(掲載日 2015/6/11 更新日 2015/6/16) (IASR Vol. 36 p. 145-146: 2015年7月号)
はじめに:わが国では、2011年11月に単価ロタウイルスワクチン、2012年7月に5価ロタウイルスワクチンの接種が始まった。
ロタウイルスワクチンの接種が始まる前は、全国約3,000箇所ある小児科定点医療機関のうち概ね10%に当たる、約300箇所の医療機関が病原体定点に指定され、5類感染症定点把握疾患である「感染性胃腸炎」の患者から採取された検体を地方衛生研究所(地衛研)に送付して病原体の検出が実施されてきた(病原体サーベイランス)。
ロタウイルスワクチンの接種開始に伴い、病原体サーベイランスは継続したままで、ロタウイルス胃腸炎の中でも特に重症が疑われる症例の報告数を検討するために、2013年10月14日(第42週)から、5類感染症定点把握疾患として全国約500箇所の基幹定点(ベッド数300床以上で、内科と外科の両方を標榜する医療機関)から、「感染性胃腸炎(病原体がロタウイルスであるものに限る)(以下、ロタウイルス胃腸炎)」の患者数が毎週届けられることになった。届出基準はhttp://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01-05-39.htmlである。
本稿では、ロタウイルス胃腸炎患者サーベイランスと、病原体サーベイランスから、ロタウイルスワクチン導入前後の報告数の推移を検討する。