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掲載日:2021年8月13日

第47回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年8月11日、厚生労働省)の報告による、我が国における新型コロナウイルス感染症の状況等についてお知らせいたします(第47回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード 資料1)。

英語版  

感染状況について

全国の新規感染者数は、報告日別では、今週先週比が1.33で急速なスピードでの増加傾向が継続。過去最大の水準の更新が続き、直近の1週間では10万人あたり約78となっている。東京を中心とする首都圏や沖縄での感染拡大が顕著であるが、全国的にほぼ全ての地域で新規感染者数が急速に増加しており、これまでに経験したことのない感染拡大となっている。

感染者数の急速な増加に伴い、これまで低く抑えられていた重症者数も急激に増加している。また、療養者数の増加に伴い、入院等調整中の者の数も急速に増加している。公衆衛生体制・医療提供体制が首都圏を中心に非常に厳しくなっており、もはや災害時の状況に近い局面を迎えている。

なお、直近の感染者数の数値は、3連休の影響等もあり、今後さらなる増加が継続する可能性もあることに留意が必要。

実効再生産数:
全国的には、直近(7/25時点)で1.39と1を上回る水準が続いており、首都圏、関西圏では1.37となっている。 

感染状況の分析【地域の動向等】

 ※新規感染者数の数値は、報告日ベースの直近1週間合計の対人口10万人の値

首都圏(1都3県)
東京では、緊急事態措置が続いているが、新規感染者数は今週先週比が1.19で増加傾向が続き、約200。年末年始を超える過去最大の規模の感染拡大が継続。20-40代が中心だが、高齢者の感染者数も増加傾向。入院者数では20-50代を中心に増加が継続。60代以上でも増加の動き。人工呼吸器又は人工心肺を使用している重症者数では、40-50代を中心として増加傾向が継続。入院者数と重症者数は共に過去最高の水準となり、夜間をはじめ新規の入院受け入れ・調整が困難な事例もある。感染者の急増に伴い、自宅療養や調整中の者も急激に増加。さらに、集中治療室等での対応など一般医療の制限も生じている。埼玉、千葉、神奈川でも新規感染者数は20-30代中心に急増が続き、それぞれ、約120、107、140。東京同様、病床、重症病床の使用率が急速に上昇している。東京では夜間滞留人口の減少が続いているものの前回宣言時の水準には届いていない。また、夜間滞留人口に占める割合は、20・30代だけでなく、40・50代も高くなっている。埼玉、千葉では夜間滞留人口が減少に転じているが、神奈川では横ばい。首都圏では当面は感染拡大が続くことが見込まれる。
沖縄
緊急事態措置が続いているが、新規感染者数は今週先週比が1.38で急速な増加傾向が続き、約248と全国で最も高く、過去に例のない水準となっている。20-30代が中心。入院者数は急速な増加が続き、病床使用率及び重症病床使用率は厳しい状況となっている。夜間滞留人口は再び減少に転じ、1回目の緊急事態宣言時を下回る水準まで減少。新規感染者数の減少につながるか注視が必要。
関西圏
大阪では、新規感染者数は今週先週比が1.25で急速な増加傾向が続き、約86。20-30代が中心。入院者数は増加が続き、重症者数も増加。夜間滞留人口は減少に転じたが、依然高い水準であり、感染拡大が続くことが予測される。
滋賀、京都、兵庫でも、新規感染者数の増加傾向が続き、それぞれ、約45、71、51。いずれも、入院者数が急速に増加。京都、兵庫では、夜間滞留人口は減少、新規感染者数の減少につながるか注視が必要。
奈良でも新規感染者数が急速な増加傾向が続き、約44。
北海道
新規感染者数は今週先週比が1.34と急速な増加が続き、約44(札幌市約80)。重症病床使用率は2割を切る水準が継続しているものの、直近では上昇傾向。夜間滞留人口の減少は見られるが、依然高い水準であり、感染の拡大が継続する可能性。
中京圏
愛知では、新規感染者数は、今週先週比が1.48で急速な増加傾向が続き、約33。静岡では、新規感染者数は、今週先週比が1.65で急速な増加が続き、それぞれ約38。いずれも、入院者数は増加が継続。重症病床使用率は2割を切る水準。愛知では、夜間滞留人口が直近で増加に転じており、感染の拡大が継続する可能性。
三重でも新規感染者数の急速な増加傾向がみられ、約28。
九州
福岡、熊本では、新規感染者数は、今週先週比が1.5を超える水準で急速な増加が続き、それぞれ、約95、44。入院者数は増加が継続。重症病床使用率は2割を切る水準。夜間滞留人口の減少は見られるが、新規感染者数の減少につながるか注視が必要。その他の各県でも急速な新規感染者数の増加が見られており、特に、佐賀、大分、鹿児島では、それぞれ、約32、25、32と25を超えており、急速な感染拡大となっている。
その他 重点措置対象地域
茨城、栃木、群馬では、新規感染者数は、急速な増加傾向が続き、それぞれ約61、47、50。福島、石川では、それぞれ、約32、45で高止まりや減少の動きが見られる。いずれも病床使用率が5割を超えている。夜間滞留人口の減少は見られるが、新規感染者数の減少につながるか注視が必要。
上記以外
その他の地域でもほぼすべての地域で急速な新規感染者数の増加が見られており、特に、宮城、富山、福井、山梨、鳥取、岡山、香川では、それぞれ約28、30、25、48、31、36、29と25を越え、急速な感染拡大や高止まりとなっている。

変異株に関する分析

  • B.1.617.2系統の変異株(デルタ株)は、スクリーニング検査での陽性率(機械的な試算、7/26-8/1)が約67%。上昇が続いており、置き換わりが進んでいる。特に、東京では、約8割で、直近では約95%と推計されており、ほぼ置き換わったものと考えられ、現下の感染拡大の大きな要因となっていると考えられる。

今後の見通しと必要な対策

  • 緊急事態措置や重点措置が継続しているが、デルタ株への置き換わりが進む中で、滞留人口の減少も限定的で、感染者数がこれまでにはない規模で増加しているため、重症者数も急速に増大している。比較的若い層の重症者だけでなく、60代でも絶対数として増えていることにも注意が必要。
  • これまでに経験したことのない感染拡大の局面を迎えているが、医療提供体制や公衆衛生体制の拡充による対応には限界があり、集中治療室等での対応など一般医療の制限や救急での搬送が困難な事例も生じている。多くの命が救えなくなるような危機的な状況さえ危惧され、一刻も早く、現下の感染拡大を速やかに抑えることが必要であり、改めて、こうした危機感を行政と市民が共有して対応し、ただちに、接触の機会を更に削減することが必要である。
★ お盆は県境を越えた移動、外出を控えて:お盆の帰省は延期の検討を

感染の機会をできるだけ減らすことが必要。普段会わない人と会う機会が感染リスクを高める。
自分や家族を守るためにも、今週から始まるお盆休みや夏休みの期間においては、県境を越えた移動や外出を控え、できるだけ家庭で過ごしていただくことが必要。

★ 基本的な感染対策の徹底を

感染は商業施設を含む職場や学校など地域にも急速に広がっている。飲食の場面への対策は引き続き徹底し、飲食を介した家庭内や職場への伝播を徹底的に防ぐ必要がある。既にワクチンを接種した方も含め、改めて、マスク、手指衛生、人との距離の確保、換気などの基本的感染防止対策のほか、業種別ガイドラインの再徹底、職場での感染防止策の強化、会議の原則オンライン化とテレワーク推進(特に基礎疾患を有する方や妊婦など)、有症状者の出社の自粛などを徹底すべき。さらに、少しでも体調が悪い場合、軽い症状でも早めの受診、積極的な検査、適切な療養に繋げることが必要。また、こうした基本的な対策とあわせて、引き続き、ワクチン接種を積極的に進めることが必要。

★ 最大限に効率的な医療資源の活用を

感染が急拡大する地域では、それぞれの地域の状況を踏まえ、新たに示された「患者療養の考え方」に基づき、都道府県が主体となって地域の医療資源を最大限活用して、新たに特例承認された中和抗体薬の活用や、重症化に迅速に対応できる体制を早急に整備することにより、必要な医療を確保することが求められる。さらに、全国的に急速な感染拡大が続くという前提で、夜間救急の体制などを含め対策を進める必要がある。併せて、医療関係者の濃厚接触者に対する取扱いについて、速やかに整理・対応が必要。

★ 検査の促進

PCR検査や抗原検査陽性者を確認した場合、医師や医療機関は保健所の判断がなくとも、濃厚接触の可能性のある者に検査を促すべきと考えられる。

 

感染状況分析・評価グラフ等 

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan