国立感染症研究所

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カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(carbapenem-resistant Enterobacteriaceae, CRE)病原体サーベイランス, 2018年

(IASR Vol. 40 p157-158:2019年9月号)

2017年3月の通知(健感発0328第4号)に基づき, カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)病原体サーベイランスが開始された。本稿では, 検体採取日が2018年1月1日~12月31日の1,684株(2019年6月28日現在)の報告概要を示す。

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カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)病原体サーベイランスにおける海外型カルバペネマーゼ遺伝子検出株, 2017~2018年

(IASR Vol. 40 p158-159:2019年9月号)

CRE病原体サーベイランスにおける海外型カルバペネマーゼ遺伝子検出株の概要を示すため, 2019年6月28日現在の病原体検出情報システム報告情報を集計した。対象は検体採取日が2017年1月1日~12月31日の899株および2018年1月1日~12月31日の1,684株とした。対象株の約15%は感染症発生動向調査届出IDの記載がなく, 感染症発生動向調査に基づくCRE感染症届出症例以外の患者分離株も一部含むと思われる。海外渡航歴無し・不明患者由来株からの海外型カルバペネマーゼ遺伝子検出は, 精度管理のためPCR増幅産物等のシークエンスによる結果確定を依頼した(以下は, 2019年6月28日現在シークエンス確認中7株を含む)。

国立感染症研究所 感染症疫学センター
2018年10月27日現在
(掲載日:2019年5月23日)

2014年9月19日よりカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)感染症が感染症法に基づく5類全数把握対象疾患となり、CRE感染症発症患者が報告されるようになった。

2018年10月27日現在、2017年第1週[2017年1月2日]~第52週[2017年12月31日]に届け出られたCRE感染症は1,660例であり、うち届出時点の死亡例は61例(4%)であった。

男性は1,024例(62%)、診断時の年齢中央値は76(四分位範囲 67-83)歳であり、65歳以上が1,331例(80%)を占めた。

CREは全ての都道府県から報告されており、東京都 213例(13%)、大阪府138例(8%)、福岡県133例(8%)の順に報告数が多かった。

診断名は、尿路感染症 538例(32%)、菌血症・敗血症 397例(24%)、肺炎 339例(20%)の順に多かった。

分離検体は、尿514例(31%)、血液426例(26%)、気道検体 317例(19%)の順に多く報告された。

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カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)感染症

(IASR Vol. 40 p17-18: 2019年2月号)

カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)感染症は, グラム陰性菌による感染症の治療において最も重要な抗菌薬であるメロペネムなどのカルバペネム系抗菌薬および広域β-ラクタム剤に対して耐性を示すEscherichia coliKlebsiella pneumoniaeなどの腸内細菌科細菌による感染症の総称である。CREは主に感染防御機能の低下した患者や外科手術後の患者, 抗菌薬を長期にわたって使用している患者などに感染症を起こす。肺炎などの呼吸器感染症, 尿路感染症, 手術部位や皮膚・軟部組織の感染症, カテーテルなど医療器具関連血流感染症, 敗血症, 髄膜炎, その他多様な感染症を起こし, しばしば院内感染の原因となる。時に健常者に感染症を起こすこともある。また無症状で腸管等に保菌されることも多い。

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カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(carbapenem-resistant Enterobacteriaceae: CRE)による院内感染事例について

(IASR Vol. 38 p.229-230: 2017年11月号)

千葉市内の医療機関においてカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(carbapenem-resistant Enterobacteriaceae: CRE)の院内感染が発生し, 分離菌株の遺伝学的解析を行ったので, 概要を報告する。

国立感染症研究所
2017年6月13日現在
(掲載日 2017月7月14日)

2014年9月19日よりカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)感染症が感染症法に基づく5類全数把握対象疾患となり、CRE感染症発症患者が報告されるようになった。

2017年6月13日現在、2016年第1週(2016年1月4日)~第52週(2017年1月1日)の期間にCRE感染症は1,581例の届出があり、うち届出時の死亡例は53(3.4%)であった。

 

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感染症法に基づくカルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症の届出状況(2015年1~12月)

(掲載日 2016/09/06)

カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)感染症は、メロペネムなどのカルバペネム系抗菌薬および広域β-ラクタム剤に対して耐性を示すEscherichia coliKlebsiella pneumoniaeなどの腸内細菌科細菌による感染症の総称である。広域β-ラクタム剤以外にも他の複数の系統の薬剤にも耐性であることが多いこと、カルバペネム耐性遺伝子がプラスミドの伝達により複数の菌種に拡散していくことなどにより臨床的にも疫学的にも重要な薬剤耐性菌として、国際的に警戒感が高まっている。日本では、2014年9月19日より感染症法に基づく感染症発生動向調査における5類全数把握疾患となった。本稿では、2015年第1週(1月1日)~第53週(2016年1月3日)の報告例について述べる(2016年1月8日現在)。

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感染症法に基づくカルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症の届出状況、2014年9月~2015年8月

(IASR Vol. 37 p. 15-16: 2016年1月号)

カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)感染症は、メロペネムなどのカルバペネム系抗菌薬および広域β-ラクタム剤に対して耐性を示す大腸菌Escherichia coliE. coli)や肺炎桿菌Klebsiella pneumoniaeK. pneumoniae)などの腸内細菌科細菌による感染症の総称である。広域β-ラクタム剤以外にも他の複数の系統の薬剤にも耐性であることが多いこと、カルバペネム耐性遺伝子がプラスミドの伝達により複数の菌種に拡散していくことなどにより臨床的にも疫学的にも重要な薬剤耐性菌として、国際的に警戒感が高まっている。日本では、2014年9月19日より感染症法に基づく感染症発生動向調査における5類全数把握疾患となった。本稿では、2014年第38週(9月19日)~2015年第35週(8月30日)までの約1年間の届出状況について報告する。

上記期間に計1,321例の届出があり、男性が822例(62%)であった。診断時の年齢中央値は76歳(範囲0-101歳)で、65歳以上が1,020例(77%)を占めた。届出時点での死亡例は1,321例中52例であった。死亡例の性別は男性が33例、診断時の年齢中央値は78歳(範囲41-101歳)で、母集団の分布と概ね同様であった。

診断から報告までの日数の中央値は1日(範囲0-133日)で、1,107例(84%)は診断から1週間以内に報告されていた。都道府県別では東京都が202例と最も多く、次いで大阪府157例で、すべての都道府県から報告があった。

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The topic of This Month Vol.35 No.12(No.418)

カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症

(IASR Vol. 35 p. 281- 282: 2014年12月号)

カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)感染症は、グラム陰性菌による感染症の治療において最も重要な抗菌薬であるメロペネムなどのカルバペネム系抗菌薬および広域β-ラクタム剤に対して耐性を示す大腸菌や肺炎桿菌などの腸内細菌科細菌による感染症の総称である。CREは主に感染防御機能の低下した患者や外科手術後の患者、抗菌薬を長期にわたって使用している患者などに感染症を起こす。健常者に感染症を起こすこともある。いずれも肺炎などの呼吸器感染症、尿路感染症、手術部位や軟部組織の感染症、医療器具関連血流感染症、敗血症、髄膜炎、その他多様な感染症を起こし、しばしば、院内感染の原因となる。

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<速報>大阪市内大規模病院におけるカルバペネム耐性腸内細菌科細菌の長期間にわたる院内伝播

(掲載日 2014/12/2)(IASR Vol. 35 p. 290- 291: 2014年12月号)

2010年7月に国立病院機構大阪医療センターにおいてカルバペネムを含む複数の抗菌薬に耐性を示すメタロ-β-ラクタマーゼ(Metallo-β-lactamase: MBL)産生腸内細菌科細菌(MBL-Ent)のKlebsiella pneumoniaeが分離され、その後も複数の診療科、病棟、種々の検体から複数菌種のMBL-Entが分離された1)。病院の対策にもかかわらず新規症例の発生が続いたため、報告を受けた大阪市保健所が国立感染症研究所(感染研)とともに2014年2月21日より実地疫学調査を行った。

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan

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