(緊急)麻疹は子どもだけの病気ではありません。成人も要注意! | ||
2011年5月13日現在 国立感染症研究所感染症情報センター 麻しん対策技術支援チーム |
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【麻疹が成人でも流行しています】 2012年の麻疹排除を目標に、2008年以降実施されている全数報告の感染症発生動向調査により把握された各年の麻疹患者累積報告数は2008年に11,012例、2009年に732例、2010年に455例と著明に減少傾向にありました。しかし、2011 年第17週の報告数は30例となり〔第1~17週(5月9日現在)の累積数は184例〕、これは明らかな流行を示さなかった2009年の週平均報告数 13.8例、2010年の同8.8例と比較して、大幅な増加です。都道府県別では、第17週までに28都道府県から報告され、東京都77例、神奈川県21 例、広島県19例、愛知県10例の順となっており、東京都と神奈川県からの報告が全体の53%と際立っております。原因となった麻疹ウイルスの特徴として、主にヨーロッパで大きな流行となっているD4型、東南アジアで流行しているD9型などの海外由来の遺伝子型であることが分かってきています。 2011年第1~17週のわが国全体の年齢群別累積報告数では、20歳以上が85例と46%を占め、さらにこのうちの80%(68例)は20~30代の症例です。これら20~30代(68例)の中で「接種歴なし」は14例(21%)、「1回接種歴あり」は14例(21%)、「2回接種歴あり」は2例(3%)、不明38例(55%)となっています。 麻しんは年齢にかかわらず命に関わる重篤な疾患です。実際、流行の中心が10代であった2008年においても、麻しんの重篤な合併症である脳炎の半分以上(9例中5例)の症例は20~30代でした。2007年の流行が中学生・高校生を中心とした年代であったことから、2008年度から5年間限定の中学校1年生、高校3年生相当への2回目の予防接種が行われており、10代の方々の麻疹に対する免疫は高いものになりつつあります。反面、20~30代の方々の中には、麻疹に対する免疫が十分ではない方々が含まれています。(参照:「年齢/年齢群別の麻疹抗体保有状況、2010」https://www.niid.go.jp/niid/ja/y-graphs/1906-measles-yosoku-serum2010.html)。この年代は、妊娠・子育て世代であるとともに、社会的にも活動が活発です。その中でも、職種、あるいは活動の特徴から、麻疹に罹患するリスクが高いだけでなく、麻疹を発症すると、周りに感染拡大させてしまうことが懸念される複数のグループがあり、特別な注意が求められます。 1. 医療従事者(事務職、医療職にかかわらず、当該医療機関を受診する外来および入院患者と接触する可能性のある常勤・非常勤・派遣・委託・アルバイト職員、実習生および指導教官) 2. 保育関係者 3. 教育関係者 4. 東日本大震災の被災地・避難所に出入りする者(持ち込まないという観点により) 5. 麻疹が流行中の国・地域への海外旅行を予定している者
(参考) 国立感染症研究所感染症情報センター (2011年5月13日 IDSC 更新) * 情報は日々更新されています。各ページごとにブラウザの「再読み込み」「更新」ボタンを押して最新の情報をごらんください |
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