国立感染症研究所

掲載日:2021年4月5日

第28回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年3月31日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第28回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料2)。

英語版(準備中)

直近の感染状況等

全国の新規感染者数は、報告日ベースでは、3月上旬以降増加が続いており、直近の1週間では10万人あたり約10人となっており、改めて減少傾向としていくことが必要。

実効再生産数:
全国的には、1月上旬以降1を下回っていたが、2月下旬以降1を超えており、直近(3/14時点)で1.06となっている。同時点で1都3県、愛知・岐阜、福岡では1を下回っているが、大阪・兵庫・京都では1を上回る水準となっている。

英国、南アフリカ等で確認されその影響が懸念されるN501Yの変異のある変異株(VOC)は、現状より急速に拡大するリスクが高い。自治体による積極的疫学調査が行われる中で、変異株の感染者の増加傾向が続き、クラスターの発生も継続。

地域の動向

※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値

①首都圏(1都3県)
緊急事態宣言の解除から約1週間が経過。東京では、新規感染者数は3月中旬以降増加が続き、約18人となっている。神奈川、埼玉、千葉は、横ばい傾向で、新規感染者数はそれぞれ、約8人、約11人、約12人。医療提供体制の負荷の軽減が見られてきたが、東京では、3月中旬以降それまで減少してきた入院者数が増加に転じた。
②関西圏・中京圏・九州(6府県)
緊急事態措置の解除から約4週間が経過。人流の増加に伴い、大阪、兵庫では3月中旬以降増加傾向が強まっている。奈良、和歌山でも3月下旬以降大きく増加。愛知・岐阜でも3月下旬以降増加の動きが見られる。福岡は横ばいから減少傾向で推移している。特に大阪では、新規感染者数も約25人となっている。また、関西では変異株の報告が増加している。医療提供体制の負荷の軽減が見られてきたが、新規感染者数の増加に伴い、特に兵庫県では、病床使用率が上昇しており、厳しい状況となっている。
③上記以外の地域
宮城では3月上旬から、山形では3月中旬より感染が急速に拡大。新規感染者数が、それぞれ約41人、約22人となっている。いずれも50代未満が中心であるが、入院者数も増加。沖縄でも3月上旬以降感染が増加し、3月中下旬に大きく増加。新規感染者数が約36人となっている。人流は増加傾向で、感染者は20-50代が多いものの、入院者数も増加。愛媛では、接待を伴う飲食店関係のクラスターにより、3月下旬以降新規感染者数が大きく増加し、約17人となっている。その他でもクラスターの発生等により感染者数が増加する地域が生じている。

感染状況の分析

関西圏での感染拡大が強く懸念される。先行して緊急事態措置が解除された大阪・兵庫で再拡大が起こり、特に大阪は宣言解除後から夜間滞留人口の増加が続き、20-30代の感染者が増加。多数の感染者数が発生している中で、変異株の報告も増加しており、今後も感染拡大が予想される。また、人の移動に伴う変異株の他地域への流出を出来るだけ防ぐことが求められる。。

首都圏では、1都3県全体で見ると微増傾向だが、 東京でも宣言解除の2週間前より20時以降の夜間滞留人口が増加し、解除後さらに急増。若年層の感染者の割合も高く、今後の感染急拡大が懸念される。首都圏は、感染源やクラスターの発生場所が多様化(大人数の宴会や日中の会食など)し、感染者数も多く、匿名性が高いため、感染経路が不明な例も多い。

宮城、山形、沖縄では、若年〜中年層を中心とした感染拡大が見られる。3県とも実効再生産数が1以上を継続しており、今後も感染拡大が続く懸念がある。各県独自の対策はとられており、宮城では人流の低下も見られている。引き続き、今後の推移に留意が必要。

一部地域では、変異株の割合の高まりが懸念され、急速な感染拡大や既存株と比べ感染性の高さが懸念されている。

必要な対策

緊急事態宣言が解除されたが、大都市圏では関西で感染が再拡大し、東京でも新規感染者数の増加が続いている。また、今般の緊急事態措置区域以外の地域でも、宮城・山形、沖縄で感染者が急増している。感染が増加している地域においては、効果的な感染抑制のための取組が必要。飲食店に対する適切な時短要請や外出自粛要請、検査を遅滞なく実施できる体制の拡充、濃厚接触者および感染源の迅速な調査などの対策が求められる。その上で、更なる感染拡大に対応するための医療提供体制や公衆衛生体制の確保が必要であり、国からも必要な支援を行うことが必要。すでに、一部地域では入院調整の遅延が生じており、早急に対応すべきである。

特に、大都市圏は、人口が多く、感染が継続した場合の他地域への影響も大きい。 大阪では、多数の感染者数が発生している中で変異株の報告も増加しており、今後も感染拡大が予想され、速やかに適切な対応を行うことが求められる。また、東京でも増加が継続しており、今後の動きが懸念され、首都圏でも感染状況に応じた適切な対応が求められる。

一方、これまで大きな感染拡大が無かった地域でも、急速な感染拡大が生じる可能性がある。実際に感染拡大が生じた場合を想定して、相談・検査体制、病床・宿泊療養施設の確保、自宅療養含めた調整体制、全庁的な応援態勢の確保、都道府県と保健所設置市の連携体制等必要な準備が出来ているか、改めて確認し、新たな感染拡大へ備えておくことが必要。

年度初めに関しては、入社や入学の際に、人の移動・研修を伴うことが多い。また、引き続き昼カラオケ、接客を伴う物販など高齢者が集まる場面や日中も含めた長時間の会食には注意喚起が必要。新たな感染拡大の動きが見られており、年度替わりに伴い移動された方も含め、3密など人が集まる機会を避け、年度初めの恒例行事(歓送迎会、お花見)などに伴う宴会(特に、普段会わない方との宴会等)は避けていただくなど危機感を共有できるメッセージの発信が必要。

N501Yに変異のある変異株については、その影響がより大きくなってくることを踏まえ、その影響を抑えるための対応が必要。このため、先日示された変異株対策パッケージも踏まえ、①水際措置の強化の継続、②国内の変異株のサーベイランス体制の早急な強化、③変異株感染者の早期検知、積極的疫学調査による濃厚接触者および感染源の特定や速やかな拡大防止策、④変異株の感染性や病原性等の疫学情報についての評価・分析(N501Y変異以外のE484Kなどの変異を有する変異株についても実態把握を継続)と正確な情報の発信、⑤検体や臨床情報等の一体的収集・解析等の研究開発等の推進が必要。併せて、変異株に関する入院時の扱いや退院基準等医療提供体制や公衆衛生体制での取組の在り方について早急に検討が必要。

こうした取組を進めるためにも、併せて、各地の感染状況を的確に把握するため、Her-Sys等も活用した都道府県内での感染状況の見える化に向けた取組が必要。

 

感染状況分析・評価グラフ等

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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