国立感染症研究所

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<速報>沖縄県八重山地域で発生したレプトスピラ症 2014年8月

(掲載日 2014/8/26) (IASR Vol. 35 p. 216-217: 2014年9月号)

2014年7~8月に、沖縄県八重山地域(石垣島、西表島など)を推定感染地とするレプトスピラ症が4例報告されたので、その概要を報告する。

2014年のレプトスピラ症患者(感染症発生動向調査より)は1~6月までに累積7例(うち国外感染2例)が報告され、いずれも異なる地域での散発的な発生であった。しかし、7月以降、沖縄県八重山地域で感染したと考えられる患者の発生が続いている()。実験室診断によりレプトスピラ症が確定した4例をに示す(2014年8月20日現在)。

国内のレプトスピラ症患者は年間20~30例前後であり、例年夏から秋にかけて多くみられる。国内では沖縄県からの患者報告が多く、特に8~9月に沖縄本島北部と八重山地域で多くみられる。沖縄県内における主な感染機会として、河川での遊泳や、カヌーなどの野外レジャー活動、農作業、土木作業などが報告されている(IASR 29: 10-12, 2008)。2013年は、夏季に西表島の河川を感染源とするレプトスピラ症が多発した(IASR 35: 14-15, 2014)。

本年も石垣島における感染が2例、西表島における感染が2例で、いずれも河川(滝を含む)での遊泳や野外レジャー活動での感染が疑われている。昨年同様、今後石垣島、西表島など八重山地域における感染者の増加が懸念される()。

患者の報告は沖縄県内だけでなく、八重山地域を旅行中に感染した観光客が、本土に戻った後に発症し診断される例もみられている。沖縄県への旅行歴がある発熱患者の鑑別診断の一つとして、レプトスピラ症も考慮し、旅行中の淡水への曝露歴を問診に含めることが重要である。

本症の多発する7~10月に入り、地元住民および沖縄県への観光客はレプトスピラの感染に注意を要する。レプトスピラ症予防に関する知識の普及啓発として、沖縄県ではリーフレットを作成し、皮膚に傷がある場合は水田や川に入らないこと、素足で長時間水田や川に入らないことなどの注意を呼びかけている(レプトスピラ症に気をつけよう:http://www.eikanken-okinawa.jp/kansenG/rept/rept.htm)。

 

国立感染症研究所感染症疫学センター 齊藤剛仁 木下一美 砂川富正 大石和徳  
国立感染症研究所細菌第一部 小泉信夫 大西 真  
沖縄県衛生環境研究所 
   岡野 祥 新垣絵理 高良武俊 久場由真仁 加藤峰史 喜屋武向子 久高 潤
沖縄県保健医療部健康長寿課  
沖縄県八重山保健所  
茨城県衛生研究所  
茨城県水戸保健所  
川崎市健康福祉局健康安全部

 

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