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一般的にウイルスは増殖や感染を繰り返す中で徐々に変異をしてくことが知られており、新型コロナウイルスについても少しずつ変異をしています。大半の変異はウイルスの特性にほとんど影響を及ぼしませんが、一部の変異では、感染・伝播性、重症化リスク、ワクチン・治療薬の効果、診断法などに影響を及ぼすことがあります。 国立感染症研究所では新型コロナウイルスの変異株について迅速リスク評価を行い、「懸念される変異株(VOC)」、「注目すべき変異株(VOI)」、「監視下の変異株(VUM)」に分類しています。

 

  国立感染症研究所による国内における変異株の分類(2023年4月21日時点)

分類

定義

主な対応

該当

変異株

懸念される変異株

(VOC; Variants of Concern)

公衆衛生への影響が大きい感染・伝播性、毒力*、及び治療・ワクチン効果の変化が明らかになった変異株

対応

Ÿ 週単位で検出数を公表

Ÿ ゲノムサーベイランス(国内・検疫)

Ÿ 必要に応じて変異株PCR検査で監視

Ÿ 積極的疫学調査

オミクロン

注目すべき変異株

(VOI; Variants of Interest)

公衆衛生への影響が見込まれる感染・伝播性、毒力、及び治療・ワクチン効果や診断に影響がある可能性がある、又は確実な変異株で、国内侵入・増加の兆候やリスクを認めるもの(以下、例)

・検疫での一定数の検知

・渡航例等と無関係な国内での検出

・国内でのクラスター連鎖

・日本との往来が多い国での急速な増加

警戒

Ÿ週単位で検出数を公表

Ÿゲノムサーベイランス(国内・検疫)で監視

Ÿ積極的疫学調査

Ÿ必要に応じて変異株PCR検査の準備

 

 該当なし

監視下の変異株

(VUM; Variants Under Monitoring)

公衆衛生への影響が見込まれる感染・伝播性、毒力、及び診断・治療・ワクチン効果に影響がある可能性がある変異を有する変異株

また、VOCやVOIに分類された変異株であっても、以下のような状況では、本分類に一定期間位置付ける

・世界的に検出数が著しく減少

・追加的な疫学的な影響なし

・国内・検疫等での検出が継続的に僅か

・特に懸念される形質変化なし

監視

Ÿ発生状況や基本的性状の情報収集

Ÿゲノムサーベイランス(国内・検疫)で監視

Ÿ週単位で検出数を公表 

 

該当なし

* 毒力virulence: 病原体が引き起こす感染症の重症度の強さ

※ VariantのPango系統やNextstrainクレードといった分類が複雑で覚えにくく、初めて報告された地名などが呼称として使用されていることが、差別や偏見につながることも懸念して、2021年5月より、WHOは代表的なvariantに対してギリシャ文字の呼称を定めている。これまで”variant”の訳語として「変異株」、WHOが呼称を定めたvariantについてそれを用いて「〇〇株」と称してきた(例:B.1.1.7系統=アルファ株、B.1.1.529系統=オミクロン株)。しかし、B.1.1.529系統が主流となって以降、亜系統が広く分岐し、さらにWHOが用いる呼称で総称される系統・亜系統の抗原性等の性質が多様化しており、遺伝的に同一、又はほぼ均一なウイルスの集合体を示す「株」を、WHOが用いる呼称に対応して用いることが適さなくなってきている。そのため、WHOが呼称を定めた各variantについて「アルファ」「オミクロン」のように表現することとした。

なお、「〇〇株」は一般に広く使用されている用語となっており、通称として引き続き用いることを妨げるものではない。

 

 

 

 ● 国立感染症研究所が公表している新規変異株に関する報告

 

 ● 変異株に関する疫学調査

 

 ● 国立感染症研究所のゲノム解析の実施状況及びPANGO系統別検出状況

 

 

 

 

 

 

 

 

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新型コロナウイルスN501Y変異株感染入院患者が従来の退院基準を満たした日におけるCt値および抗原量に関する検討

(IASR Vol. 42 p233-234: 2021年10月号)

 
はじめに

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の入院患者は2020(令和2)年6月25日付の事務連絡1)に基づいて発症日から10日間経過し, かつ, 症状軽快後72時間経過した場合に退院が認められてきた。しかし, 世界的に流行しているN501Y変異株は科学的データが乏しいことから, 2020年12月25日付の事務連絡により退院基準として2回連続の核酸検出検査による陰性確認が必要となった2)。北海道でも2021(令和3)年2月頃から市中でN501Y変異株感染者が増加し, 入院病床がひっ迫する状況となった。2021年4月8日に国立感染症研究所より, 空港検疫所における軽症例および無症状例のウイルス量の経時的変化に関する調査が報告された3)。変異株症例と非変異株症例のウイルスRNAコピー数を比較すると, 診断後7日には明らかな違いはなく, 診断後10日には103copies/反応以下と少なくなっており, ウイルス分離試験でも陰性であった。この知見によりN501Y変異株感染者においても従来の退院基準に基づいて退院が可能となった4)。しかし, 中等症以上を含む入院患者における知見は乏しい。今回, N501Y変異株感染入院患者が従来の退院基準を満たした日におけるCt値および新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の抗原量について検討した。

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