは脳神経機能異常を呈した小児患者が報告されている2,3)。 2015年9月、東京都立小児総合医療センターへ気管支喘息様症状による呼吸障害で入院する患者が著しく増加した。これらの喘息様症状を呈した患者で通常の呼吸器ウイルスがPCRで検出されなかったため、EV-D68アウトブレイクを疑い検体を採取した5名のうち4名からEV-D68が検出された。その詳細を報告する。

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エンテロウイルスD-68型が検出された小児・乳児の4症例-広島県

(IASR Vol. 35 p. 295- 296: 2014年12月号)

エンテロウイルス68型(EV-D68)は、1962年に米国カリフォルニア州において初めて、気管支炎や肺炎の小児患者4名から分離されたウイルスであり、検出頻度が少ないことから、極めて稀な呼吸器感染症の原因ウイルスの1つであると考えられてきた1)。わが国では、2005~2010年までは毎年数例のみであったが、2010年と2013年は100例を超えて報告されている(https://kansen-levelmap.mhlw.go.jp/Byogentai/Pdf/data60j.pdfおよびhttps://idsc.niid.go.jp/iasr/virus/graph/ev2-0110.pdf)。広島県では、近年、4名の小児および乳幼児患者からEV-D68を検出しているので、それら症例の概要を報告する。

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<速報>エンテロウイルス68型に関する主な知見と国内の疫学状況のまとめ(2014年11月4日現在)

(掲載日 2014/11/13)

病原体
エンテロウイルスは、ピコルナウイルス科エンテロウイルス属のエンベロープをもたないRNAウイルスである。エンテロウイルス属には、ポリオウイルスや、無菌性髄膜炎の原因となるエコーウイルスや手足口病の原因となりうるエンテロウイルス(EV)71型などが含まれる。エンテロウイルス属はさらに遺伝子型によりEnterovirus A~H (species)に分類される。EV68はEnterovirus D に属するためEV-D68とも表記される。EV68は、カプシド遺伝子の塩基配列からEnterovirus D に分類されるが、感染による主要な臨床所見は呼吸器症状であり、増殖至適温度や酸耐性等のウイルス学的性状はライノウイルスに類似している 1, 2)。また、当初、ライノウイルス87型に分類されていた型は、遺伝子解析の結果、EV68に再分類された1, 3)

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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