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第7回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの報告による、2020年9月1日時点での我が国における新型コロナウイルス感染症の状況についてお知らせいたします。

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直近の感染状況等(2020年9月1日現在)

〇 新規感染者数の動向

  • 全国の発症時点で見た感染状況は、7月末がピークになっているように見え、主要都市の実効再生産数は、足元で1を下回っている。
  • 接待を伴う飲食店などハイリスクの場における積極的な対応や都道府県による自粛要請への協力、市民の行動変容の影響などもあってか、新規感染者数は全国的にやや減少に転じたが、感染者数の動向は地域差がある。

・人口10万人当たりの1週間の累積感染者数(8/25~8/31) 

 全国 4.13人(5,209人↓)、東京都 9.98人(1,389人↓)、愛知県 4.05人(306人↓)、大阪府 7.36人(648人↓)、福岡県 8.41人(429人↓)、沖縄県 15.97人(232人↓)

・感染経路が特定できない症例の割合(8/22~8/28) 全国 50.8%(前週差0.1%↓)、東京都 59.5%(2.4%↓)

〇 入院患者数の動向(※)

  • 入院者数はやや減少傾向となったが、引き続き高い水準が続いている。受入確保病床に対する割合(括弧内)も同様であり、特に一部地域では増加が続き、高水準となっている。

・入院者数(8/26):全国 5,581人↓(24.5%)、東京都 1,588人↓(48.1%)、愛知県 369人↑(46.6%)、 大阪府 483人↓(38.4%)、福岡県 272人↓(55.5%)、沖縄県 289人↓(62.7%)

  • 重症者数は7月上旬以降増加傾向が続いていたが、前週と同水準となっており、4月頃のピーク(381人(4/28))には達していない。

・重症者数(8/26):全国 331人(274人↓)(11.5%(9.6%)※)、東京都 83人(43人↓)(20.8%(10.5%)※)、愛知県 21人↑(30.0%)、 大阪府 72人↑(38.3%)、福岡県 16人↓(26.7%)、沖縄県 24人↓(49.0%)

〇 検査体制

  • 検査件数に変動はあるが、直近の検査件数に対する陽性者の割合は4.0%であり、前週差0.3%ポイント減少し、緊急事態宣言時(4/6~4/12の8.8%)と比較すると引き続き低位である。

・検査数(8/24~8/30):全国 133,493件↓、東京都 36,090件↓、愛知県 4,707件↓、大阪府10,634件↓、福岡県 8,878件↓、沖縄県 2,632件

・陽性者の割合(8/24~8/30):全国 4.0%(前週差0.3%ポイント↓)、東京都 3.8%(0.3%ポイント↓)、愛知県 6.5%(1.9%ポイント↓)、大阪府6.2%(0.9%ポイント↓)、福岡県 5.1%(0.5%ポイント↑)、沖縄県8.8%(1.8%ポイント↑)

 

※「入院患者数の動向」は、厚生労働省「新型コロナウイルス感染症患者の療養状況、病床数等に関する調査」による。この調査では、記載日の0時時点で調査・公表している。  

重症者数については、8月14日公表分以前とは対象者の基準が異なる。()内の数字は前週と同じ基準で比較した場合の数値。↑は前週と比べ増加、↓は減少を意味する。

 

<感染状況について>

  • 接待を伴う飲食店などハイリスクの場における積極的な対応や都道府県による自粛要請への協力、市民の行動変容の影響などもあり、今回の感染拡大については、全国の発症日ベースの流行曲線からは、7月27~29日以降、緩やかな下降が続いている。また、検査件数に対する陽性者割合についても、前週差で0.3%ポイント減少して4.0%となった。
  • 全国的な傾向としては、新規感染者数は緩やかに減少を始めていると考えられる。最直近の8月中旬までで見た際に、東京、大阪、愛知の実効再生産数は、1を下回っていることが確認されているが、東京では引き続き1に近い値が続いている。また、大阪、福岡、沖縄など状況を注視する必要がある地域もある。引き続き、継続的な患者発生数や再拡大に向けた警戒が必要な状況である。
  • 8月に入り、感染者数に占める中高年層の割合は上昇傾向となり、3~5月と比べれば低いものの6月~7月と比較すると高い水準で推移している。また、3~5月の感染拡大でも重症者・死亡者数は新規感染者数のピークから遅れて増加したが、重症者の状況については、7月上旬以降増加傾向が続いていたが、前週と同水準となっており、4月頃のピーク(381人(4/28))には達していない。
  • 3~5月の流行では、感染拡大のピークを過ぎてから病院や高齢者施設での感染が多発した。6月下旬以降の流行では、感染予防や感染拡大防止に向けた早期検知、早期対応が進んだこともあり、首都圏などでは「大規模な」院内・施設内感染の発生は減少している。引き続き、早期検知・早期対応をはじめ院内・施設内感染を防止する取組が重症者・死亡者数を抑えていくことが重要である。
  • こうした点を踏まえ、引き続き、「3密」や大声を上げる環境の回避、室内でのマスクの着用、フィジカル・ディスタンスの徹底、換気の徹底など、基本的な感染予防対策の実施や、院内・高齢者施設における施設内感染対策、クラスターが起きた場合の早期対応など、これからも必要な対策を継続すべきである。

<今後の対応について>

  • 政府は、感染状況の監視・評価を継続し、「新型コロナウイルス感染症に関する今後の取組」(令和2年8月28日新型コロナウイルス感染症対策本部決定)に基づき、軽症者や無症状者の宿泊療養等での対応の徹底と医療資源を重症者の治療に重点化し、感染症法における入院勧告等の権限の運用を政令改正を含め見直しを行うこととしているが、本アドバイザリーボードの議論も踏まえて、検討を進めていくべきである。
  • 併せて、接待を伴う飲食店などハイリスクの場における積極的な対応を継続していくことや、検査体制の抜本的な拡充、医療提供体制の確保、保健所体制の整備などに早急に取り組むべきである。

 

 

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