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新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの報告による、2020年8月5日時点での我が国における新型コロナウイルス感染症の状況についてお知らせいたします。

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直近の感染状況等(2020年8月5日現在)

〇 新規感染者数の動向

  • 都市部を中心に接待を伴う飲食店や友人・知人との会食・飲み会を介した感染拡大が続いてきたが、 地方でも感染拡大が生じている。
  • 新規感染者数は全国的に増加傾向であり、一部地域では急速に感染が拡大している。

・人口10万人当たりの1週間の累積感染者数(7/30~8/5) 

 全国:7.33人(9,248人)、東京都:17.41人(2,424人)、愛知県14.38人(1,086人)、大阪府14.37人(1,266人)、福岡県16.58人(846人)、沖縄県30.32人(439人)

・感染経路が特定できない症例の割合(7/25~7/31) 全国:52%、東京都:59%

〇 入院患者数の動向

  • 入院患者数は増加しており、(括弧内)の受入確保病床に対する割合も増加している。

・入院者数(7/28。東京都は8/5):全国4,034人(20%) 東京都1,475人(45%)、愛知県195人(39%)、大阪府534人(42%)、福岡県183人(37%)、沖縄県83人(37%)

  • 一方、重症患者数は、現時点では少ない状況にあるが、少しずつ増えている。(括弧内)の重症者受入確保病床数に対する割合も徐々にではあるが、増加している。

・重症者数(7/28。東京都は8/5):全国92人(4%)、東京都21人(5%)、愛知県2人(7%)、大阪府13人(7%)、福岡県5人(8%)、沖縄県2人(5%)

〇 検査体制

  • 直近1週間で、検査件数は+48%上昇。検査件数に対する陽性者の割合も6.7%(前週比+0.7%ポイント)に上昇したが、緊急事態宣言時(4/6~4/12の8.8%)と比較すると低位なるも、一部自治体では急増が見られる。

・検査数(7/27~8/2):全国 127,700件(+48%)、東京都 32,605件(+36%)、愛知県 5,661件(+92%)、大阪府 11,287(+42%)、福岡県 10.312件(+95%)、沖縄県 3,433件(+143%)

・陽性者の割合(7/27~8/2):全国 6.7%(+0.7%ポイント)、東京都 7.0%(-0.7%ポイント)、愛知県 18.5%(+3%ポイント)、大阪府 11.1%(+1.4%ポイント)、福岡県 7.4%(-0.3%ポイント)、沖縄県 9.5%(+6.6%ポイント)

  • 「発症~診断日」の平均日数は縮減の後、横ばい傾向。

・「発症~診断日」の平均(7/13~7/19):全国5.2日、東京都5.2日

※ 4月中旬(4/13~4/19):全国7.6日、東京都9.0日

直近の感染状況の評価等

  • 都市部を中心に接待を伴う飲食店や友人・知人との会食・飲み会を介した感染拡大が続いており、地方でも感染拡大が生じている。感染拡大のスピードについては、一部地域で急速な拡大に伴い、3、4月のときに近くなっており、憂慮すべき状況である。
  • 一方で、引き続き、若年層を中心とした感染拡大となっているため、3、4月と比較すると、感染者数の増加に対して、入院したり、重症化する者の割合は低い状況が続いているが、中高年層への拡大も徐々に見られ、重症者も徐々に増加しつつある。
  • なお、感染者数の増加に対して、重症者数の増加が緩やかである点については、若年層が多いことだけでなく、早期に診断がされるようになったことや、重症化予防に資する治療が一定の効果を上げつつある可能性も考えられるが、現時点では、十分なエビデンスを得るには至っておらず、引き続き解析を行うことが必要である。
  • 感染経路等については、感染者数の増加が見られる地域において、感染経路不明の感染者の割合が高水準で推移している。さらに、引き続き、家庭内や医療機関、高齢者施設等における感染も確認されている。
  • また、これまでクラスター感染が発生した場所に関しては、接待を伴う飲食店、居酒屋、また、職場での会議など、主に3密や大声を発するような状況が多かった。
  • 以上から、引き続き、感染拡大防止に向けては、3密や大声を上げる環境の回避、室内でのマスクの着用、フィジカル・ディスタンスの徹底、換気の徹底など基本的な感染対策を行うことが強く求められる。
  • 現在のところ、こうした基本的な感染対策が行われていれば、近隣のスーパーでの買い物や通勤時の公共交通機関、オフィスなどで感染が拡大する状況ではないと考えられる。
  • 一方で、新規感染者の継続した発生や増加により、保健所や医療機関の対応には既に悪影響が生じており、一部地域では医療提供体制ひっ迫の懸念が見られる。いくつかの都道府県では既に動きが見られるが、公衆衛生体制及び医療提供体制の負荷の軽減を図るため、新規感染者数を減少させるための迅速な対応が求められる状況となっている。
  • 引き続き、感染状況の監視・評価を継続するとともに、病床の拡充や宿泊療養施設の確保など、十分な医療提供体制を早急に確保していく必要がある。また、宿泊施設の受入可能人数の状況等を踏まえ、宿泊療養による対応が難しい場合等においては、軽症・無症状者で重症化リスクの低い患者が自宅療養を適切に受けられる体制(体調悪化の対応、食事対応等を含む)を検討・整備するなど、医療提供体制の状況を早急に点検する必要がある。

 第5回アドバイザリーボード(2020年8月6日、厚生労働省)資料3(PDF)

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