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国立感染症研究所
2021年8月28日12:00時点

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【B.1.617.2系統の変異株(デルタ株)】

デルタ株の分類について
  • B.1.617.2系統は、Pango系統でさらに細かく分類するためにAY系統が新たに作られ、現時点でAY.1~AY.28に分類されているが、ウイルスの生物学的な特徴の変化と関連して分類されているわけではない。これらの系統も現時点では“デルタ株”と分類されている(1)。
ブレイクスルー感染者(ワクチン既接種における感染者)からの感染伝播性について
  • デルタ株に対しては、重症化予防の効果は変わらないものの、感染及び発症予防効果については従来株と比較して若干減弱している可能性が指摘されている()。ただし、ワクチンの導入が先行した欧米やイスラエルにおける知見であることから、免疫の減衰や感染対策の緩和などウイルスの持つ特徴以外の複合的な要因もあると考えられる。さらに、デルタ株については、ワクチン既接種者が感染した際に排出するウイルス量に関する複数の報告があり、下記の通り、ワクチン既接種者の感染者も二次感染の原因となりうることが指摘されている。
    • 米国マサチューセッツ州のアウトブレイク報告において、感染者について、規定回数のワクチン接種完了後14日以上経過した者とそれ以外の者でCt値が同程度であったことが報告されている(2)。このアウトブレイクでは、ゲノム解析を行なった検体の中でのデルタ株の割合が90%だった。
    • デルタ株の割合が69%から95%に上昇していた米国ウィスコンシン州での感染者について、PCR診断検体中のCt値を、ワクチン既接種者と未接種者で比較したところ、Ct値25以下の割合は同程度だった。また、ワクチン既接種者と未接種者いずれにおいても低Ct値のサンプルから感染性ウイルスが分離されたことが報告されている(3)。
    • 米国テキサス州の調査でも、デルタ株感染者において、ワクチン既接種者と未接種者で同等のCt値が得られたとの報告がある(4)。
    • 米国カリフォルニア州の調査でも、デルタ株が主流となった時に、上記と同様の報告がある(5)。
    • シンガポールの研究でも同様に、デルタ株感染者においてワクチン既接種者と未接種者で同等のCt値が得られたが、ウイルスRNA量は既接種者においてより早く減少したとの報告がある(6) 。
    • デルタ株の割合がほとんどを占めていたオランダでの医療従事者におけるブレイクスルー感染者の研究では、ワクチン既接種者(主にデルタ株感染)と未接種者(主に既存株感染)で同等のCt値が得られたが、ウイルス分離の陽性率は既接種者で低下していたことを報告した (7)。
  • 以上の知見は、ブレイクスルー感染があり得ること、ブレイクスルー感染者が(ウイルスを排出する期間が短くなり未接種者に比べ相対的にリスクは低下している可能性はあるものの)二次感染を引き起こし得ることを示している。ワクチン既接種者は未接種者に比べてデルタ株に感染するリスク、感染し発症するリスクは低下しているものの、感染者数が多い状況では、ワクチン既接種者も場面に応じた基本的な感染防止対策の継続が必要であると考えられる。

掲載日:2021年9月2日

第50回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年9月1日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第50回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版

感染状況について

全国の新規感染者数は、減少の動きが見られるが、報告日別では、直近の1週間では10万人あたり約116と過去最大の水準となり、ほぼ全ての地域でこれまでに経験したことのない規模の感染者数の発生が継続している。首都圏を中心に減少の動きがみられるが、中京圏では依然として高い水準で増加傾向となっており、お盆の影響などから感染者数の減少につながっていない地域もある。 年齢別に10万人あたりの感染者数をみると、20代が依然最多だが、10代の感染者数が増加し、30代に並んできており地域によっては30代を超えている。

これまでの感染者数の急速な増加に伴い、重症者数も急激な増加が継続し、過去最大の規模となり、死亡者数も増加が続いている。公衆衛生体制・医療提供体制が全国各地で非常に厳しくなっており、災害時の状況に近い局面が継続している。

実効再生産数:
全国的には、直近(8/15時点)で1.06と1を上回る水準が続いており、首都圏では0.97、関西圏では1.15となっている。

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