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掲載日:2021年5月7日

第33回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年5月6日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第33回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版

直近の感染状況等

全国の新規感染者数は、報告日ベースでは、先週今週比の値は低下傾向であるものの、依然として増加傾向が続いており、直近の1週間では10万人あたり約28人となっている。重症者数、死亡者数も急速な増加が続いており、今後、高齢者層への感染の波及が進むと、更に増加する可能性が高い。

実効再生産数:
全国的には、2月下旬以降1を超えており、直近(4/19時点)で1.02となっている。

4月中旬以降、大阪だけでなく東京でも、重症者に占める20代から50代の若年層の割合が高くなっている。また、各地で20歳未満の感染者数の増加が見られている。

なお、GW中は診療および検査数が少なくなっていること。また、地域の感染者数が増加すると、検査や報告が遅れることに加え、連休による人の移動の影響で、翌週以降の報告数が上積みされることも想定する必要がある。

感染状況の分析【地域の動向等】

※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値。実効再生産数は、1週間平均の直近(4/20時点)の値

①関西圏
  • 大阪、兵庫を中心に、医療提供体制や公衆衛生体制の非常に厳しい状況が継続。救急搬送の困難事例も増え、一般医療を制限せざるを得ない危機的な状況が続いている。また、自宅および宿泊療養中の症状が悪化に対して迅速な対応が困難となっている。必要な医療を受けられる体制を守るためには、新規感染者数を減少させることが必須。
  • 大阪、兵庫、京都、奈良では全年齢層で新規感染者数が高い水準であり、特に、20-30代が高くなっている。大阪では、まん延防止等重点措置の開始から1ヶ月、緊急事態措置の開始からは10日強経過。先週今週比は1前後で推移し、新規感染者数は直近では減少の動きが見られるが、約79と非常に高い水準であり、報告の遅れも懸念され、引き続き注視が必要。
  • 大阪では、重点措置適応前後から減少が続いていた夜間滞留人口・昼間滞留人口は、緊急事態宣言開始後さらに大幅に急減。1度目の緊急事態宣言時の最低値を下回る過去最低の水準に到達。大阪・兵庫・京都で実効再生産数は0.94となっており、今後新規感染者減少も見込まれるが、診断と報告の遅れの懸念や今後も横ばいが継続するとの予測もあり、少なくとも5月中旬まで感染者数の推移には注視が必要。
  • 周辺では、兵庫、奈良、和歌山では減少の動きが見られる。兵庫では陽性率が15%前後の高水準で推移。京都、滋賀は横ばい。兵庫、奈良、京都の新規感染者数は、約54、42、35と高水準。
②首都圏(1都3県)
  • 東京では、まん延防止等重点措置の開始から3週間、緊急事態措置の開始からは10日強経過。20-50代の感染拡大により、全体でも感染者数の増加傾向が継続し、約40となっている。先週今週比も低下傾向が見られるが、1以上が2ヶ月近く継続。地域的には都心を中心に周辺にも広がりが継続。
  • 緊急事態宣言開始後、夜間滞留人口・昼間滞留人口ともに大幅に急減。2度目の緊急事態宣言時の最低値を下回る水準に到達。特に、酒類の提供自粛等により、18~20時の滞留人口が大幅減。GW後半も減少が継続。しかしながら、実効再生産数は1を下回っておらず、 GW後も新規感染者数が増加が継続する可能性。
  • 東京では、宿泊療養、自宅療養、入院調整中の人数も増加しており、医療提供体制への負荷の増大が懸念される。
  • 埼玉、千葉、神奈川では、まん延防止等重点措置の開始から2週間経過。新規感染者数は横ばいから微増で、それぞれ、約20、16、17。夜間滞留人口・昼間滞留人口はGWに入り、減少に転じる。酒類の提供自粛等の影響により、GWの後半に入っても18時以降の滞留人口の減少は続いている。実効再生産数は1前後であり、新規感染者数は横ばいが続く可能性。
③中京圏
  • 愛知では、まん延防止等重点措置の開始から2週間経過。20-30代を中心として、ほぼ全世代で新規感染者数の増加傾向が継続し、約29となっている。 名古屋市では、30-50代を中心にほぼ全年齢層で増加。
  • 東京及び関西を措置地域とする今回の緊急事態宣言発出後、夜間滞留人口・昼間滞留人口ともに急減。夜間滞留人口は、2度目の緊急事態宣言時の最低値にほぼ近づく。しかしながら、直近の1週間の実効再生産数は1以上が続いており、 GW後も新規感染者数の増加が続く可能性。
  • 岐阜、三重では、新規感染者が約22、17と高い水準が続いている。 ④その他まん延防止等重点措置地域(宮城、沖縄、愛媛)
④その他まん延防止等重点措置地域(宮城、沖縄、愛媛)
  • 宮城では、新規感染者数の減少傾向が継続し、約9となっている。緊急事態宣言後、日中、夜間の滞留人口も減少。
  • 沖縄では、新規感染者数は、4月半ば以降減少傾向が続いているが、約31と引き続き高水準。20-30代は減少傾向であるが、70代以上で増加しており、病床の逼迫が厳しい中で、入院者数の増加が危惧される。
  • 愛媛では、4月下旬以降新規感染者数が減少傾向となり、約12となっている。
⑤上記以外の地域
  • 福岡では、新規感染者数が4月中旬以降20-30代を中心として急速に増加しており、約47。重症者数も大きく増加。GW中の陽性率が上昇しており、感染の拡大、継続が危惧される。先週、新規感染者数・過去最多を更新し、その前後から夜間滞留人口・昼間滞留人口ともに減少。ただし、2度目の緊急事態宣言時の最低値の水準には到達していない。実効再生産数は1.35と高い水準にあり、新規感染者数の急速な増加が続く可能性。病床の占有率も急速に高まっている。関西と同様の感染拡大に繋がる可能性もあり、速やかな対応が必要。
  • 大分、佐賀、長崎では、減少の動きも見られたが再度増加の動き。熊本は減少の動きが見られるが、宮崎では増加が継続、鹿児島で4月末から急増が見られるなど、九州全体への感染の広がりが見られる。
  • 北海道は札幌市を中心に新規感染者数の増加が継続し、約28と高い水準。札幌市は約57とより高い水準で、50代以下特に40代の重症例も増加し、入院患者数はいわゆる第3波を超えた。病床使用率も80%を越え、市外への広域搬送事例も見られる。実効再生産数は1.41と高い水準にあり、新規感染者数の急増はGW後も続くことが予測される。
  • その他の地域でも、クラスターの発生等により感染者数が急速に増加する地域や継続的に増加が続いている地域がある。福島、群馬、石川、岡山、広島、徳島、香川では新規感染者数が15を超えており、特に、群馬、岡山、徳島では新規感染者数が約25、33、27と高い水準となっている(石川、岡山、広島、香川では先週今週比1以上が2週間以上継続。) 。特に群馬は実効再生産数が1.42と高く、急速な増加が続くことが懸念。

<変異株に関する分析>

  • 影響が懸念される変異株(VOC)の割合が、関西(大阪、京都、兵庫)では、8割を超える高い水準が継続しており、従来株から置き換わったと推定される。東京でも6割程度、愛知で7割程度など他の地域でも置き換わりが進んでいる。
  • 現段階では、年代特異的な感染拡大の傾向は見られておらず、小児の症例数が顕著に多いとは認められない。
  • 国内でN501Y変異株は、非N501Y変異株に比べて特に50才代以下の重症化リスクが高まっている所見があるが 、更なる精査が必要である。
  • いずれにしても、 N501Y変異株による重症化リスクが高まっている可能性を想定して、医療体制の整備や治療を行う必要がある。

必要な対策

緊急事態宣言が発令され10日強経過し、緊急事態措置区域とされた地域(東京、大阪、京都、兵庫)では、夜間滞留人口の減少がみられ、先週今週比の低下の動きもみられる。しかし、東京では感染者の増加傾向が継続し、まん延防止等重点措置区域とされた埼玉、千葉、神奈川でも横ばいから微増。関西でも横ばい若しくは減少の動きが見られるが、医療提供体制は危機的な状況が継続。今回、変異株(VOC)の置き換わりが進む中で、まん延防止等重点措置の効果が一定の範囲にとどまったことを踏まえ、GW期間終了後の言わば平時における強い対策が改めて必要である。

まん延防止等重点措置区域とされたその他の地域において、愛知では引き続き増加、沖縄では減少傾向であるものの、依然として約30人を超える高水準となっており、感染抑制につなげるための効果的な対策が必要。宮城では、4月初めをピークに感染者数の減少傾向が継続し、病床使用率も低下がみられている。愛媛でも4月下旬以降減少傾向が継続。これらの地域では、リバウンドを起こさないための対応が必要。

福岡、北海道など新規感染者数が高い水準にあり、かつ急激に増加・継続している地域では、医療提供体制への負荷も既に大きくなりつつあり、感染抑制につなげるための強い対策について、躊躇なく取り組むべきである。

なお、変異株(VOC)の影響も踏まえ、対策を打つべきタイミングや内容について、大阪や東京など各地でのこれまでの対応の効果も踏まえた検討を行っていくことが必要と考えられる。

クラスターの多様化がみられ、飲食店に限らず、職場、部活やサークル活動など様々な場所での感染が報告されている。職場での感染も目立ってきており、GW後には社会活動の活発化が見込まれるが、GW明けもテレワークの活用等により出勤を抑制するなど対策の強化が求められる。

マスクの着用等基本的な感染予防の重要さを発信することが必要。不織布などマスクの材質による特徴等の周知も併せて必要。また、密閉、密集、密接の重なる三密の場面だけでなく、二つあるいは一つだけの要素でも感染のリスクがあることについて改めて周知が必要。

従来株から変異株(VOC)への置き換わりが進む中で、地域ごとの感染状況や疫学情報についての評価・分析を踏まえつつ、新たな変異株への対応も強化するため、ウイルスゲノムサーベイランスによる実態把握に重点をおいて対応を行うことが必要。

ワクチンについて、立証されている発症予防効果に加え、各国での実使用後になされた研究等から重症化予防効果、感染予防効果を示唆する報告がなされている。ワクチン接種が広く進み、こうした効果が発現されれば、重症者数、さらには感染自体が抑制されることも期待される。高齢者へのワクチン接種が始まっているが、国と自治体が連携して、可能な限り迅速・効率的に多くの人に接種を進めることが必要。

 

感染状況分析・評価グラフ等

 

 

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan