国立感染症研究所

国立感染症研究所 感染症疫学センター
2020年12月21日現在
掲載日:2021年4月25日
(2021年9月27日一部訂正)

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症(Methicillin-resistant Staphylococcus aureus: MRSA)感染症は、感染症法が施行された1999年4月以降、5類定点把握疾患として基幹定点医療機関(病床数300以上の内科又は外科を標榜する病院、2019年年間平均基幹医療機関数は480)により月毎に届出されている*。届出対象は感染症を発症した患者であり、保菌者は対象外である(届出基準、届出票についてはhttps://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-41-01.html 参照)。なお、感染症法上のMRSA判定基準値は病院でしばしば用いられる基準と異なることがある(文末参考)。

2019年は全47都道府県、基幹定点医療機関の約91%にあたる439医療機関からMRSA感染症が報告された。2019年に報告されたMRSA感染症は16,241例であり、定点当たり報告数は33.8であった(図1)。報告のあった医療機関ごとの報告数は中央値が26、最小値1、最大値360であった。

性別は男性が10,044例(62%)で女性より多かった。診断時年齢は70歳以上が6割を超えていた(図2)。分離検体は、気道検体(喀痰、留置カテーテル(気管)、気管洗浄液)5,215例(32.1%)、血液2,422例(14.9%)、創部1,172例(7.2%)の順に多かった。 (表1) **。

MRSA感染症の定点当たり報告数は2011年から2015年にかけて減少し、その後は横ばい傾向であったが、2019年は前年より増加していた。性別及び診断時年齢の分布は2013年から2018年と同様の傾向を示していた。

* 1999年4月より施行された「感染症法」では4類感染症として指定され、その後、2003年11月施行の感染症法一部改正により、5類感染症定点把握疾患に変更された。

** 検体採取部位:複数部位から検出された場合は、最も重要と考えられる1か所のみが報告される。

 

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