国立感染症研究所

SARS、MERS、COVID-19を含むコロナウイルス感染症に関する記事がWebサイト全体から集められて表示されます。

 

掲載日:2021年8月4日

第45回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年7月28日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第45回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

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感染状況について

全国の新規感染者数は、報告日別では、増加が続き、直近の1週間では10万人あたり約28。今週先週比が1.54と急速に拡大している。東京を中心とする首都圏だけでなく、関西圏をはじめ全国の多くの地域で新規感染者数が増加傾向となっており、これまでに経験したことのない感染拡大となっている。また、連休による影響で、今後の報告数が上積みされる可能性も留意する必要がある。

実効再生産数:
全国的には、直近(7/11時点)で1.27と1を上回る水準が続いており、首都圏では1.26、関西圏では1.39となっている。

国立感染症研究所
2021年7月31日12:00時点

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VOCsに関する主な知見のアップデート

【B.1.617.2系統の変異株(デルタ株)】
  • WHOによれば、2021年7月20日時点のGISAIDへの登録情報で、過去4週間にデルタ株の割合が75%を超えている国として、オーストラリア、バングラデシュ、ボツワナ、中国、デンマーク、インド、インドネシア、イスラエル、ポルトガル、ロシア、シンガポール、南アフリカ、英国を挙げている(1)。また、デルタ株は世界の132の国・地域で確認されている(2)。
  • 英国では、2021年7月4日から7月10日に遺伝子型決定された症例の96%をデルタ株(B.1.617.2系統およびAY.1/AY.2系統を含む)が占めていた(3)。
  • 米国では、2021年7月4日から7月17日の時点でB.1.617.2系統が82.2%を占めていると推計している(4) 。
  • 中国のグループによる研究では、非VOCsに比べ、デルタ株では、ウイルスへの曝露からPCR陽性になるまでの期間が短くなっている可能性があること(非VOCs: 6日、デルタ株4日)、感染後最初に検出された時点のウイルス量が、非VOCsに比べ、デルタ株では1,200倍であることを示し、デルタ株の増殖速度が速く、感染早期により感染性が高い可能性を指摘した(5)。
  • 英国の報告では、再感染の調整後オッズ比がアルファ株に比してデルタ株では1.46倍(95% CI: 1.03 - 2.05)であることを示した。また、前回感染から180日未満である場合には再感染リスクは上昇していないものの、180日以上経過後は2.37倍(95%CI: 1.43 – 3.93)と上昇していた(3)。
  • 米国マサチューセッツ州で報告された主にデルタ株の感染によるクラスターでは、ブレークスルー感染を起こした79%に症状があった。また、ワクチン接種者とワクチン非接種者(2回接種後14日経過などの条件を満たさないもの、接種歴不明の者を含む)で、診断時のRT-PCRのCt値に差がなかったことが報告された(6)。また、シンガポールからの報告では、デルタ株では診断時のCt値はワクチン接種者と非接種者で変わらなかったが、ワクチン接種者では、非接種者と比較してその後のウイルスRNA量がより速やかに低下した、との報告がある(7)。
  • カナダのグループによる研究では、非VOCsに比べ、デルタ株が毒力(Virulence)を増していることを示した。入院リスク、ICU入室リスク、死亡リスクは、デルタ株症例は非VOCs症例に比べ、それぞれ120% (93-153%)、 287% (198-399%) 、 137% (50-230%)と増加していた(8)。
  • スコットランドにおける研究でも、アルファ株(S遺伝子陰性例)に比べてデルタ株(S遺伝子陽性例)で入院のオッズ比が高いことが示されている(9)。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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