国立感染症研究所

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2014年1月~2015年8月における手足口病患者からのエンテロウイルス検出状況―高知県

(IASR Vol. 36 p. 196-197: 2015年10月号)

高知県では、2014年7月~2015年8月において手足口病患者からCoxsackievirus A16(CA16)を主とするエンテロウイルスが多数検出されているのでその概要を報告する。

患者発生状況:高知県では、2014年感染症発生動向調査による手足口病の定点当たりの患者数が第43週から全国平均を上回り始め、第49~52週にかけては注意報値(2.0)を連続して超えた。2014年は夏かぜの一つと言われる手足口病の発生ピークが冬季(第50週)にみられるというこれまでにはない状況となった。2015年に入り、発生届出数は増減を繰り返しながら全国平均に及ばないものの序々に増加しつつある(2015年8月末)(図1)。2014年末の流行は、県中部と中西部の検査定点から保育施設において乳幼児の間で地域流行があったと報告があり、冬休み前~冬休み中に県中部から中西部において乳幼児の間で中規模の流行があったことが推測される。

ウイルス検出状況:2014年1月~2015年8月において、高知県内の病原体定点医療機関から搬入された手足口病(疑いを含む)患者から採取された検体(咽頭ぬぐい液または便)107検体についてエンテロウイルスを検索した。検体からのエンテロウイルスの検出は、検体からRNAを抽出後、5’非翻訳領域でスクリーニングRT-PCRを実施し1)、陽性のものについてVP1領域(CODEHOP-snPCR)またはVP4-2領域を目的とした Nested PCRによってDNAを増幅し、ダイレクトシークエンス法で塩基配列を決定した2)。決定できた塩基配列はNCBI BLAST検索を用いた相同性検索によって血清型別の同定を行った。また、エンテロウイルスが検出されなかった検体については、Rhinovirus、Human herpesvirus 1~7型の遺伝子検査を行った。

高知県内において、2014年7~9月の間に手足口病患者(疑いを含む)から検出されたエンテロウイルスはEnterovirus 71(EV71)(5検体)とCA16(6検体)であったが、それ以降2014年10~12月の流行期を含め2015年7月までに検出されたエンテロウイルスはCA16が90%以上を占め〔CA16(54検体)、CA10(1検体)、Enterovirus NT*(4検体)〕、手足口病の主起因ウイルスとなっている。8月に入ってCA6(2検体)、Echovirus 18(2検体)、Enterovirus NT(2検体)が検出された(図2)。CA16は2011年の7~9月の間に11検体検出されて以降検出されていなかった。

8月末になっても手足口病の届出数は依然注意報値を越えており、また9月に入ってからCA9、CA6が数件検出され始めており、今後もエンテロウイルスの動向を注視していきたい。

*Enterovirus NT:VP1、VP2-4領域でシークエンスを行うことができなかったものを5’非翻訳領域でシークエンスを行い、エンテロウイルスと同定されたもの。

 
参考文献
  1. 谷脇 妙, 他, 高知衛研報 54: 29-34, 2008
  2. 病原体検査マニュアル(無菌性髄膜炎)


高知県衛生研究所
  戸梶彰彦 谷脇 妙 依光昇子

 

 

最終更新日 2015年10月27日(火曜)11:15

参照数: 2683

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