国立感染症研究所

新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 関連情報ページ

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新型コロナウイルス感染症症例(2020年2月17日~5月31日報告)における感染経路判明の有無とその後の感染伝播に関する考察

(IASR Vol. 42 p82-84: 2021年4月号)

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は3密(密閉, 密集, 密接)条件により, 感染伝播が助長され, 特定の感染者との接触が確認できない場合でも, 行動歴の中で3密のいずれか, または複数の条件に該当するような状況下にあった場合にはそこで感染を受けた可能性がある。曝露状況(時, 人, 場所)の情報に基づき, さらなる感染者が想定される際には, 早期探知をすることで感染伝播を抑制することが期待される。

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富山県内新型コロナウイルス感染症患者からのウイルス分離解析―富山県衛生研究所

(IASR Vol. 42 p84-86: 2021年4月号)

 
はじめに

 富山県では2020年3月30日~5月18日の期間に, 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)227例が報告された。当所では, そのうち193例について遺伝子検査を実施し, 再検査分を含め406検体(鼻腔ぬぐい液:405検体, 喀痰:1検体)で陽性と判定した。また, ゲノム確定できた145検体については国立感染症研究所病原体ゲノム解析研究センターとの共同研究で塩基変異を基にしたゲノムネットワーク解析を行い, 遺伝子配列からみた富山県内の同時期の感染拡大状況について報告している1)。ただ, 遺伝子検査で陽性であっても, 検体中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染性の有無は判断できない。そこで, 当所の遺伝子検査で陽性となった検体を用いて, 培養細胞におけるウイルス分離検査を行い, 分離培養成績と陽性確定からの検体採取日数およびリアルタイムPCR法におけるCt値との相関について解析を行い, 感染性の有無について評価した。

IDWRchumoku 注目すべき感染症 ※PDF版よりピックアップして掲載しています。

◆直近の新型コロナウイルス感染症およびRSウイルス感染症の状況(2021年4月9日現在)

 

新型コロナウイルス感染症:

 2019年12月、中華人民共和国湖北省武漢市において確認され、2020年1月30日、世界保健機関(WHO)により「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言され、3月11日にはパンデミック(世界的な大流行)の状態にあると表明された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2021年4月9日15時現在、感染者数(死亡者数)は、世界で133,810,599例(2,901,126例)、194カ国・地域(集計方法変更:海外領土を本国分に計上)に広がった(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_17971.html)。

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新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者における基本属性別、接触場所別の陽性率

(速報掲載日 2021/4/9)
 
はじめに

 全国自治体が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者発生に際して実施する積極的疫学調査においては、患者および濃厚接触者に対して詳細な聞き取り調査が行われる。本解析の目的は、これまで収集された積極的疫学調査情報を集約し、感染者と濃厚接触者の基本情報や接触場所から感染リスクの高い人や感染場所の特徴、接触場所別の陽性率を明らかにし、今後の感染対策に生かすことである。

 

第1報:令和3年4月8日
国立感染症研究所

【背景・目的】

感染・伝播性の増加や抗原性の変化が懸念される新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株(懸念される変異株(variants of concern; VOC))の感染者が世界各地から報告されている。日本国内においても、英国で最初に検出されたVOC-202012/01、南アフリカで最初に検出された501Y.V2、ブラジルからの帰国者において日本で最初に検出された501Y.V3の流行が懸念され、令和3年1月以降、VOC-202012/01症例の報告が増えている。

新型コロナウイルス感染症患者は感染症法に基づいて入院措置が行われる。令和3年4月8日0時現在、VOCによる新型コロナウイルス感染症患者(変異株症例)については従来株(非変異株)による新型コロナウイルス感染症患者(非変異株症例)と異なる退院基準が設定されており、核酸増幅法(PCR等)による2回連続の陰性確認が必要とされている。しかしこの退院基準を満たすために入院期間が長期化することが患者及び医療機関の負担となっている。このため変異株症例のウイルス排出期間及び感染性のある期間等について明らかにする必要がある1)

本調査は、変異株症例と非変異株症例におけるウイルスRNAコピー数の経時変化を検討することを目的として行った。ウイルスRNAコピー数は感染性のあるウイルス検出の代替指標として役立つと考えられている。また感染性のあるウイルスの排出期間についても評価を行った。本稿ではその中間解析結果を報告する。

なお本調査は、感染症法第15条の規定に基づく積極的疫学調査として実施したものである。

 

掲載日:2021年4月9日

第29回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年4月7日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第29回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版(準備中)

直近の感染状況等

全国の新規感染者数は、報告日ベースでは、3月上旬以降増加が続いており、直近の1週間では10万人あたり約14人となっている。関西圏での急増に伴い、3月下旬から増加率も高まっている。新規感染者数の増加に伴い、3月下旬以降重症者数も増加に転じており、重症者増加のスピードに注意が必要。

実効再生産数:
全国的には、2月下旬以降1を超えており、直近(3/21時点)で1.16となっている。3/22時点で宮城、1都3県、愛知・岐阜、大阪・兵庫・京都では1を上回る水準となっており、特に、大阪・兵庫・京都では、1.74となっている。

影響が懸念されるN501Yの変異のある変異株(VOC)の感染者の増加傾向が続き、クラスターの発生も継続。特に、大阪、兵庫で多くの感染が確認されており、機械的な試算ではあるものの、スクリーニング検査による変異株(VOC)の割合が高い水準で推移しており、周辺自治体でも変異株(VOC)による感染者数が増加している。

掲載日:2021年4月15日

第30回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年4月14日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第30回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版(準備中)

直近の感染状況等

全国の新規感染者数は、報告日ベースでは、3月上旬以降増加が続いており、直近の1週間では10万人あたり18人となっている。関西圏での急増に伴い、3月下旬から増加率も高くなっている。新規感染者数の増加に伴い、3月下旬以降重症者数も増加が継続している。 

実効再生産数:
全国的には、2月下旬以降1を超えており、直近(3/28時点)で1.18となっている。3/27時点で宮城は1を下回っているが、1都3県、大阪・兵庫・京都、沖縄では1を上回る水準となっており、特に、大阪・兵庫・京都では、1.54となっている。

影響が懸念されるN501Yの変異のある変異株(VOC)の感染者の増加傾向が継続。特に、大阪、兵庫で多くの感染が確認されており、機械的な試算ではあるものの、スクリーニング検査による変異株(VOC)の割合が高い水準で推移しており、周辺自治体でも変異株(VOC)による感染者数が増加している。さらに関西だけでなく、東京、愛知など多くの自治体でもその割合が上昇し、急速に置き換わりがおきつつある。

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国立病院機構電子カルテネットワークデータを使用したCOVID-19のリアルタイムサーベイランスの試み

(速報掲載日 2021/4/8)
 

 感染症対策の基本はサーベイランスであり、どこで何が起こっているのかわからなければ対策の立てようがない。一般的な症例サーベイランス(Case-based surveillance)では、医療機関からの報告を基本として、地方自治体単位でデータをまとめ、最終的に国に報告されるが、この経路において、一次報告者である医療機関における担当医師から、保健所、地方感染症情報センターを含む地方自治体公衆衛生部門、それぞれの段階において一定の業務負荷がかかり、特に患者診療を担当する医療機関、疫学調査を担当する保健所にとって大きな負荷となる。

国立感染症研究所
2021年4月7日17:00時点

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要約

  • 懸念される変異株(VOC)感染者の割合が国内でも増加しつつある。 変異株スクリーニングPCRの全国的な導入によりVOCの実態が明らかになってきた。中でも、VOC-202012/01が大半を占め、関西圏で増加傾向である。海外の報告と同様に、従来株と比べて感染・伝播性が高いと見られる。
  • N501YとE484K変異を有するP.3系統株がフィリピンからの入国者から新たに見つかったことから、国内ではVOCとして扱うこととする。
  • E484K変異を有するR.1系統株が、関東・東北地方で増加している。継続してVOIとして取り扱い、感染・伝播性を含め発生動向を注視し、ワクチンへの影響等を検討していく。
  • 社会の新型コロナウイルス感染対策は、従来株・変異株を問わないが、感染・伝播性が増加した変異株による感染者急増を極力回避するため、対策の強化・徹底を推奨する。
  • 変異株の流行による感染者の急増に備え、医療需要が急増した際の対応策の構築を急ぐとともに、速やかに社会的な感染機会の抑制を図るより強力な対策を行うこと、また、県境を跨ぐ移動など VOCが急増する地域との往来の抑制等、拡大抑止対策を検討することを推奨する。

国立感染症研究所
2021年4月5日時点

1.背景

従来株に比べて感染・伝播性や獲得免疫の効果に影響があるとされる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の新規変異株が相次いで報告され、国際的な流行が懸念されている。これらの新規変異株はいずれも感染・伝播性に影響があるとされるN501Y変異を有する。2020年11月に英国南東部地域でSARS-CoV-2の新規変異株VOC-202012/01(lineage B.1.1.7)が報告されて以降、同株症例は同国内で急速に増加し、その後世界的に感染拡大を起こした。VOC-202012/01は従来株に比較して実効再生産数が43-90%高く[1,2]、また死亡リスクを55%上昇させるという報告がある[3]。しかし新規変異株症例の疫学的特性についてはまだ十分に解明されているとは言えない。英国ではVOC-202012/01が報告された当初に従来株に比べて小児の感染リスクが高い可能性が指摘され[4]、その後、英国公衆衛生庁の解析ではどの年代でもおしなべて2次感染率が上昇していることが報告された[5]。また南アフリカから最初に報告された501Y.V2株、日本においてブラジル渡航者から検出された501Y.V3株は、N501Y変異に加えて免疫逃避との関連が指摘されているE484K変異を有しており、ワクチンの効果が減弱する可能性が指摘されている。

日本では2020年12月25日に空港検疫で英国からの帰国者からVOC-202012/01が初めて検出された。さらに同年12月28日に南アフリカ共和国からの帰国者から501Y.V2が、2021年1月6日にブラジルから到着した渡航者4名から501Y.V3が検出された。その後、国内では主にVOC-202012/01症例のクラスターが確認されており、新規症例数が増加しつつある[6]。今後、新規変異株の流行拡大が想定されるなかで、その疫学的特性を明らかにすることは制御戦略を設計するうえで重要である。

本報告の目的は2021年4月5日までに日本国内で確認された新規変異株症例の特性を記述し、特に新規変異株症例の主体であるVOC-202012/01症例の感染・伝播性と感染リスクについて評価することである。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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