国立感染症研究所

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2016/17シーズンインフルエンザウイルスA(H3N2)に対するワクチン有効性の中間評価―カナダ, 2017年1月

(IASR Vol. 38 p.86: 2017年4月号)

Canadian Sentinel Practitioner Surveillance Network(SPSN)は, test-negativeデザインを用いて, カナダにおける2016/17シーズンの流行の主流であるインフルエンザウイルスA(H3N2)に対するワクチンの有効性(VE)に関する中間評価を行った。

2016年11月1日(第44週)~2017年1月21日(第3週)に4つのprovince(Alberta, British Columbia, Ontario, Quebec)で1歳以上のインフルエンザ様疾患患者から収集された鼻咽頭検体計932のうち, インフルエンザウイルスが396(42%: A型387, B型9)から分離された。亜型別のできた374のA型ウイルスのほとんどすべてがA(H3N2)であった〔A(H3N2)が370, A(H1N1)pdm09が4〕。

370のcase(test-positive)と536のcontrol(test-nega- tive)計906を対象として, A(H3N2)のみに対するVEの解析を行った。ワクチン接種者の割合は, caseが24%, controlが30%(p=0.04)であり, 調整前VEは27%(95%CI: 1-46), 年齢やprovince等による調整後のVEは42%(95%CI: 18-59)であった。ウイルスのシークエンスによる遺伝学的解析情報の得られたA(H3N2)株のうち, その多く(176/221; 80%) はN171Kかつ/またはN121Kの変異を有する新たなクレード3C.2a1に属する株であった。また, 前述した2カ所の変異以外にもさらに1~3カ所の変異を有する株が多数を占めていた。

地域別でみると, VEが最も高く感染防御の効果があったのはAlberta(調整後VE 62%)であり, そこは他の地域よりも流行が早く始まり, かつ分離されたウイルス株のクレード3C.2a1に属する変異の程度もより限定的であった。一方他の3地域では, 流行開始の遅延がVEの低さ(3地域全体の調整後VE 34%)および流行したクレード3C.2a1に属する株の変異の多様性と関連がみられた。

カナダにおける今シーズンの中間評価であるVE約40%は, 前回A(H3N2)が流行した2014/15シーズン時におけるVEと比較して高く, 今シーズンのワクチン株〔A/Hong Kong/4801/2014(H3N2)様(クレード3C.2a)〕 と流行株は, 前回よりも抗原的な合致性は良好であると考えられた。

(Euro Surveill. 2017; 22(6): pii=30460)

(抄訳担当:感染研・齊藤剛仁)

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