印刷

国立感染症研究所 感染症疫学センター
2018年4月20日現在
(掲載日:2018年5月2日)

感染症発生動向調査において、2018年第2週以降のA型肝炎の増加傾向が観察されていることから、発生動向のまとめについて、概要を記述する。

【概要】

2012年から2017年までの感染症発生動向調査におけるA型肝炎の報告数は、全国的な流行が見られた2014年(433例)を除き、年間約100~300例で推移した。

hepA 180502 fig1
図1.感染症発生動向調査におけるA型肝炎の報告数
(診断週2012年第1週~2018年第15週, n=1,695)

2018年は第15週時点で177例が報告され、第2週以降ベースライン*を超え、第6週以降は閾値(+2SD[標準偏差])を超えて推移している。
*ベースライン:2014年を除く2012~2017年の同一診断週及びその前後2週の移動平均

2018年第1週から第15週まで(以下、2018年)に診断された177例は年齢中央値が37歳[範囲:2–74歳]で、2012~2017年[2014年除く](以下、過去)の報告(年齢中央値44歳[範囲:0-99歳])と比較し若干低かった。男女別年齢中央値(男性37歳、女性33歳)に明らかな差はなかった。 性別は男性の割合(88%)が過去の報告(60%)と比較して高かった。

推定される感染経路は2018年の報告(160例)では、経口感染の割合(42%)が過去の報告(76%)と比較して低く、性的接触(51%)が過去の報告(3%)と比較して高い割合であった。特に、男性における性的接触の割合が(58%)で、過去の報告(4%)と比較して高く、女性における性的接触の割合(0%)は、過去(1%)と比較して大きな変化はなかった。

報告された症状は肝機能異常(2018年87%、過去87%)が最も多く、次いで全身倦怠感(2018年79% 、過去81%)、発熱(2018年76%、過去69%)の順に高い割合であった。「肝性脳症および/または意識障害」を呈した症例は2018年が2例(1%)で、過去(2例;0.2%)と比較して高い割合であった。

 


「感染症サーベイランス情報のまとめ・評価」のページに戻る

Copyright 1998 National Institute of Infectious Diseases, Japan