国立感染症研究所

新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 関連情報ページ

第13回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和2年11月11日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第13回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料4)。

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直近の感染状況等

・ 新規感染者数は、全国的に見ると、 8月第1週をピークとして減少が続いた後、ほぼ横ばいであったが10月以降増加傾向となり、11月以降その傾向が強まっている。特に、北海道や大阪、愛知を中心に増加がみられ、全国的な感染増加につながっている。 実効再生産数:全国的には1を超える水準が続いている。北海道、大阪、愛知などで概ね1を超える水準が続いており、東京では1を挟んで前後している。

・ 感染拡大の原因となるクラスターについては、地方都市の歓楽街に加え、会食や職場及び外国人コミュニティー、医療機関や福祉施設などにおける事例など多様化や地域への広がりがみられる。一部の地域では感染拡大のスピードが増しており、感染の「減少要因」を早急に強める必要がある。このまま放置すれば、更に急速な感染拡大に至る可能性がある。

・ 一方で、感染者に占める60歳以上の割合は横ばいで推移している。また、病床占有率は、微増の動きとなっているものの、入院患者全体、重症者とも10%前後となっている。ただし、入院者数、重症者数は10月末から上昇に転じているとともに、一部地域では、病床占有率が高まってきており、留意が必要。

今後の対応について

社会の中で国民や医療現場、保健所、事業者等における取り組みが積み重ねられ、また、治
療法の標準化などもあり、致死率や重症化率がこれまで抑えられてきたが、公衆衛生体制や医療提供体制への負荷を過大にしないためにも、可及的速やかに減少方向に向かわせる必要がある。

  • 感染が拡大している地域や拡大の兆しがみられる地域では、地域によって異なるクラスター発生の要因を分析し、早急な対応が必要。また、急速な感染拡大に伴う検査や保健所機能、医療提供体制の確保のための各地域の取組やそれへの支援が必要である。

クラスターの多様化や地域への広がりがみられる中、感染の「減少要因」を強めるためには、
①今までよりも踏み込んだクラスター対策及び②基本的な感染予防対策の徹底(「5つの場面」などを活用した実際の行動変容につながるよう情報発信の強化)が求められる。

  • 分科会の緊急提言【別添】も踏まえ、接待を伴う飲食店への取組の徹底や、医療が受けにくいなどの困難を抱える外国人コミュニティへの支援等クラスターの特徴に応じた対応を着実に行うとともに、医療機関等における検査の徹底等の速やかな対応、クラスター情報等の迅速な共有を進める必要がある。

また、海外からの入国に関しては、検疫での対応や自治体への必要な情報の共有、発症時の
受診方法等必要な情報について、入国する方の特性に応じた情報提供、自治体や医療機関への支援等の対応が必要である。

こうした取組によっても、感染の急拡大や病床のひっ迫が見られる等の場合には、社会経済活動に一定の制約を求めるような強い対策を行う必要があることから、そうした事態を回避するためにも、国民が一丸となって対策を進めていく必要がある。

 感染状況分析・評価グラフ等

 

緊急提言:最近の感染状況を踏まえた、より一層の対策強化について

第14回新型コロナウイルス感染症対策分科会

【はじめに:緊急提言の基本的考え方】

  社会経済活動が徐々に戻る中、適切な感染防止策が講じられなければ、感染の「増加要因」が強まり、その力が人々の基本的な感染防止策や自治体によるクラスター対策などの感染の「減少要因」を上まわることになる。最近になって、クラスターの数も増え、しかも、多様化しつつある。そうした中、「減少要因」を早急に強めなければ、急速な感染拡大に至る可能性が高い。社会の中で国民や医療現場、保健所、事業者等における取り組みが積み重ねられ、また、治療法の標準化などもあり、致死率や重症化率がこれまで抑えられてきたが、医療提供体制への負荷を過大にしないためにも、可及的速やかに感染を減少方向に向かわせる必要がある。

 今回の緊急提言は、これまでの分科会提言や政府が示してきた大きな方向性(※)を踏まえ、今回初めて経験する冬場においても社会経済活動と両立できるよう、国民、自治体、国等のそれぞれに求められる具体的な5つのアクションをまとめたものである。

 分科会として政府に対してここに提言する。

  ※「新型コロナウイルス感染症への対応について」(第44回新型コロナウイルス感染症対策本部報告 令和2年10月30日)

 

【求められる5つのアクション】

アクションNO.1. 今までよりも踏み込んだクラスター対策

背景 

 クラスターの数が増え、しかも、多様化している。そうした中で、「早期探知しにくい」又は「閉じにくい」クラスターが増加している。これまでは、PCR検査等で感染が確認されて初めて濃厚接触者への対応などが行われてきたが、検査による確認の前に、クラスター発生の予兆をとらえることが、これまで以上に求められる。

 これまでの分析によれば、クラスターはその特徴によっていくつかのカテゴリーに分けられる。

  • 「早期検知しにくい」クラスター:感染の事実そのものが現状のシステムでは探知されにくいクラスターである。具体例としては、①一部の外国人コミュニティや②大学生の課外活動など若年層を中心としたクラスターが挙げられる。①については言葉や受診行動の違いがあることなどから、また、②については感染しても無症状の人が多いことなどから、探知されにくいことが原因と考えられる。
  • 「閉じにくい」クラスター:感染者が不特定多数に接触し、濃厚接触者の把握が難しく、「閉じにくい」クラスターである。具体例としては、接待を伴う飲食店などが挙げられる。

 具体的アクション

(1)それぞれのクラスターの特徴に応じた効果的かつ効率的な対策を行うこと。

  • 接待を伴う飲食店:第13回分科会(令和2年10月29日)でまとめられた大都市の歓楽街における感染拡大防止対策ワーキンググループで提案された対策(具体的には、信頼関係に基づいたネットワークの構築や相談・検査体制の拡充など)を地方都市の歓楽街も含めて迅速かつ確実に進めていくこと。
  • 外国人コミュニティ:外国人コミュニティを支援し、多言語・やさしい日本語での情報の発信及び伝達、相談体制を多元的なチャンネルで進めていくこと。そのために、各国大使館等との連携や自治体による周知に加え、コミュニティとのネットワークや経験を有する国際交流協会やNPO、NGO等と連携すること。
  • 高等教育機関(大学、専門学校等):大学等では、授業そのものよりは、むしろ飲み会や寮生活、課外活動等でクラスターが発生している。感染防止と学修機会の確保の両立を図ることが極めて重要である。そのために、自治体は、域内の大学等の学生の相談を受けている健康管理センターなどと協力して、感染防止に関する啓発やクラスター感染が起きた場合の迅速な情報の共有を進めること。さらに、必要な場合に速やかに受診・検査につながる取り組みを進めていくこと。
  • 職場:職場でも、仕事そのものよりは、むしろ仕事後の飲み会や喫煙などの休憩等でクラスターが発生している。このことから、事業者は、産業医等と連携し、感染防止策を今まで以上に進めること。特に、具合が悪い人が休めるようにすることやクラスターの発生が疑われた場合に迅速に保健所に協力すること。

(2)「早期探知しにくい」クラスターを探知するためには、原因が明らかではないが、普段とは何

か違う状況が発生した場合に探知する仕組みが必要である。これは、いわば「異常事象検知

サーベイランス」ともいうべきものであり、国際的にも、Event-based surveillance(EBS)として推

奨されている。そのため、自治体は、既に各都道府県等において設置されている新型コロナウイ

ルス感染症対策のための協議会を活用し、高齢者施設及び医療機関等と協力すること。また、

学校等欠席者・感染症情報システム及びSNS上のデータを分析する仕組み等を活用

すること。

(3)これまでも度々指摘されてきた、①感染者の発症日、②クラスターの発生状況に関する最

新の情報、 ③クラスター対策の好事例について、自治体間及び国との間でより迅速に情報

共有する仕組みを早急に設けること。

 

アクションNo.2 対話のある情報発信

背景 

 これまでも、三密や大声が感染リスクを高めるというメッセージは繰り返し発信してきた。さらに、最近では、感染リスクが高まる「5つの場面」や「感染リスクを下げながら会食を楽しむ工夫」なども政府に提言した。しかし、最近の感染状況を見ると、こうしたメッセージが人々の実際の行動変容及びその維持につながるようには必ずしも十分には伝わってこなかった可能性がある。

具体的アクション

(1)感染リスクが高まる「5つの場面」や「感染リスクを下げながら会食を楽しむ工夫」(例えば、会食時に食べるときだけマスクを外し、会話の時はマスクをする 。)などを、特に若年層や忘年会・新年会を含め飲み会などの参加者を中心に興味を持ってもらえる方法で伝えること。その際には、動画投稿サイト等のSNSをはじめ、様々な媒体も活用すること。

(2)メッセージの受け手の気持ちや受け止め方を理解した上で情報発信し、その効果や影響を確認し、次の発信に役立てること。

 

アクションNo.3 店舗や職場などで感染防止策の確実な実施

背景 

 業種別ガイドラインの策定が現場でも進んできたが、引き続き、クラスターが発生している。

具体的アクション

(1)事業者は、店舗や職場などで、感染リスクが高まる「5つの場面」が具体的にどこにあるのかについて考え、業種別ガイドラインを現場で確実に実践していくこと。その際、自治体や地元の商店街・組合などが連携すること。なお、これまでの経験や新たな知見等に基づいて、業種別ガイドラインの実効性をより高めていくこと。

(2)冬に向けて、換気の問題をはじめとした寒冷地における感染防止策のために、例えば特に飲食店などが二酸化炭素濃度をモニターするなどの具体的な指針を示すこと。

 

アクションNo.4 国際的な人の往来の再開に伴う取り組みの強化

背景 

 海外との交流が徐々に再開されていく中で、水際対策と地域での感染対策を連携して行う必要がある。

 また、国内地域に入った後に保健所が行う健康監視等に関しては、多言語対応などの必要もあり、個別の保健所では極めて困難である。フォローすべき人数が増えると多大な事務負担につながり、保健所の業務に支障をきたすと考えられる。また、輸入症例が増えると、必要となる病床数も増加する。

具体的アクション

(1)水際対策と地域での感染対策を連携して行うため、国は、①検疫所における滞在国・地域別検疫実施人数及び検査実施人数やその中の陽性者数などの情報を迅速に整理し、公表していくこと。また、②自治体に検疫に係る情報を迅速に提供すること。

(2)国において、自治体での外国人のフォローアップを支援できる仕組みを早急に検討すること。また、検疫時に健康監視等に関する基本的な情報を多言語化して情報提供すること。

(3)さらに、外国人を受け入れる医療機関等に対する支援を強化すること。

 

アクションNo.5 感染対策検証のための遺伝子解析の推進

背景 

 ウイルスの遺伝子配列を調べることは、感染の伝播の状況が見えなくなっている地域の感染の由来を調べる上で有効である。地域における感染例でリンクが追えないものも多くなっている。さらに、最近、外国人コミュニティのクラスターも複数県で報告されており、その一部は国内由来ウイルスによるものであることが分かっているが、由来が不明なクラスターも多い。

具体的アクション

(1)ウイルスの遺伝子配列を調べることは、クラスターの由来を明確にするためのみならず、感染対策を検証するためにも有効である。このことから、 ①地方衛生研究所を通じて国立感染症研究所に検体を着実に送付すること。または、 ②地方衛生研究所で遺伝子配列の情報を解析したうえで国立感染症研究所に結果を共有すること。さらに、③その際には実地疫学情報も共有すること。

 

【おわりに】

  1. 以上の5つのアクションに加えて、これまでも分科会で提言してきた

         ・年末年始の休暇を分散すること

         ・小規模分散型旅行を推進していくこと

         ・保健所機能及び医療提供体制の強化

  などについては、当然のことながら、これまで以上に推進していくことが必須である。

  1. 以上の5つのアクションを実施しても、第5回分科会(令和2年8月7日)で提言されたステージⅢ相当以上と国や自治体によって判断された場合には、社会経済活動に一定の制約を求めるような強い対策を行う必要があることから、そうした事態を回避するためにも、国民が一丸となって対策を進めていく必要がある。

 

 

IDWRchumoku 注目すべき感染症 ※PDF版よりピックアップして掲載しています。

◆直近の新型コロナウイルス感染症およびインフルエンザの状況(2020年11月6日現在)

 

新型コロナウイルス感染症:

 2019年12月、中華人民共和国湖北省武漢市において確認され、2020年1月30日、世界保健機関(WHO)により「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言され、3月11日にはパンデミック(世界的な大流行)の状態にあると表明された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2020年11月6日15時現在、感染者数(死亡者数)は、世界で48,517,411例(1,231,784例)、192カ国・地域(集計方法変更:海外領土を本国分に計上)に広がった(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14684.html)。

 国内では、厚生労働省により公表されている、各自治体がプレスリリースしている個別の事例数(再陽性例を含む)を積み上げた情報によると、2020年11月6日0時現在、新型コロナウイルス感染症の検査陽性者は104,782例、死亡者は1,806例と報告されている。PCR検査実施人数は、暫定値として2,818,683例であった(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14684.html)。全国の報告日別新規陽性者数は、9月後半より増加傾向にあることが徐々に明らかとなっている。

 COVID-19による全国の入院治療等を要する者の数の推移については(https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kokunainohasseijoukyou.html#h2_1)、7月以降では8月10日の13,724例を最高に、その後大きく減少したが、9月下旬以降は横ばいになり、10月20日の5,031例を底に、再び増加に転じている。日本COVID-19対策ECMOnetが集計するECMO/人工呼吸装着数の推移(https://crisis.ecmonet.jp/)においては、7月中旬から8月後半にかけ増加し、その後減少に転じていたが、感染者数の増加に伴い、時間差をおいて10月下旬から増加の傾向にある。なお、全国的に、介護施設等を含む集団感染(クラスター)の発生が認められることから、重症患者の増加については警戒しなければならない。この重症患者数については、一部の都道府県においては、都道府県独自の基準にのっとって発表された数値を用いて算出されていることに注意する。

 北海道では、11月に入り、検査数、新規陽性者数、陽性割合が急激に増加している。検査数が増えている中で、陽性割合が増加しており、COVID-19発生頻度が真に増加していると考えられる(http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/ssa/singatakoronahaien.htm)。クラスターが数多く発生し、医療提供体制への影響が出始めていることから、11月27日までを集中対策期間として、道民・事業者・来道者に注意喚起を行うとともに、感染対策強化に関する協力を要請している。

 東京都では検査数を高レベルで維持している中で、直近では陽性数、陽性率ともに微増になっており、接触歴等不明者の数と割合が高い傾向も見られている(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)。多くの地域で人の流れが継続して増加傾向にあることから、人々の接触機会の増加が考えられる。全国的に、今後、適切な感染防護策を講じない場合、感染者数、ひいては重症者数が増加することが懸念され、警戒が必要である。発熱等相談件数等の症候群サーベイランス(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)やクラスター発生等、複数の情報源をモニタリングするサーベイランス体制等による継続した注視が必要である(https://apps.who.int/iris/handle/10665/332051)。

 なお、感染症発生動向調査(NESID)病原体サーベイランスには、医療機関、保健所等で採取された検体から、各都道府県市の地方衛生研究所、保健所、ならびに検疫所で検出された病原体の情報が、任意ではあるが報告されている。2020年11月6日現在、地方衛生研究所および保健所から報告された、新型コロナウイルス感染症/新型コロナウイルス感染症疑い症例から検出された病原体は、SARS-CoV-2が7,572件(4月が最多の3,282件;8月までは陽性割合も4月が最高であった)、陰性が61,945件であった。これ以外にも検疫所で検出されたSARS-CoV-2が132件報告されている。

 2020年5月29日以降、新型コロナウイルス感染症発生届に関する国への報告事務は、厚生労働省が運営する新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)を用いて行われることとなり、移行可能な自治体から順次、移行を実施し、現時点で全国の自治体で利用されている。厚生労働省においては、今後の統計情報の集計等については、HER-SYSに入力された情報に基づいて行うことを基本とするとしている。本稿では、HER-SYSに基づく情報は含めておらず、今後分析を行っていく予定である。

 

季節性インフルエンザ:

 全国約5,000のインフルエンザ定点より報告された、2020年第44週(2020年11月4日現在)の定点当たりのインフルエンザ報告数は0.01(患者報告数32)となり、前週の定点当たり報告数0.01(患者報告数30)と同程度で推移している。都道府県別の第44週の定点当たり報告数(報告数)では滋賀県0.07(報告数4)、長崎県0.06(報告数4)、沖縄県0.05(報告数3)、三重県0.03(報告数2)、青森県0.02(報告数1)、新潟県0.02(報告数2)、岐阜県0.02(報告数2)、奈良県0.02(報告数1)、岡山県0.02(報告数2)、東京都0.01(報告数4)、静岡県0.01(報告数1)、愛知県0.01(報告数1)、大阪府0.01(報告数2)、北海道0.00(報告数1)、埼玉県0.00(報告数1)、千葉県0.00(報告数1)となっている。定点医療機関からの報告を基にした、定点以外を含む全国の医療機関をこの1週間に受診した患者数は約0万人(95%信頼区間:0.0〜0.1万人)となった。また、全国約500の病原体定点からの報告による感染症発生動向調査(NESID)病原体サーベイランスにおける、インフルエンザウイルス分離・検出速報によると(https://www.niid.go.jp/niid/ja/iasr-inf.html)、2020/21シーズンのインフルエンザウイルス分離・検出報告はまだない。

 WHOは(10月23日現在)、北半球の温帯地域の国々では、インフルエンザ検査数は維持、あるいは増加しているにもかかわらず、インフルエンザの報告数はこの時期における通常のレベルを下回ったままであること、東南アジアの国ではインフルエンザウイルスの検出数の増加が報告された国があること、世界においてインフルエンザウイルス検出の報告は非常に少ないが、約6割を占めたA型ではH3N2が、残るB型ではビクトリア系統がそれぞれ大部分を占めたこと等を報告している(https://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/
latest_update_GIP_surveillance/en/
)。WHOは、世界の国々がCOVID-19伝播を減らすための対策を講じたことがインフルエンザの減少に影響した可能性がある、としている。今後も、インフルエンザの定点報告の継続と、インフルエンザ様疾患に対する病原体サーベイランスの継続が重要である。

 

   国立感染症研究所 感染症疫学センター

第12回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和2年10月28日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第12回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料3)。

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直近の感染状況等

〇新規感染者数の動向

  • 新規感染者数は、全国的に見ると、 8月第1週をピークとして減少が続いた後、ほぼ横ばいであったが10月以降微増傾向がつづいている。特に、北海道や東北・北関東の一部、沖縄などを中心に増加がみられる。その背景としては、首都圏で感染が減少の動きとならないことや、クラスターの発生等で感染者の増加が見られる地域があることが考えられる。また、人の移動が活発化していることにも留意が必要である。
    実効再生産数:東京、大阪、北海道、沖縄などで1をはさんで前後しており、直近1週間の平均は1を超える地域が多い。全国的には、1をわずかに超える水準が続いている。
  • 感染拡大の原因となるクラスターについては、地方都市の歓楽街に加え、会食や職場及び外国人コミュニティーなどにおける事例など多様化や地域への広がりがみられる。
  • 増加が見られる地域や感染が下げ止まっている地域、地方都市におけるクラスターの発生などがあり、適切な対応をとらなければ、増加要因と減少要因のバランスが崩れてもおかしくなく、今後の感染の動向に注視が必要である。

第11回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和2年10月22日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第11回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料4)。

英語版はこちら

直近の感染状況等

〇新規感染者数の動向

  • 新規感染者数は、全国的に見ると、 8月第1週をピークとして減少が続いた後、ほぼ横ばいから微増傾向となっており、感染の「増加要因」と「減少要因」が拮抗していると見られる。
  • 多くの都道府県で大幅な増加がみられない一方で、急激な減少もみられない状況は続いているが、感染が高止まりしている地域や、増加がみられる地域、地方都市における繁華街や接待を伴う飲食店を起因とするクラスターの発生などが生じている。
  • 実効再生産数は、東京、大阪、北海道、沖縄などで1をはさんで前後しており、直近1週間の平均は1を超える地域が多い。全国的には、1に近い水準が続いている。
    ・人口10万人当たりの1週間の累積感染者数(10/7~10/13、10/14~20)
    全国( 2.84人(3,585人↑)、2.95人(3,716人↑))、東京都 (8.85人(1,232人↑)、8.83人(1,229人↓))、愛知県 (1.56人(118人↓)、1.75人(132人↑))、大阪府 (3.97人(350人↓)、4.21人(371人↑))、福岡県 (1.00人(51人↑)、0.84人(43人↓))、沖縄県(9.50人(138人↓)、14.38人(209人↑))
    ・感染経路が特定できない症例の割合(10/10~10/16) 全国 49.0%(前週差4.6%ポイント↓)、東京都 55.9%(4.6%ポイント↓)

国立感染症研究所 実地疫学専門家養成コース(FETP)
同 感染症疫学センター

掲載日:2020年10月28日

背景

 2020年10月15日現在、国立感染症研究所実地疫学専門家養成コース(FETP)は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)クラスター対策班として35都道府県からのべ121事例のCOVID-19集団発生事例に対する調査派遣依頼に対して、都道府県、管轄保健所とともに実地疫学調査を実施してきた。今後のCOVID-19対策に資する情報提供を目的として、これまでFETPが関わった実地調査支援活動結果の中から特定の場所・状況下における感染伝播の状況をまとめて報告していく。今回は、いわゆる「飲み会」における集団感染事例についてまとめた。

 

IDWRchumoku 注目すべき感染症 ※PDF版よりピックアップして掲載しています。

◆直近の新型コロナウイルス感染症およびインフルエンザの状況(2020年10月15日現在)

 

新型コロナウイルス感染症:

 2019年12月、中華人民共和国湖北省武漢市において確認され、2020年1月30日、世界保健機関(WHO)により「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言され、3月11日にはパンデミック(世界的な大流行)の状態にあると表明された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2020年10月15日15時現在、感染者数(死亡者数)は、世界で38,378,875例(1,091,048例)、191カ国・地域(集計方法変更:海外領土を本国分に計上)に広がった(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14155.html)。

 国内では、厚生労働省により公表されている、各自治体がプレスリリースしている個別の事例数(再陽性例を含む)を積み上げた情報によると、2020年10月15日0時現在、新型コロナウイルス感染症の検査陽性者は90,710例、死亡者は1,646例と報告されている。PCR検査実施人数は2,375,927例であった(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_14155.html)。この公表値は暫定値であり、変更される可能性がある。

 現在の全国の入院治療を要するCOVID-19入院者数について検討すると(https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kokunainohasseijoukyou.html#h2_1)、7月以降では8月10日の13,724例を最高に、その後大きく減少したが、9月後半以降は、減少傾向がやや鈍化し横ばいになっている可能性がある(10月17日:5,326例)。国内のCOVID-19重症者における人工呼吸器装着数(https://crisis.ecmonet.jp/)においては、約2週間の遅れを生じつつも同様な傾向である。なお、全国的には、介護施設等を含むクラスターあるいは事例の発生が認められることから、重症患者の増加については警戒しなければならない。この重症患者数については、一部の都道府県においては、都道府県独自の基準に則って発表された数値を用いて算出されていることに注意する。

 地域によっては、検査数を高レベルで維持している中で、直近では陽性数、陽性率ともに微増になっており、感染源不明の数と割合が高い傾向も見られている(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)。さらに、多くの地域で人の流れの増加傾向が継続して観察されていることは、今後、適切な感染防護策を伴わずに人との接触が増加すると、感染者数、ひいては重症者数の増加にも繋がりかねず、警戒が必要であることを示唆する。発熱等相談件数等の症候群サーベイランス(https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/)やクラスター発生等、複数の情報源をモニタリングするサーベイランス体制と継続した注視が必要である(https://apps.who.int/iris/handle/10665/332051)。

 なお、感染症発生動向調査(NESID)病原体サーベイランスには、医療機関、保健所等で採取された検体から、各都道府県市の地方衛生研究所、保健所、ならびに検疫所で検出された病原体の情報が、任意ではあるが報告されている。2020年10月14日現在、地方衛生研究所および保健所から報告された、新型コロナウイルス感染症/新型コロナウイルス感染症疑い症例から検出された病原体は、SARS-CoV-2が6,960件(4月が最多の3,282件;8月までは陽性割合も4月が最高であった)、陰性が58,633件であった。これ以外にも検疫所でSARS-CoV-2が検出された121件が報告されている。

 2020年5月29日以降、新型コロナウイルス感染症発生届に関する国への報告事務は、厚生労働省が運営する新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)を用いて行われることとなり、移行可能な自治体から順次、移行を実施し、現時点で全国の自治体で利用されている。厚生労働省においては、今後の統計情報の集計等については、HER-SYSに入力された情報に基づいて行うことを基本とするとしている。本稿では、HER-SYSに基づく情報は含めておらず、今後分析を行っていく予定である。

 

季節性インフルエンザ:

 全国約5,000のインフルエンザ定点より報告された、2020年第41週(2020年10月14日現在)の定点当たりのインフルエンザ報告数は0.00(患者報告数17)となり、前週の定点当たり報告数0.00(患者報告数7)と同程度で推移している。都道府県別の第41週の定点当たり報告数(報告数)では岩手県0.02(報告数1)、岡山県0.02(報告数2)、沖縄県0.02(報告数1)、北海道0.01(報告数2)、岐阜県0.01(報告数1)、愛知県0.01(報告数2)、京都府0.01(報告数1)、大阪府0.01(報告数3)、兵庫県0.01(報告数1)、鹿児島県0.01(報告数1)、千葉県0.00(報告数1)、東京都0.00(報告数1)となっている。定点医療機関からの報告を基にした、定点以外を含む全国の医療機関をこの1週間に受診した患者数は推定出来ない(約0万人)。また、全国約500の病原体定点からの報告による感染症発生動向調査(NESID)病原体サーベイランスにおける、インフルエンザウイルス分離・検出速報によると(https://www.niid.go.jp/niid/ja/iasr-inf.html)、2020/21シーズンのインフルエンザウイルス分離・検出報告はまだない。

 WHOによると(10月12日現在)、南半球の一部の国では、インフルエンザの検査を継続したか、さらには増加しているにもかかわらず、インフルエンザの検出はほとんど報告されていない(https://www.who.int/influenza/surveillance_monitoring/updates/
latest_update_GIP_surveillance/en/
)。東南アジアではインフルエンザの検出数の増加が報告された国はある。世界中で、報告されたウイルスの検出数は非常に少ないものの、そのなかではインフルエンザA(H3N2)ウイルスが検出の大部分を占めた。WHOは、世界の国々がCOVID-19伝播を減らすための対策を取ったことがインフルエンザの減少に影響した可能性がある、としている。今後も、インフルエンザの定点報告の継続と、インフルエンザ様疾患に対する病原体サーベイランスの継続が重要である。

 

   国立感染症研究所 感染症疫学センター

IASR-logo

航空機内での感染が疑われた新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のクラスター事例

(IASR Vol. 41 p187-188: 2020年10月号)

一般的に航空機内における飛沫感染を感染経路とする感染症に対する接触者調査は, 発症者の前後左右2列を対象とするが, 今回その範囲を超える乗客への感染が疫学調査で疑われ, ウイルスゲノム解析でも矛盾しない結果が得られた事例を経験したので報告する。

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富山県における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のゲノム解析所見(2020年3月30日~5月18日)

(IASR Vol. 41 p188-190: 2020年10月号)

はじめに

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の全国的な流行が継続する中, 富山県では2020年3月30日に最初の症例が確認された。その後, 8月30日までに385例の症例が報告されている。今回, 3月30日~5月18日までに報告された227例のうち厚生労働省通知(健感発0316第3号)に沿ってゲノム解析を国立感染症研究所(感染研)病原体ゲノム解析研究センターに依頼し, ゲノム確定できた145例について塩基変異を基にしたゲノムネットワークをにまとめたので報告する。感染研では, ダイヤモンドプリンセス号でのCOVID-19のクラスター発生, 国内でのCOVID-19の流行についてゲノムネットワーク解析によるウイルスゲノム解析の評価を実施している1,2)。積極的疫学調査にゲノム情報を統合することで感染経路の解明の一助になることが期待される。

第10回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和2年10月13日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第10回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード資料3)。

英語版はこちら

直近の感染状況等

〇新規感染者数の動向

  • 新規感染者数は、4連休後の9月末頃より増加のみられる地域がある。また、散発的なクラスターの発生など、地域によっては様々な動きがあり、今後の感染拡大の動向に留意が必要。
  • とりわけ、8月最終週以降、東京、大阪、北海道、沖縄の実効再生産数は1をはさんで前後しており、全国的にみても直近で1を上回る水準となっており、留意が必要。
    ・人口10万人当たりの1週間の累積感染者数(9/28~10/4、10/5~11)
    全国( (2.78人(3,507人↑)、2.84人(3,589人↑))、東京都 (8.84人(1,230人↑)、8.84人(1,231人↑))、愛知県 (1.95人(147人↓)、1.35人(102人↓))、大阪府 (4.14人(365人↓)、3.94人(347人↓))、福岡県 (0.59人(30人↑)、0.92人(47人↑))、沖縄県(11.08人(161人↑)、10.53人(153人↓))
    ・感染経路が特定できない症例の割合(9/26~10/2) 全国 49.4%(前週差0.8%ポイント↓)、東京都 53.8%(1.8%ポイント↑)

国立感染症研究所 実地疫学専門家養成コース(FETP)
同 感染症疫学センター

掲載日:2020年10月16日

背景

 2020年10月9日現在、国立感染症研究所実地疫学専門家養成コース(FETP)は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)クラスター対策班として35都道府県からのべ120事例のCOVID-19集団発生事例に対する調査派遣依頼に対して、都道府県、管轄保健所とともに実地疫学調査を実施してきた。今後のCOVID-19対策に資する情報提供を目的として、FETPが関わった実地調査結果の中から類似した環境下における感染伝播の状況をまとめて報告していく。今回は、「一般的な会食」(以下、会食という。)における集団感染についてまとめた。

 

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