性器クラミジア感染症とは

(IDWR 2004年第8号)  本疾患はわが国で最も多い性感染症(STD)である。感染症法では淋菌感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジ ローマとともに、5類感染症として性感染症定点からの報告が 義務付けられている。本疾患は感染症法施行以前には、結核・感染症サーベイランス事業の性感染症サーベイランス(旧サーベイランス)でも対象疾患に挙げら れていたが、感染症法になってからの届け出状況をみると、女性患者の報告数が急増している。その要因としては、旧サ ーベイランスに比べて感染症法では産婦人科定点が増加したこともあるが、実際に女性感染者 数が増加傾向にあることも推察される。  妊婦検診において正常妊婦の3〜5%にクラミジア保有者がみられることから、自覚症状のな い感染者はかなりあるものと推測されている。

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国立感染症研究所 実地疫学研究センター
感染症疫学センター
2021年9月現在
(掲載日:2021年9月7日)

Chlamydia trachomatisは男性の尿道炎や女性の子宮頚管炎をおこす主な病原体の一つである。感染症発生動向調査では、地方自治体が定めた国内約1000の性感染症定点医療機関が報告しており、定点医療機関数は2000年以降微増している(2000年887、2020年977)。地方自治体が定めた性感染症定点医療機関が「症状や所見から性器クラミジア感染症が疑われ、定められた検査方法により診断した」場合に、同医療機関から性器クラミジア感染症として毎月報告される。定められた検査方法には、尿道や性器から採取した検体でのC. trachomatisの検出又はC. trachomatisの抗原か遺伝子の検出、又は血清での抗体検出が含まれる。

ここでは、2000年から2020年(2020年は暫定法)における、感染症発生動向調査状の性器クラミジア感染症の報告をまとめた。

感染症発生動向調査における性器クラミジア感染症の定点当たり報告数は、男女ともに2002年をピークに減少傾向にあったが、最も少なかった2015年に対して2020年の定点当たり報告数は、男性は11.8から15.1(1.3倍)、女性は12.8から13.9(1.1倍)に増加していた。

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