国立感染症研究所

国立感染症研究所 感染症疫学センター
2018年10月27日現在
(掲載日:2019年5月23日)

ペニシリン耐性肺炎球菌(Penicillin-resistant Streptococcus pneumoniae: PRSP)感染症は、感染症法が施行された1999年4月以降、定点把握疾患として基幹定点医療機関(全国約500か所の病床数300以上の医療機関)により月毎に届出されている。届出対象は感染症を発症した患者であり、保菌者は対象外である(届出基準、届出票についてはhttps://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-37-01.html 参照)。

なお、感染症法上のPRSP判定基準値は病院でしばしば用いられる基準と異なることがある(文末参考)。

2017年第1週(1月2日)~第52週(12月31日)の間にPRSP感染症症例は2,001例が報告された。性別は男性が1,213例(61%)で女性に比較し多数であった。2013年時点と比較すると報告数は減少傾向であるものの、2015年以降減少は鈍化している(図1)。2013年は年間平均基幹定点医療機関数が475であり、45都道府県、207医療機関から症例報告があった。報告のあった医療機関のうち1医療機関あたりの報告数は中央値が5、最小値1、最大値138であった。2017年の年間平均基幹定点医療機関数は479で、2013年と同数の都道府県数から報告があった一方で、報告医療機関数は177で2013年から減少した。報告のあった医療機関のうち1医療機関あたりの報告数は中央値が7、最小値1、最大値124であった。診断時年齢群別、性別の報告数の分布は過去5年間、同様の傾向を示し、70歳以上の年齢群と10歳未満の報告割合が多かった(図2、表1)。10歳未満の報告割合は、過去5年間で共に4割程度であり、特に1歳から4歳の年齢群で多かった。

分離検体は、気道検体が最も多かった(表2) *。

わが国では2013年4月より小児用肺炎球菌ワクチンが定期接種となり、2014年10月からは高齢者の肺炎球菌ワクチンの定期接種が開始した。これらワクチン導入が本サーベイランスに及ぼす効果を今後注視する必要がある。

*検体採取部位:複数部位から検出された場合は、最も重要と考えられる1か所のみが報告される

 

 


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