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掲載日:2022年2月3日

第70回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和4年2月2日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第70回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版

感染状況について

全国の新規感染者数(報告日別)は増加が続き、直近の1週間では10万人あたり約426人となっているが、今週先週比は1.5で鈍化傾向が続いている。新規感染者は20代以下を中心に増加しているが、年代別の割合では20代が減少する一方、10歳未満が増加している。

まん延防止等重点措置が適用されている34都道府県のうち、沖縄県、島根県及び広島県以外の31都道府県では増加が継続している。重点措置区域のほぼ全ての都道府県では今週先週比は2以下となっているが、一部の区域では今週先週比2を超えて急速な増加が継続している。一方、沖縄県では今週先週比が1を下回る水準で減少傾向が継続しているが、新規感染者について20代中心に若年層で減少する一方、70代の高齢者で増加していることに留意が必要。

重点措置区域以外の13県でも、新規感染者数は今週先週比が2を超えて急速な増加が継続している地域がある。

全国で新規感染者数の増加が継続していることに伴い、療養者数の急増や重症者数の増加が継続している。

首都圏や関西圏ではほぼオミクロン株に置き換わっているものの、引き続き、デルタ株も検出されている。

実効再生産数:
全国的には、直近(1/17)で1.19と1を上回る水準となっており、首都圏では1.23、関西圏では1.19となっている。

 

2022年1月31日

国立感染症研究所

背景・目的

国立感染症研究所では、新型コロナウイルス感染症対策に資する情報を提供することを目的として、実地疫学調査のデータを用いてSARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株) の発症間隔の推定を行った。その暫定結果について報告する。

発症間隔(serial interval)は、一次感染者の発症時刻から二次感染者の発症時刻の時間間隔を意味する。一次感染者の感染から二次感染者が感染するまでの期間(世代間隔: generation time)は感染症の拡がりを特徴づける重要な指標であるが、感染イベントを実際に観測することが難しいことから、発症間隔により近似されることが多い。

オミクロン株においては、従来株と比較して潜伏期間が短縮しており(1)発症間隔についても短縮されているかについて、国内のデータを用いて検討した。

方法

国内でオミクロン株症例に対して実施された実地疫学調査により、感染源からの曝露から14日間が経過した対象集団の中で、疫学的リンクおよび感染源(一次感染者)および感染者(二次感染者)の発症日が明らかな感染ペア(N=30)について、発症日から発症日までの日数を得た。なお、この中には家族内感染と考えられるペアが9組含まれる。

発症間隔の確率密度関数を計算するために、Gamma分布、Lognormal分布、Weibull分布について検討し、赤池情報量規準(AIC)から一番当てはまりが良いと判断されたWeibull分布を計算に用いた。最尤推定法を用いて推定を行いブートストラップ法により95%信頼区間を計算した。

結果

実地的疫学調査を用いたオミクロン株症例の発症間隔の中央値は2.6日(95%信頼区間(CI):2.2-3.1)であった(図1)。発症間隔の95%は0.7日(95%CI:0.4-1.2)から4.9日(95%CI:4.1-5.8)の間であった。99%が5.4日(95%CI:4.4-6.4)以内であった。

 

表1.発症間隔の観察データ(N=30) 

日数

ペア数(N=30

0

1

1

4

2

9

3

8

4

7

5

1

 

 

no14 2

図1.実地疫学調査のデータを用いたオミクロン株の(A)発症間隔の分布と(B)累積分布(N=30)

発症間隔の単位は日。図Aにおいて実線は中央値、波線は左から2.5%、97.5%点を示す。グラフ内の数字はそれぞれの感染ペア数を示す。図Bにおいて薄茶色は50%、薄水色は97.5%区間を示す。0日は0.5日扱いとした。

 

表2.一次感染者の発症日から二次感染者が発症するまでの日毎の確率(%)

日数

確率(%)

1

6.03

2

30.32

3

63.63

4

87.75

5

97.53

6

99.72

7

99.98

8

100

考察

本報告では、国内の実地疫学調査により発症日―発症日が明らかなオミクロン株症例の感染ペア(N=30)を用いて発症間隔にWeibull分布を当てはめて推定した。発症間隔の中央値は2.6日(95%CI:2.2-3.1)、95%が0.7日から4.9日の間であると推定された。発症間隔が実地疫学調査から推定された潜伏期間(中央値2.9日[95%CI 2.6-3.2])より短いことから(1)、発症前に二次感染者を発生させている可能性が示唆される。

本報告の分析には制約がある。実地疫学調査では、曝露をうけた可能性のある者すべてが含まれていない可能性があるため、発症間隔を過小評価している可能性がある。精緻な推定値を得るには切り捨てを加味したモデルと十分なサンプルサイズが必要であるが、今回は検討できていない。

注意事項

本報は迅速な情報共有を⽬的としており、内容や⾒解は知見の更新によって更新される可能性がある。

謝辞

本報告書の分析に用いたデータの収集にご協⼒いただいております各自治体関係者および各医療関係者の皆様に⼼より御礼申し上げます。

文献

1)国立感染症研究所. SARS-CoV-2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株)の潜伏期間の推定:暫定報告

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan