国立感染症研究所

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HCV持続感染のメカニズム
 
 HCVは肝臓に持続感染する。細胞内にはRNAウイルス感染を感知するRIG-IおよびMDA-5という分子が存在し、IFN系へシグナルを伝えること により細胞を抗ウイルス状態にする(Yoneyama et al., 2004, Yoneyama et al., 2005)。HCVはどのようにしてこの監視をくぐり抜けているのだろうか?HCVがもつNS3/4AプロテアーゼがRIG-Iのシグナルを伝達する IPS-1/MAVS/VISAという分子を切断することによりこのシグナルを遮断していることがわかった(Meylan et al., 2005, Li et a., 2005, Loo et al., 2006)。従ってHCVが細胞内で増殖してもIFNシステムが効率よく活性化されない。興味深いことにA型肝炎ウイルス(HAV)でもウイルスの3Cプ ロテアーゼがIPS-1/MAVS/VISAを切断して同じシグナル経路を遮断している(Yang et al., 2007)。HAVは肝臓に感染するが、一過性の感染で持続感染はしない。従って、RIG-Iのシグナルを遮断することは持続感染に十分な条件ではないか もしれない。  

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