国立感染症研究所

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エコーウイルス9型による発疹症―愛媛県

(Vol. 33 p. 270: 2012年10月号)

 

2012年6月に愛媛県南予地区の同一定点医療機関から搬入された不明発疹症患者検体から、エコーウイルス(Echo)9型が検出されたのでその概要について報告する。

2012年6月18~29日の間に不明発疹症患者の咽頭ぬぐい液20検体が搬入された。肝機能障害をともなう事例が1例あったものの、他の事例は紅斑性丘疹、発熱など概ね軽症であった。

ウイルス分離にはFL、RD-18S、Vero細胞を用いて2代継代培養を行った。細胞変性効果(CPE)陰性の検体については、VP4-VP2領域を増幅するプライマーを用いてRT-PCR法を行い増幅産物の塩基配列を決定し、BLAST検索により同定した。

今回20検体中18検体からEcho9を検出した()。そのうち17例は、培養を開始してから3~4日でRD-18S細胞にのみCPEが認められたので、抗血清を用いた中和試験により同定し、1例はRT-PCR法により同定した。また、アデノウイルス1型との重複感染が2例あった。

これら以外に、同時期の6~7月に別の複数の医療機関から搬入された手足口病患者検体からコクサッキーウイルスA(CA)16型が3例、Echo9が1例、不明発疹症患者検体からEcho9が2例、不明熱、上気道炎患者からCA4が4例、Echo9およびEcho7が各1例検出されている。

本県で最も多く検出されているEcho9は、6月中旬~7月に南予地区で不明発疹症患者から検出されていた。一方、中予地区では、CA4が不明熱および上気道炎患者検体から検出されていたが、7月に入ってからは、不明発疹症、手足口病および不明熱患者検体からEcho9が検出されている。県内でEcho9感染拡大の徴候があるため、今後の動向に注意が必要である。

愛媛県立衛生環境研究所
川口利花 青木里美 菅 美紀 山下育孝 服部昌志 大倉敏裕 四宮博人

 

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